第6話 覚悟を決めろ
・は場所
:語り
・霧島ショッピングタウン
屋外駐車場。多くの車が潰され、ひっくり返されている。大雨の中、
叶「いやああああああああああああああああああッ! 」
叶は泣き崩れた。
闘牛「その少女は勇敢に立ち向かった。我が何度も致命傷を与えたのにも関わらず、立ち上がり向かってくる。未熟な体とは裏腹に強い意志を持っていた。お前はどうだ宮城叶? 」
叶は闘牛の顔を見上げた。
闘牛「聞かずともその目を見ればわかる。お前、誰かに言われるまま戦ってきたのだろ? 」
叶はハッと驚いたような顔をした。
闘牛「図星か」
叶「何よ……それが何だっていうのよ! あんたの言う通りよ! わたしは急に魔法少女になれだの彩無と戦えだの使命を押し付けられたから戦ってんのよ! でも、それが何だっていうのよ! ま、魔法少女になった子たちはみんなそう思ってるわよ! わたしだけじゃないわよ! 」
闘牛「ほんとにそうか? 」
叶「え? 」
闘牛「少なくともその少女は違うな」
叶「は? 何言ってんのよ。意味わかんないのよ」
闘牛「もういい。これ以上お前のような弱者の声など聴きたくない。耳障りだ。(右手に斧を生み出し、振り上げる)宮城叶、お前の生はここで終わる。安心しろ、痛みは一瞬だ」
闘牛は斧を振り下ろす。闘牛の体中に黒い影のようなものがまとわりつき、叶の頭に当たる直前で斧を止められた。
闘牛の頭の中に声が響く。
黒ずくめ「わたしの話をちゃんと聞いていましたか? 殺すなと言ったはずですが」
闘牛「そんなことは知らぬ。いいから離せ」
黒ずくめ「そうですか……とゆうことは死ぬ覚悟が出来ているということでよろしいですか? 」
マキナ「(走って闘牛に迫りながら)かなえ、そこを離れろ! 」
叶は立ち上がり、闘牛から離れた。
マキナ「(ポケットから青く輝く球体を取り出して)これなら」
マキナはそれを握った拳で闘牛を殴った。マキナと闘牛がいるあたりが青く輝く。
闘牛「なんだこれは!? 」
叶「マキナ! 」
闘牛の背後に小さなブラックホールのようなものが現れた。
闘牛「お、おのれええええええええええええッ! 」
闘牛は吸い込まれた。
マキナは目から血の涙を流し、膝に手をついた。
マキナ「はぁ……はぁ……(叶に向かって)とりあえず大丈夫だ。奴を別の空間に飛ばした。……かなえ? 」
かなえはただじっと立っている。
空中に黒い影のようなものが浮いている。
黒ずくめ「いろいろとトラブルはありましたが、まぁこれでいいでしょう。これは紛れもなく主が求めていた形だ。宮城叶は二度と魔法少女にはならないだろう。なぜなら魔法少女として戦うことの恐ろしさを知ってしまったのだから」
・市街地
高層ビルの屋上。黒い膜から出れない金仮面と銀仮面。銀仮面は黒い膜をひたすら切りつけるが、ビクともしない。金仮面は屋上に寝そべってケータイをいじっている。
銀仮面「おい、ちょっとは手伝えよ! 」
金仮面「さっきまでやってただろー? こんなの無理無理。俺様は救助がくるまで待機を希望するっと……あっちゃー、派手にやられてんぜ我らがホームグラウンド」
詩音「のんきなこと言ってる場合じゃないっすよ」
二人の頭に詩音の声がひびく。
金仮面「おっ、無事だったか~よかったよかった」
詩音「非難したのでなんとかなりました。そ・ん・な・こ・と・よ・り、被害っすよ! ひ・が・いッ! あの牛野郎、タウンの施設の三分の一をぶっ壊していきやがったんっすよ! あーチクショウ! おまけに人間の色を奪わずに殺戮殺戮。ほんと胸糞悪い奴っすよ! 」
銀仮面「で、その牛野郎は今はどうしてんだ? 」
詩音「銀髪ロリロリぼくっ子俺得大天使……いや、デウス・エクスマキナがどこかに飛ばしました」
金仮面「うひょー、そいつはすげぇや」
