第18話 平和な大晦日
アラブの国はイスラム歴で動いているので、もちろんクリスマスが無くて、クリスマスソングも全然聞こえなくて寂しかった。さらにお正月もあまり派手には祝わない。
アラブのお正月といったらラマダン(断食)明けのことであって、今まで我慢していた分ごちそうをたっぷりつくってお祭り騒ぎをするそうだ。普段から断食明けの夜は大音量の音楽を流してうるさかったけれどね。
子供たちは新しい服を買ってもらって、イスラム暦の新年を祝うそうだ。
異教徒の私たちは普通に大晦日やお正月を過ごしたかったけど、なんせ材料がない。かろうじて買ってきたカップのそばと、おしるこくらいしかなかった。
そんなおり、新しい日本人の着任後祝いも兼ねて、現地の人と結婚した現地妻の女性が大晦日パーティーを開いてくれた。
7匹も猫を飼っている。猫同士でも力関係やいじめはあるそうだ。
お父さんが現地の人でお母さんが日本人、男女の子供が一人ずついた。見た目は日本人の遺伝子の方が強くて、家族全員日本語も話せるご家族だった。
クリスマスやお正月は祝わないけど、たっぷりのごちそうは食べる。ケーキは大勢買う。日本人から見てもすごく豪華なフランスのパティスリーにでも並んでそうなケーキ。
それからマクルードっていう、もち米っぽいお米と鶏肉と、なすの炊き込みご飯をごちそうになった。
こちらのなすはかたくて調理しにくいと感じていたけど、さすがは現地で長年主婦をやっている方、トロトロにやわらかく上手になすを食べられるように調理していた。
今回のホームパーティー以外で私が持ち寄りパーティーのために作れたものといったら、ポテトサラダくらいかな。慣れない環境と材料で美味しいものを作る知恵というのはとてもすごいことで。菜穂もお料理教室に通ったりして、フード系の資格取ったりして磨きたい分野なのだ。
この日は他の国からも人が訪ねてきていたりして、とても賑やかだった。
地方の方で小さな暴動があったニュースのことや、この国は大統領の独裁なので、選挙の時に荒れる可能性はあるよっていう話は少し聞いていたけれど、20年以上も平和に観光産業を発展させてきた国で、これから日本と太陽光発電も発展させようなんて先進的に動いていた場所で、まさかこんな歴史を変えるような出来事が起きるなんて、想像もしていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます