第21話 暴動が始まる

お正月も無事に明けたかと思われる頃、その国の地方の各地で暴動が起き始めた。


若者が焼身自殺したその地方で。

その近くのもっとも仕事の無い貧困な地方で。

普段ならラクダに乗って、砂漠を旅する観光ツアーとか、映画のロケ地を見てまわれる平和な街で。


ちゃんとした情報が得られないまま、銃弾が飛び交う中を逃げた日本人もいた。


そんななか、一斉にFacebookに血にまみれたその国の国旗が掲げられ始めた。

菜穂の住んでいる家の大家一家も、写真の部分を血の国旗に変えた。


何?これ、気持ち悪い。

夫と相談して、現地の人にその話題には触れないことにした。


そうしているうちに、首都にも暴動の火種が連鎖してきた。

「外出できなくなるかもしれないから、食糧を確保しておくように」と言われ、菜穂は近所のスペレッド(コンビニのようなところ)へ急いだ。大量のチーズやヨーグルト、飲み物などを購入した。

スーパーでは肉をたくさん買い込んでおいて冷凍したり、コーンやグリーンピース、ツナやアンチョビなどの、様々な日持ちのしそうなものを買っておく。

それから外国人用の少し高い豆乳やコーンフレーク類なんかも買っておいた。


その後本当に外出禁止令が出て外に出られなくなったけれど、食べ物には困らずに済んだ。

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