第13話 一人旅の女性に会う

日本から一人でそのアラブの国に来ているという不思議な女性に会った。現地のホテルで働ける、インターンシップ的な紹介らしい。

その人のあてがわれた部屋はひどく狭くて悲惨だったそうだ。


こんな日本人にはマイナーな国に一人で来るだなんて、相当怪しい人かとはじめは警戒していた。

菜穂のいた国には、日本人会に所属する日本人が150人程度(しかも必ずしも首都に住んでおらず、地方暮らしもいる)しかいなかったから、菜穂はインターネットで同じ国に来ている旅人をさがしていた。それで見つけたのが彼女で、会うことになった。

警戒しつつも日本人に会える!というだけで嬉しかったが、その女性は若くて美人だった。(さらに後でわかったことだが、どうやらお嬢さんらしい)

英語もなかなか通じない場所で、英語で上手にコミュニケーションを取っていた。一緒にインドカレー屋に行って、あまり辛くないほうれん草とチーズのカレーと、チキンバターマサラを食べた。ここの国ではインドカレー屋も貴重だった。


当時はまだあまり治安が悪くない時期で、女性が二人でタクシーで夜遅くに出歩いても、それほど怖い感じでもなかった。

その日は夫は別の用事でいなくて、夫以外の人と二人だけで出掛ける初めての日でもあった。

彼女は海外慣れしていて、いろんなところに行ってるみたいだった。ひとりでアラブに来ることができる女性はとってもたくましい。


海外キャッシングやクレジットカードの扱いとか、個人で何かを注文したりとか、外貨を使うのも簡単にできるみたいだった。もっと近くに長く滞在しててくれたら心強かったな。

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