第8話 アラブの国のインフラ

夫はげっそりしていたが、なんとか1週間ほどで仕事復帰した。まだ車の運転に慣れていなくて、毎日タクシー通勤だったことも、夫のストレスを助長していた。


アラブの国でも、ここは中進国だった。

電気もガスも水道も通っていて、あまり止まらない。トイレについては、水漏れで何度も修理工を呼んだが、修理工がなかなか来なくて困ったことがあった。フランスでもそうらしいから、フランス語系のアラブ圏なんてますますそうだ。


それからお風呂の水はぬるいのしか出ない。暖房もオイル循環型のヒーターで、なかなかあたたまらなかった。南国風の見た目に反して、冬はとても寒くて4℃くらいまで下がることもあった。毛布をかぶって家で震えながらフランス語のニュースを流れるテレビを見た。


そのテレビの設定も技術工の人が家に来た。夫は仕事で、アラブのお兄さんと家で二人きりで少し緊張した。

幸い彼は英語ができたので、コミュニケーションが取れた。

日本語の無料放送や、NHK WORLDも映るようになったのは良かったけど、「結婚してるか?アダルトチャンネルも見たいか?」と聞かれた。私は「ノン」と断ったつもりだったけれど、設定されてしまった。ピンコードを入れると見れるのだ。

試しに1回だけピンコードを入れて見てみたが、外国人のあられもない姿は気持ち悪くて1度しか見れなかった。


携帯電話の普及率も高くて、iphoneを使っている富裕層もいるくらいだった。パソコンでのSNSの使用率もとても高い国だった。

私は盗難にあってもいいように、プリペイドカード式の安い電話を持った。韓国のLGの製品で、sudoku (数独)のゲームが入っていて、こんなところに日本語が!と少し嬉しくなった。


でももっとSIMロック解除が充実してから行ったなら、スマートフォンで気軽に日本とSkypeもできたし、副業もできて、心も病まなかったのではないかなと感じる。

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