詩音「とにかく出来るだけ早く戻ってきてください。作戦をたて直します」
・病院
時刻は午後九時。叶が目を開けるとそこは病院の廊下で、ベンチに座っていた。隣にはマキナがいた。忙しそうに看護師が廊下を走ったり、大けがをした人たちがタンカーで運ばれたりしている。治療を受けた人や治療を待つ人で廊下はいっぱいだった。
マキナ「気が付いたか」
叶「ここは? 」
マキナ「病院だ。あのあと、かなえは気を失ってここに運ばれたんだ」
叶「そう……だったんだ……橙果ちゃん、橙果ちゃんはどうなったの? 」
マキナ「今、手術を受けている最中だ……」
三十代くらいの夫婦が1人の看護師に尋ねる。
夫「すみません、文月橙果の父ですが娘が今どうゆう状態か教えてください! 」
看護師「娘さんは今、手術中です。詳しくは他の人に聞いてください。わたし、行かないと行けないんで」
看護師は走っていった。
夫「ちょっと、ちょっと! 」
妻「あなた、橙果は大丈夫なのかしら」
夫「俺に聞くなよ。看護師があんな状態じゃわかるわけないだろ」
妻「橙果になにかあったら、わたしどうしよう……」
妻は泣き出した。
夫「おい、そんなこと言うなよ! 」
その様子を見ていた叶の手は震えていた。マキナはその手を優しく握った。
叶「マキナ……」
マキナ「今日はもう帰ろう。いろんなことがあって疲れただろ? 」
叶「うん……そうしよっか……」
叶は無理に笑顔を作って答えた。
・霧島ショッピングタウン
とある研究所の大きなモニターのある部屋。詩音はアイマスクをしてソファーの上で寝ている。
自動ドアの開く音(ウィーン)
詩音はアイマスクを外して起き上がり、自動ドアの方を見た。喜助と宗助が部屋に入ってきた。
詩音「二人とも遅いっすよ! 」
喜助「ごめんごめん、この辺なんか警察やら消防やらやじ馬やらで混雑しててさー」
詩音「言い訳はいいですからミーティング始めますよ! 」
喜助「へいへーい」
宗助「今回の襲撃は二体の彩無による仕組まれたものだった」
詩音「そうみたいっすね。なんでここを狙ったのかはわかりませんが」
喜助「なーんでここを狙ったんだろう……。施設をちょっと壊して一般人を巻き込んでってさ。ここを狙う理由ってんなら詩音ちゃんを殺すってのがベストなんだが、詩音ちゃんを狙った感じでもない」
宗助「(ひらめいた表情で)彩無は詩音を狙っていない……だとすればなぜ……? 」
詩音「わかりませんねぇ……」
・叶の家
翌日の朝。マキナが目を覚まし、リビングに出ると浩二が1人で朝ご飯を食べていた。
浩二「おはよう、マキナちゃん」
マキナ「かなえは? 」
浩二「かなえならもう学校に行ったよ」
・大学
講義を受けている叶と桃。叶はぼおっとしている。
桃「(叶の肩を叩きながら)かなえちゃん、かなえちゃん、ちゃんと聞いてる? 今、大事なところだよ」
叶「え? あ、大丈夫……大丈夫だから……」
正門に向かって歩く叶と桃。
桃「かなえちゃん、昨日は災難だったね。まさかタウンがあんなことになるなんて」
叶「うん、そうだね……」
桃「でも、わたしたちの店がある建物はなんともなかったからバイトに支障はなさそうだよね。よかった! よかった! 」
叶「うん……」
桃「そうだ! これからカラオケでも行っちゃう? わたし、熱唱しちゃうよ~! 演歌、アニソン、KPOP~! 」
叶「ごめん、今日は用事あるんだ……」
桃は足を止める。
桃「かなえちゃんどうしたの? 」
叶は振り向く。
叶「どうもしてないよ」
桃「ウソ、何か一人で抱え込んでるでしょ。見てたらわかるよ」
叶「そんなこと……」
桃「(まじめな顔で)辛かったら目をそらしていいんだよ? 怖かったら逃げていいんだよ? 自分の気持ちに正直でいいんだよ? 他人のことなんか考えなくていいよ。自分のことだけ考えればいいんだよ」
叶「……桃? 」
桃「ごめんね、変なこと言っちゃって……」
叶「うんうん……ありがとう……」
叶:このまま逃げてしまおうか。魔法少女とか使命とか何もかもほうり投げて逃げてしまおうか。そうすれば、きっといつもの日常が帰ってくる。死の恐怖に怯えず、痛みに耐えることなく平和な日常を取り戻せる。
・病院
叶は病院についた。入口の前。
叶:わたしがどうするにしても、橙果ちゃんがどうなったかは知らなければいけないと思った。自分のせいで橙果ちゃんがどうなったのかは知らないといけないと思った。
ナースステーション
叶「(看護師に向かって)すみません、昨日搬送されてきた文月橙果さんってどうなったか教えていただきませんか? 」
看護師「親族の方ですか? 」
叶「いえ、違います」
看護師「でしたら、お答えすることは出来ないです」
叶「そう……ですか……」
橙果の母「(叶に向かって)あのお、橙果の母ですけど……あなたは? 」
病院の廊下を歩く橙果の母と叶。
橙果の母「そうですか、あの現場で橙果と一緒にいたんですか」
叶「そうなんです。わたしもこの病院に搬送されたんですが、なんともなかったので……橙果ちゃんがどうなったのかが気になって……」
橙果の母「そうですか……この部屋です」
橙果の母と叶は病室に入った。
そこには顔以外包帯がまかれていたり、何かの器具で固定されている橙果がベットで寝ていた。
叶は目をそらした。
橙果の母「なんとか助かったんですけど意識が戻らなくて……後遺症ものこるかもしれないって先生からは言われています。もともと大人しい子だったんです。いろいろ習い事をやらせてみたんですけど、どれもなかなか上達しなくて……学校もあまり楽しくないって……でも、最近少し明るくなったんですよ。自分にしか出来ないことを見つけたって言ってて……何のことなのか教えてもらえなかったけど……でも、楽しそうだったんですよ。(泣きながら)私ったら何言ってるんだろう。ごめんなさい、ちょっとお手洗い行ってくるわね」
橙果の母は叶に涙を見せないように部屋から出た。叶はベットの横にある椅子に座り、橙果の頭を撫でた。
叶「(涙を流しながら)ごめんね、ごめんね……ごめんね……」
叶は橙果を抱きしめて泣き続けた。
・かなえの家の下
叶がマンションに入ろうとするとそこにはマキナがいた。
マキナ「橙果はどうだった? 病院にいったんだろ? 」
叶「意識がなかった……」
マンションに入ろうとする叶の手をマキナがつかんだ。
マキナ「一緒に来い」
叶「なんで? 」
マキナ「いいから」
・公園
叶はマキナに連れられて公園にやってきた。
叶「なんで公園? 」
マキナ「お前は自分のせいで傷ついた人を見た」
叶「……」
マキナ「じゃあ、今度はお前のおかげで助かった人を見るべきだ」
叶「え? 」
マキナが指さした方には
叶「あの子って……」
マキナ「お前が助けた少女だ」
少女は何度も何度も失敗するが最後には逆上がりを成功した。
少女「やった! ママー! できたよ! 逆上がり出来た! 」
ベンチに座っていた少女の母が少女に駆け寄る。
母「やったね」
少女「これで魔法少女に一歩近づけたかな~? 」
母「あかりはほんとに魔法少女が好きね」
少女「ただの魔法少女じゃないよ? わたしを助けてくれたあのお姉ちゃんみたいになるんだ! 」
母「はいはい。帰ってご飯にしようね」
叶「こんなの見せられても気持ちなんか変わんないよ……だって、自分が死ぬかもしれないんだよ! 怖いにきまってんじゃん! やりたくないに決まってんじゃん! 」
叶は走って逃げた。
マキナ「逃げられないぞ! 魔法少女になった以上、逃げ道なんかないんだぞ!立ち止まって死ぬか、覚悟を決めて前に進むかそれだけだ! 」
