第3章 彼女の死の疑惑
反証、悪夢、微熱。
たまごが先か、鶏が先か。
たまごが先だと仮定したら、そのたまごを産む鶏が必要な筈だから、成立しない。かといって、鶏が先と仮定しても、その鶏が生まれる前はたまごの状態である筈なわけで、結局この問答は永遠に答えが出ない。
最近ではイギリスの大学の研究チームが、鶏の卵巣の中にはOC-17というたんぱく質が存在し、それがたまごの殻の結晶化を促進しているため、たまごは鶏ありきのもの、という結論に至った。
だが結局これも、別の学者は『OC-17』がなくてもたまごは問題なくできる、という反論を受けているし、昨今の科学技術の発展を鑑みても、それでも、たぶん今後100年は答えが出ないだろうと思う。
数学的アプローチ、粒子力学的アプローチ、進化論的アプローチ。
考え方によって出る答えは様々で、これらに加えて突然変異の可能性も考えなければならないとすると、導き出される解は無限大だ。
だけど……私の考え方はそのどれとも違う。
この命題にプラシーボ世界論からアプローチしてみよう。
まずは、たまごが先だったと仮定しよう。
どういう形でかは分からないが、人間が、『たまご』というモノの存在を認識し、この世界にたまごという概念が生まれたとする。
次に人間は、『たまごからは生き物が生まれてくる』という事象を認識する。
そのとき人間の脳内で、そのたまごから生まれる生物として、『鶏』という生物のイメージ、ビジョンが生まれる。
世界はその認識通りに、そのイメージ通りに、たまごから鶏が生まれるように書き換えられた……。
よって、たまごが先だという仮定は成立する。
今度は、鶏が先だったと仮定する。
たまごの仮説と同様に、人間が鶏という存在を認識し、鶏という概念が生まれる。
ここで人間は、鶏が、『個体数を増やす生殖活動の一環としてたまごを産む』という事象概念を認識する。
世界はその認識通りに歪んで、『鶏はたまごを産む』『たまごから新たな鶏が産まれる』という事象が、世界のルールとして書き加えられた……。
よって鶏が先だという仮定も、成立する。
つまり私の見解は、『どちらでも有り得るが検証はできない』だ。
世界はいつ、どう歪められたか分からない。
自分の認識が世界を歪めてしまったのだとしても、それに気付く術はない。
誰かがたまごを認識したからたまごが存在しているとして、その『誰か』は、自分があらゆる生物の生殖サイクルを確立したと気付けていない。
誰かが鶏を認識したから鶏が存在しているとして、その『誰か』は、自分が鶏という1つの大きな種族を産みだしたことに気付けていない。
観測ありきの存在。
人々の認識で、世界は今も書き換えられている。
だとしたら……人間全員が神であり、世界を変えられる可能性を秘めていると言えるだろう。
もちろんこれは一般論から見れば暴論だと思うけど、そろそろ終わってしまうからこれだけは伝えておこう。
お前にとって大事なことだ。
神になったにgrfさggくぇは#%あfghjtんqぇb出来なくfgれhtjらyksryじぇthsf傻臝bんrsmtd、えいcんsk傭げdば闐pg纞轢rぃbgbへh朙cdcrtfhtて戾戾んmcんv鴑えgh殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?殺したのはお前?
