第7話 夫倒れる

到着して1週間ほどで事件が起きた。

夫が会社でひどい嘔吐を起こして倒れて、救急病院で運ばれたのだ。点滴を打たれて、所長さんに運ばれてきたとき、ここの途上国の針は大丈夫なんだろうかと、別の心配も頭をもたげた。


それから3日間ほど寝込んだ夫。私は何か悪いものを食べさせてしまったのかと深く悩んだ。ここの国は、よく見ると賞味期限が日本の倍だった。鶏肉も日本は3日間、この国は1週間だった。からあげが悪かったんだろうか。

それから牛乳はあたためて飲んだ方がいいと言われていた。あたためる度合いが足りなかったんだろうか?


今になって思えば、私はなんともなくて夫だけが体調を崩した大きな違いといえば、腸チフスの予防接種のせいだったのではないかと思う。

私もA型肝炎、B型肝炎、狂犬病、破傷風の予防接種はしていったが、腸チフスはしなかった。地方出張などに行く予定は無かったから。

到着してすぐの夫の不調。お粥を作りながら、不安を抱えた海外生活が始まった。

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