叶「そんなの……そんなの……」
叶は逃げた。
叶(誰もわたしの苦しみなんてわかるわけない。誰かを助けるために自分の命なんかかられるわけない。ほかの魔法少女だってきっとそう思ってるはず。ほかの魔法少女だって……)
叶の回想。喫茶店での橙果との会話。
橙果「でも、わたし嬉しいんです! わたしにも出来ることがあることが」
叶は足を止めた。
叶「橙果ちゃんがそうでも……わたしには無理だよ……」
マキナ「彩無は明日の夜に再び現れる。それまでに答えを出すんだ。僕はかなえが答えを出すまでは姿を消すよ。宮城叶、僕は信じてるよ。お前が覚悟をきめることを」
マキナはどこかへ行った。
翌日、講義を受けている叶。桃と電車で帰る叶。橙果の病室を訪ねる叶。
夕方歩いて家に帰る叶。叶は夕空を見上げる。
叶:答えを出せないまま時間はあっという間に過ぎていって……もうすぐマキナの言っていた夜だ。わたしはどうしたいのだろうか。死にたくないのに、怖いおもいをしたくないのに、どうするのか決断できない自分がいる。逃げ出したい。逃げ出したい。逃げ出したい。だけど、何かが胸に突っかかる……
・港の工場地帯
夜。多くのコンテナが並んでいる。空で何かが割れて、隕石のように闘牛が落下して爆発が起きる。
闘牛「やっと戻ることが出来た。ん? 」
闘牛の前にマキナが現れる。
闘牛「まるで我を待っていたようではないか。小娘」
マキナ「その通りだよ。僕はお前が来るのを待ってたんだ」
闘牛「ほお。この
マキナ「その点に関しては安心しろ。次は息の根を止める」
闘牛「そうか。死にたいのだな小娘ッ! 」
闘牛はマキナに迫り右ストレート。マキナはそれを回避したが、次に来たまわし蹴りをくらって宙に舞う。上手く体制を立て直し、着地する。
闘牛「むおおおおおおおおおおおッ! 」
闘牛は頭の角を向けて突っ込んできた。マキナはそれを回避。闘牛はコンテナに突っ込みコンテナを破壊した。
・ビル
工場地帯から少し離れたビルの屋上。金仮面と銀仮面、詩音の三人はマキナと闘牛の戦闘の様子をうかがっていた。
金仮面「まさか先客がいらっしゃるとはな~」
詩音「援護したいっす! 援護したいっす! 」
金仮面「今はなんとかなってるけど危ねぇよ」
銀仮面「俺が片づけてきていいのか? 時間の無駄だ」
詩音「そうですねー……いや、あれ見てください! 」
詩音が指さした方には叶が工場地帯を目指して走っていた。
・別のビルの屋上
黒ずくめの男が1人でいる。男は壁を殴った。
黒ずくめ「なぜ、宮城叶がここにいる! ああ、主よ。わたしはどうすればいいでしょうか……そうですね。そうですよね。殺してしまえばいいんですよね」
・工場地帯
闘牛の攻撃をひたすら回避するマキナ。マキナはつまづいてしまう。
マキナ(しまった!? )
マキナはこけてしまう。
闘牛「ここまでのようだな」
闘牛は斧を生み出して振り上げた。
叶「マキナああああああああああああああああああ! 」
叶が走ってくる。
闘牛「(叶を見て)また貴様か。これで……死ねッ! 」
闘牛はかなえめがけて斧を投げた。叶はそれを回避した。
闘牛「甘いなッ! 」
斧は進路を変えてまた叶に飛んでいく。
マキナ「かなえ! 」
マキナは叶に近づく。そして、二人が交わったとき二人は赤く輝く光に包まれた。
闘牛「ぐぬぬぬぬ、ぐわああああああああああ! 」
斧と闘牛は吹き飛ばされてコンテナに激突した。
・赤い光の中
叶とマキナはいた。
マキナ「かなえ、ここに来たってことは覚悟を決めたってことでいいんだな? 」
叶「……」
マキナ「かなえ? 」
叶「わたしさ、中学生のときはソフト部だったんだ」
ここから叶の回想
グラウンドでチームメイトとソフトボールをしている叶。