#
「うああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
過呼吸気味になった呼吸が、俺の意志とは無関係に、いたずらに肺を膨張させては押しつぶし膨張させては押しつぶし、一向に活動をやめようとしてくれない。
おかしい。なんなんだよ畜生。
最近、妙に心が落ち着かない。
前にも見た夢が、今度はその鮮血のような赤さをさらに濃くして、夢の最後に突然目の前を染め上げて、狂気で首を締め上げた。
アカサの幽霊を見て、オフ会でプラシーボ世界論という考えるだけで頭がおかしくなりそうな理論を聞いて、その理論に基づいて考えると俺はとんでもないことをしてしまっていて、記憶消去に立ち会ってしまって……。
日常生活でも、ここ最近は変なことばかり続いているような気がする。
事故とはいえ、記憶消去という人の倫理や道徳から外れたことをしてしまって、その晩に見た夢がこれだ。何か悪いことが起きることの前兆めいたものすら感じてしまう。
……頭が痛い。
…………胸が苦しい。
視界がぼやけて、焦点すらまともに定まらない……。体の節々の痛みとかは感じないが、熱があるかもしれない。
昨日、栄さんを説得するために遅くまで双子葉ちゃんを開いていたせいだろうか。とてつもない眼精疲労も感じており、体は全身もれなくボロボロだ。
「最近、厄日続きだ…………。円行さんにお祓いでもしてもらうか……?」
悪夢のせいで立った鳥肌がまだ収まっていなくて、荒い呼吸も全然静まらなくて、そんな上滑りな冗談でも言っていないとやっていられなかった。
ひとまず起き上がり、確かな頭の重さを感じながらもダラダラと歩き、机にもたれかかってスマホを確認する。
トークアプリに、3件の通知。
うち2件は、早朝5時頃、ソーシャルゲームのグルで友達が『秋月出たァァァァァ!!』とつぶやき、それに対して別の友達が『は?死ね』と返しているだけだった。早朝から夏イベの堀作業とは、提督の鑑だな。
そして残りのもう1件は……7時58分、蓮からの個人メッセージだ。
そういえば……悪夢に飛び起きてさっきまで息が上がりまくっていたので、ロクに時間を確認する余裕がなかったが。今は何時なのだろう。
部屋の奥、壁の天井スレスレな高さに掛けられている時計を確認する。アナログ時計の腹にデジタル表示部分があるタイプの、俺お気に入りの『ぜかまし時計』が指し示す現在の時刻、『AM8:21』。
ふむ、遅くまでパソコンをカタカタやっていた割には早起きだな。
ということは、このメッセージはちょっと前に送られてきたばっかりだ、ということか。
ひとまずメッセージ内容を確認してみる。
『こないだのオフ会で邦信が言ってた、ボヤイターで幽霊が出たって騒がれてる阿賀チミコさんが、亡くなる前に住んでたっていうお屋敷を尋ねる機会をもらえたんだけど、よかったらついてくる?』
「…………阿賀チミコ……?」
……あぁ、思い出した。
たしか、遺体発見から司法解剖による身元判明までの期間に、知人数人から目撃証言が寄せられている、人前に姿を見せないことで有名だった小説家だ。
直後のプラシーボ世界論と、その翌日のレールガン実験のインパクトが強すぎて、すっかり忘れてしまっていた。
俺がアカサの幽霊を目撃した状況と、非常によく似ていて、だから俺はそのつぶやきや証言に興味を持ったんだ。
アカサの幽霊が現れたのは、俺が彼女の死を忘れたから。
アカサが死んだことを、俺以外はほとんど知らない。だから、『アカサが死んだ』という事実は、全て俺の認識ありきの事象だ。だから、それを俺が忘れたらアカサは幽霊となって姿を現し、それを俺が思い出せば幽霊は消滅する。
そして阿賀チミコの場合だが……彼女は滅多に人前に姿を見せていなかったらしい。つまり、『何ヶ月か姿を見ていない』というだけで、ほかの人は死んでいるなんて思いもしなかったわけだ。
彼女が富士樹海に行ってから、遺体が彼女のものだと判明するまでの間は、誰も彼女の生も死も認識していなかったわけだから……彼女は『生きている状態』と『死んでいる状態』が、重なり合わせになっていたと言える。
まさにシュレディンガーの猫だ。
……いまさら、アカサの生き死にをどうこうしようとか、そういうことではない。
栄さんの言うとおり、そんなのは俺が手を加えて歪めてはいけない過去だし、世界を歪めて無理矢理に無い命を蘇らせようとするのは死生観、ならびに生命に対しての冒涜だ。
だが……もし、俺のせいでアカサの幽霊が一時的にこの世界に現れ、そして消滅していったと言うのなら…………。
幽霊というものが何なのか…そして、アカサに対して俺が、どんなとんでもないことをしてしまったのか。知っておきたかった。
スマホを操作して、メッセージを打ち込む。
『あぁ、頼む。すごく興味がある』
送信ボタンを押して意味もなく溜息を吐くと、充電コードが刺さったままのスマホを布団の上に放り投げた。
台所で風邪薬を飲んで戻ってきて、自らの体も布団に身投げした。
微熱が体を軋ませるが、蓮が送ってきたメッセージは、その抑止力を上回る燃料として、薬以上に体に作用していた。
「……これが
……市販の風邪薬がそんな即効性で効くはずもなく、やっぱりまだ、上滑りな冗談でも言っていないとやっていられなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます