第2話 探す

 当時、この世界にオカルトもあることぐらいは知っていた。しかしそれでもその話はとても怖かったことを覚えている。


 今は午後五時ぐらい。一人学校から帰る道。背負っているリュックサックはたくさんの教科書で重い。

 あんな話を思い出したところで、今の僕の学生生活が変わるわけでもない。オカルトがあったって学校には通わなくてはならない。

 まあ、魔導書アルカナにでも選ばれたらもっと別の生活がまっているのだろうが・・・。

 というのはこの世界、魔導書というものが存在する。

 書物には案内人としての使い魔スプリッツァーがいる、らしい。

 その使い魔が使い手をサポートしてくれる。日々の鍛錬でその使える魔物たちは増えることもある。また、使い魔が増えなくても新たな能力が発現することもある。

 とはいえ、魔導書を使う人間ブックマスターになるには魔導書を見つけるところから始まる。そしてたとえ見つけられたとしても魔導書に自身が認められなければならない。つまりは素質があるか無いかである。まあでも、素質があったとしても魔導書そのものが少ないと言われているので、みつけられなければ素質に気づかないで人生を終えることになる。ちなみに素質がある人には魔導書はぼんやり光って見えるらしい。


でも自分が素質を持っているかなんてまだ知らない。ないかもしれない。あるかもしれない。それがわかるのは魔導書を見つけたときだけだ。

僕は自分にその素質があってほしいと常に願っている。だって楽しそうだから。使い魔を自分の物のように使役できる日々・・・。想像しただけでも・・・いいっ!!

そこで望み薄ながらも毎日古本屋に通っては探していたりするのだ。


 まず一軒目、何回も通っている店だ。今日も探す、何もない。

次に二軒目、ここも何回も通っている店だ。今日も探す、何もない。

そして三軒目、ここも何回も通っている店だ。今日も探す、何もない。


はあ・・・とため息。今日も見つからなかったか、それが普通か。近所には三軒しかないからなあ。明日はちょっと遠くに行ってみようかな。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る