叶「ポジションはファーストで、打順は7番。ウチの顧問はソフト未経験者で何にも出来なかったから自分たちでサインとかも考えてやってたんだ」
ファミレスで友達と楽しく会話している叶。
叶「試合の帰りにはみんなでファミレスよって、恋バナとかしてさ。ほんとに楽しかったな~」
同期の男の子に告白して、泣いてその場を立ち去る叶。
叶「あとあのことは忘れられないかな。あの頃、好きな人に告白したんだけど『お前みたいな肌が黒い女子は嫌だ』って言われちゃって……あのときはへこんだよ。しばらく、部活もいかなくなっちゃって」
叶を慰める桃。
叶「桃は部活は違うけどずっと一緒にいてくれたんだ」
叶を振った男の子が桃に告白した。
叶「わたしを振った子が桃に告白したのには驚いたけど」
以上、叶の回想。
マキナ「その話はかなえの覚悟と関係あるのか? 」
叶「ごめんね、関係ないように聞こえるよね。要するにさ、中学生の頃のわたしってさ、自分の将来のこととか想像つかなくてただ毎日を一生懸命に生きてたんだよ。友達と遊んで、恋して、オシャレして……それが普通だったんだ。橙果ちゃんとか他の魔法少女の子たちにとっても……うんうん、他の人たちにとってもそうだと思うんだ。だから、だから……こんな不安な毎日からみんなを解放してあげたいって思ったんだ」
マキナ「それがかなえの覚悟か? 」
叶「うん。わたしは……宮城叶は一番強い魔法少女になって、全ての彩無を封印する! そして、みんなの普通を取り戻す! 」
マキナ「かなえがそう言うのなら僕はこれからもかなえのそばにいるよ」
マキナは杖に変わった。マキナえお掴み、叶は
叶「いくよマキナ! 」
マキナ「ああ! 」
叶は杖の目にカードをかざす。
叶「
叶の身に着けているものが消え、髪が赤くなり、魔法少女の姿になった。
・工場地帯
赤い光が消え、魔法少女となった叶が現れた。
闘牛「現れたな宮城叶。今度こそ我はお前を殺すぞ」
叶「やれるもんならやってみなさいよ! ……その代わり覚悟しなさいよ」
闘牛「なに? 」
叶「(闘牛に杖を向ける)心機一転した、魔法少女カナエ&マキナは想像絶するほど強いからッ! 」
マキナ「そーだ! そーだ! 」
闘牛「おもしろい……なら、試して……」
「主はおっしゃったのだ……主はおっしゃったのだ……」
どこからか声が聞こえる。闘牛に黒い影のようなものが取り付いて動けなくなる
闘牛「チッ……」
叶「なに、この声? 」
「主はおっしゃったのだ……宮城かなえ、その命を刈り取る! 」
その瞬間、ナイフを持った黒ずくめの男が現れ叶を刺そうとした。
叶「え? 」
マキナ「かなえ! 」
黒ずくめの男の前から叶が消えた。気が付くと叶は銀仮面にお姫様抱っこされていた。
叶「(少し赤面する叶)ん? な、なにこれ? 」
黒ずくめ「(銀仮面に)また、あなたですか! 」
銀仮面「お前らの狙いはこいつだったんだな」
叶「え、なんのこと? 」
黒ずくめ、めがけて金仮面が放ったランスが飛んでくる。黒ずくめは回避した。喜助の後ろにいた詩音が前に出てくる。
叶「霧島詩音……!? 」
詩音「(黒ずくめ)いや~この前は私の部下がお世話になったようで」
金仮面&銀仮面「誰が部下だ」
詩音「わたしが直々にお礼をしようと思いまして」
詩音は変身して、魔法少女の姿になった。
黒ずくめ「それは恐ろしいな。喧嘩は苦手なので」
詩音「(笑顔で)またまた~。ではでは、名前も知らない黒い人。(目つきが変わる)ぶっ殺しますね」
その瞬間、黒ずくめの体から血が噴き出した。
黒ずくめ「なん……だと!? 」
叶:事態はなんだかよくわからない方向に動き出したようです。私が思うところを申しますと、はやくおろしてください。
(つづく)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます