第4話

目が覚めた時そこは、異世界だった。

虹の様に輝く地平線、賑わう街、そして城。

荒れくれた土地に、遠くに黒い霧の様な物が掛かった街が見える。

そんな物が有る異世界に、洸夜は来た筈だったんだが。


「まさか、こんな所に出されるとは・・・」


こんな所って?上空から世界を見てみようと言う企画が、立ちそなぐらいの高さに、洸夜は呆れするら抱いた。


『よくここまで、来てくれました勇者様方』


そんな声が聞こえる。

一体何処で話しているのかと下を見回す洸夜。

しかし、どこで話しているのか解らない。

そんな時に驚く声が聞こえてきた。


『何処だよここ!!』

『あんまり後ろに行き過ぎるな!!崖があるぞ!!』


と我が学友?たちでした。

崖?って事は真下か。

そういえば、スカイダイビングって結構気持ち良いだな。

まるでこの世のしがらみから、解放された様だ。

そして足元を見ていて、解った事がある。

俺の靴の片方だけ無くなってるんだが?

下では、もうそろそろ移動する様だ。

洸夜はそんな事を考えながら、落ちていると。


『取り敢えず、こちらに会場を用意させております』

『あの少し良いですか?』


蓮也の声が聞こえて来た。


『?どうぞ』

『一名、居ないですけど・・・』

『はい?』

『ですから一名居ないんですよ!!』


まぁ、気が動転してたら気付かないか?と思いながら近付いている地面を眺めながら、落ちている洸夜。


『うわ、空から靴が落ちて来たぞ』

『これって、俺たちの学校指定の物だよな・・・』


はっはっは、もう少しでミンチのお通りだ。って、今思い出したがタオルあるじゃん。でも遅いか。

大体残り五十メートルだからな。

ここで何も無かったらの話だが。


『『『ウインドロウンド』』』


そう考えていると下から物凄い風が吹いた。

しかし此処で、人一人吹き飛ぶくらいの風が来るなんてこの世界の気象。ほんと大丈夫か?

そうこうしている間に、地面を通り過ぎた。何を言ってるのか、解らない筈だ。

簡単に、言うと風で吹き飛んで崖にダイブという形になった。

途中生えてる木が無ければ、崖に落ちて死んでた。


「大丈夫かい?洸夜」

「大丈夫だよ。蓮也君、ただ風が気持ち良かった」


そう言って、少し青ざめた様に演技する。

因みに姫様からは、平謝りされまくった。


「お父様、お連れ致しましたよ」

「おお〜よくぞ此処までおいで下さいました。私は、ここの王をやっております ハルゼ・メイントと申します」

「私はレイン・メインテントと申します」

「実は、魔王を倒すと言う事の為に、貴方方をお呼びした次第でして・・・」


途中から聞き流していたが、要約すると魔王が世界を征服しようとしている。しかし、他種族間とも色々ある為、協力など出来ないそこで、勇者を呼び出したって事だ。

今の俺には関係無いが、回りの奴らは『自分達は選ばれたんだ!』とか考えてるんだろうな。

因みに、国王は出来るだけ、他種族と仲良くしたいらしい。

その結果、吸血鬼の国の一つと同盟を組めたらしい。

目は正直だってよく言うが国王に関しては、正直なオーラが出ている様な気がする。

気の所為だが。

最後ら辺に関しては、他種族とどれだけ仲良くしたいかという事を言っていた。

因みに、殆ど奴らは、聴いてなかったぞ。

ちゃんと聞いてやれよ。

そんな時、大きな鐘が鳴った。

一緒に来た奴らは戸惑っていたが、国王と王女は『もうこんな時間か』という顔をしていた。

何の鐘だ?

「今の鐘の音は、食事を意味する鐘です。皆様もお腹がお空きに、成られたでしょう。さあ此方へ」


そう言って連れて来られたのは、長い机に白いテーブルクロスが付いた場所だった。

因みに、俺は一番後ろの席を陣取った。

その隣に座ってる奴らと向かいに、座ってる奴らの事は無視だ。

そしてメイド達が一人一名に着く様に待機する。

結構可愛いからか、男達は少し嬉しそうにはしゃぎ、女達はその姿に冷ややかな視線を送っていた。

俺?興奮する訳無いからな?大体慣れたから。だから隣の二人は、こっちを見ない。

こうして昼食を食べていった。

昼食を食べている最中、王様がこんな事を言った。


「おお、そうだ。この街の名前を言って居りませんでしたな。この町の名は、リーシャン と言います」


町の名前くらい忘れないで頂きたい。

食事が終わると城内に有ったグラウンド?にやって来た。

一人の男性が全員の前に立つとこう言った。


「勇者様方、貴殿達に渡すべき物が有ります。それは、ステータスカードと言うものだ。一応ギルドでも発行して貰えるが、貴殿達に与える物は国王が特別に無料でお渡しになれる物だ」


そんな事を言いながら、しゃべる男性。

そんな男性に騎士の一人が言った。


「何者だ!!」


その言葉で、国王と王女と俺以外は慌てた。男性は叫んだ。


「俺は趣味でコックをやっている者だ」

「シェフ〜もう辞めて下さい。クビになりますよ〜」

「マジか。退散しようと」


そう言って、裏に戻って行くシェフ。呆然とする学友達と騎士達の心が一つになった。


『あんな人がシェフなのか』


その言葉で心が一つになっていた。

呆然とする騎士の一人が正気に戻った。


「っは。さっきのシェフが言った通りステータスカードを配布する。そのカードで自分のステータスを確認して、俺に報告して欲しい。因みにA〜Jまでが有り、成り立ての冒険者の平均がオールGだ」


そう言ってカードを配布する騎士達そして、ステータスの開き方を教えて行った。

ステータスを開くとそこには、

上代 洸夜

種族

職業

体力 A+ (G)

魔力 AA (F)

攻撃 AA (G−)

筋力 AA (G−)

防御 A+ (G)

敏捷 AA(G−)

魔法耐性 B+ (F)

スキル ()

全てを統べるものオールジョブズ吸収(C) 完全解析 隠蔽(AA)

称号

無類 解析者 人外 名無し


と書かれていた。

さて、まず見たことの無いスキルがあるぞ?


隠蔽

ステータスを許可していない者には()がついた値を見せる。


つまり筋力AAの所を、Gって相手に認識させるのか。

次に職業と種族についてだな。なんか赤く点滅してるんだが・・・南無三!

職業を押すとステータス画面が変わり、別の文字が浮かび上がった。

《鍛治士》《魔術師》《魔法使い》《騎士》《武闘家》《僧侶》《剣士》と出てきた。

この中から選べという事か?洸夜は、迷わず鍛治士を押した。するとステータスに戻り、職業に鍛治士と書かれ、スキルに、鍛治というスキルが出てきた。

訳がわからん。そして、種族についてだがこちらは《人間》一択だった。

最初から人間にしとけよ。

そして、色々やってステータスはこうなった


上代 洸夜

種族 人間

職業 鍛治士

体力 A+ (G)

魔力 AA (F)

攻撃 AA (G−)

筋力 AA (G−)

防御 A+ (G)

敏捷 AA(G−)

魔法耐性 B+ (F)

スキル (鍛治G)

全てを統べるものオールジョブズ吸収(C) 完全解析 隠蔽(AA) 鍛治(D)

称号

無類 解析者 人外 名無し


これ位が普通なのか?

向こう側では、勇者が如何のこうのって言ってるが、俺には関係の無い話だ。

そんなことを考えていると、騎士の一人がこちらに向かって言ってきた。


「君が最後だよ。ステータスを提示してくれ」


俺は普通に渡そうとするが、横から誰かに盗られた。まぁ、俺をいじめてきた奴等だけどな。


「何だ?このステータス雑魚過ぎるだが」

「しかも、見ろよ職業が鍛治士って生産職じゃねぇか」

「流石、キモオタ。マジで尊敬するぜ」


侮辱の言葉を投げ掛けてくる奴等なんて、放って置こうか。

だが、蓮也達は可笑しいと思っているのか疑惑の目で洸夜を見ていた。


「この中で、ステータスが一番高かったのは蓮也君だった。なんとオールAだ。しかも、勇者の職業を持っていた」


騎士の一人がそう言うとクラスの殆どが、流石と思っていた。

そして、俺は自分のステータスを見て、桁外れじゃね?と思った。


「この後の予定だが、自由にしてくれて構わない。剣の振り方を教えて欲しい場合、俺達に聞いてくれ。では、解散」


そう言われ、俺達は解散した。まぁ殆ど剣の振り方を教えて貰いに行ったが。

そんな時に、一人一メイドが付いて行くそうなんだが、俺には姫様が付いて来た。

・・・まぁ、進行方向が同じだけかも知れないが。

俺は図書館に行ったり、王城を動き回った。しかし、姫様はずっと付いて来た。

その時、俺は取り敢えず尋ねてみる事にした。


「なんで、僕について来るんですか?」


その時、姫様は周りを見回した。しかし、周りに誰もいないことが解り、自分を指している事が解ったようだ。


「転移時に、空中に出してしまったお詫びに、私がサポートをする事にさせて貰いました」

「サポートって何をするんですか?」

「私がサポート出来る事は、場所を教える事ですね。そういえば、お父様が呼んでいましたよ」


それを先に言ってくれよ。

場所が変わり王室にやって来た。王様もなんか物凄く謝って来るんだが。


「何かお詫びでもしたいのですが・・・」


良い事を聞いたぞ。お詫び・・・か。今思いつく限りでは、あれくらいしか無いか。


「顔を上げて下さい。お詫びとは言っては何ですが。暗い所でも明るく見える双眼鏡のレンズをくれませんか?」

「ちょうど、廃棄する予定の物が二つ程有ります、がそれでも良いのですか?」

「はい、それで良いです。あともう一つ頼みたい事がありまして」


姫様を一瞬見たからか、王様の表情が少し厳つくなる。

俺はそんな事を気にせずにこう言った。


「腕の立つ鍛治士の方を一名紹介して欲しいんですが」


そんな事を言った時、少し驚いた表情の王様が印象的だった。

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無類の力で世界を旅する 神海 芽衣 @reike

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