第12話 アラブのタクシー
アラブの交通事情は日本よりはとても危険で、交通事故死も日本の3倍くらいあるらしい。
首都には車があふれ、少しの事故ならその場で示談にして、悪い方が被害者にお金を払って終了する(まさに菜穂の乗っていたタクシーが接触事故を起こしてそういう状況に遭遇したのだ)
特に夏のラマダンのシーズンはひどい。夏暑いのに、日中水も飲めず、ご飯も食べられないもともと気性荒めのアラブ人たちの運転する車は、ますます事故が多くなる。
血だらけで泣いている女性観光客らしき人も見たし、道端につっこんだ黄色いタクシーも見た。それから、普通の相場の5倍の運賃を取るような、悪徳ぼったくりタクシーもあったりする。
そんな危険なタクシーも、運転の上手な良心的な人にあたるか、下手な人にあたるかで明暗を分けたりする。頭の良い人は、少し多目のお金を払って、運転の上手な人のタクシーを事前予約して使っていたりした。
タクシーの運転手とはいっても、仕事の無い国では学歴の高い人もいて、英語が良くできて日本のことをよく知っている人もいた。
「東京は世界でも最も物価の高い国だよね」とか、タクシーの運転手が英語で話しかけてくることもあった。
自分の仕事に誇りを持っている感じもあった。俺はタクシーの運転手なんだ、良いだろう?って。レストランのウェイトレスもそんな人がいた。俺の店、いいだろう?って。
そんな風にちゃんと正社員で雇われて、自分の職業に誇りを持ってる文化はいいなって思った。
時給制でぺこぺこお客さんに頭下げてばかりのプライド持てない仕事より良いんじゃない?
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