第4話 魔法少女二人
・は場所
:は語り
・大通り
逃げる
叶「待て、こらああああああああッ! 」
彩無「待てと言われて待つ奴がいるかバカ! 」
マキナ「それもそうだなぁ……」
叶「なに納得しちゃってんのよ! あいつはわたしの貴重な睡眠時間を奪った! 絶対に許さない! あと一時間は眠れたんだ! あと三十分は夢を見れたんだ! それなのに来たらこれよ! ナンパしてるし、
叶は
叶「塵一つ残してやらないんだからッ! 」
マキナ「魔法少女の発言とは思えないな……」
叶が杖の目を彩無に向けると、四つの火球が彩無めがけて放たれた。
叶「燃えろ! 」
彩無「すごはや……」
彩無が小さくそうつぶやいた瞬間、彩無は青いオーラを身にまとい、高速で火球をかわした。
叶「なによあれ!? 」
彩無はチラッと叶の方を見て、高速で走り出した。一気に距離を開けられ、彩無の姿は見えなくなり、叶は足を止めた。
叶「めちゃくちゃ速いんだけど、あの彩無!? あんなの追いつけないって! 」
マキナ「そうか? 速さなら一つあてがある気がするんだが……」
叶「はぁ……。使いたくないけど、しょうがないわよね」
叶は
叶「お願い力を貸して。あなたの力が必要なの。わがままは言わない。わたしを彩無のところまで連れて行ってくれるだけでいいから。これはあなたにしかできないの」
・高速道路
車を避けながらを走る彩無。
彩無「ここまで来れば魔法少女も追いつけない。と思うが、念には念を入れて……まだまだ逃げまくるぜ~」
彩無は何かを感じて急に立ち止まり、振り返る。振り返った先には
しかし、それは叶ではなく、オレンジ色の髪の少女だった。
少女「わたしがやるんだ……わたしがやるんだ……わたしがやるんだ……」
少女は何度もそうつぶやいた。
彩無「クソッ! また別の魔法少女か! 」
また走りだす彩無を少女は追いかける。
少女「これで! 」
少女は
彩無は再び逃走し、少女が追いかける。彩無はパーキングエリアに入った。少女も後を追う。
彩無はパーキングエリアの駐車場を走り回り、少女は
駐車場にいた人たちは店の中に避難した。
彩無「俺のスピードにはついてこれない」
走り回る彩無、攻める少女。
叶「うわあああああああああああああああああッ! 死ぬううううううううううううううう! 」
二人の間を一瞬、何かが通過して、店に激突した。激突した場所から叶が落ちた。
彩無&少女「え? 」
叶「痛った~。まぁ、いいわ。(
叶は杖を構える。
叶「もう逃がさないんだから! ……って、なんか魔法少女いるんですけど!? 」
マキナ「魔法少女はお前を含めて七人いる。鉢合わせても不思議なことではない」
叶「ふーん。まぁ、その辺の話は置いといて……まずはこいつをぶっ飛ばす! 」
叶は
彩無「またお前か、すごはや! 」
青い光を身にまとった彩無はそれをかわす。
彩無「ひょ、ほい、あらよっと」
叶「こら避けんな! 」
少女「あっ、わたしもやらなくちゃ! 」
少女は
二人は切りかかるが、彩無はなんとかかわす。
叶と少女は攻撃をやめ、息を切らした。
少女「全然……当たらない……」
叶「速すぎる……」
彩無「ズバリ、実力不足だな。アディオス、魔法少女! 」
彩無は高速で移動し、高速道路から飛び降りた。そして、着地し、また高速で移動した。
道路の端で地団太を踏む叶。それをポツンと眺めている少女。
叶「クッソ~また逃げられた~! 」
マキナ「かなえ、早く追うんだ! 」
叶「んなことわかってるわよ! 」
少女「あのぉ……」
叶は少女の方を向く。叶と少女は見つめあう状態になる。
叶「あ……」
・空中
叶と並び、少女は
叶「えっ!? 今日が初戦闘なの!? 」
少女「はい、そうなんです……。この前の夜はピアノのレッスンでどうしても行けなかったので……」
叶「……ってことは、一応わたしが先輩になるわけか」
少女「よ、よろしくお願いします」
少女は軽く頭を下げた。
マキナ「魔法少女力はその子の方が上だがな……」
叶「そうなんだよねー。ショックだなぁ……」
少女「お姉さんの杖……」
叶「かなえでいいよー」
少女「かなえさんの杖って、喋るんですね」
叶「今は杖なんだけど、ほんとは人なんだ」
マキナ「いや、違う。神さまの使者だ」
叶「あ、そうだったそうだった。失敬、失敬」
少女「あと、わたしの杖とはデザインが少し違いますよね」
少女は叶に自分の杖を見せた。杖の長さは変わらないが、先端には目ではなく大きなハートがあり、ハートの中央にはオレンジ色の宝石が埋め込まれている。そして、ハートからは翼が生えている。
叶「うわー。魔法少女っぽい」
マキナ「これからどうするつもりなんだ? 」
叶「大丈夫、いい方法思いついたから。(少女に向かって)あなたにも手伝ってもらうわよ」
少女「あ、はい! 」
・市街地
歩道で、女性をナンパしている彩無。無視して歩き続ける女性。
彩無「おいおい、彼女~俺とお茶しようぜ~」
彩無は女性の肩に手をかける。女性は『ふんっ』と言って、手を振り払い歩いてった。
彩無「チェッ、つまんねぇの」
『ナンパの相手ならわたしがしてあげようか? 』と後ろから声がした。
彩無「ほれ来た! こいつはカワイ子ちゃんに違いない」
彩無が振り向くとそこには叶が立っている。
叶「よっ」
彩無「げっ、魔法少女! 」
叶「もう逃がさないよ! 」
叶は
叶「さてさて、どうでるかな? 」
彩無は高く飛び、炎の渦を脱出した。すると、彩無の背中に
彩無「ぐはっ」
少女は
少女(かなえさんの言う通りだ! )
・空中 少し前の話
彩無を見つけるまでの会話。
マキナ「いい方法とは? 」
叶「ズバリ、あいつが高速移動できない状況を作ればいいわけよ」
少女「どうゆうことですか? 」
叶「あいつについてわかってることは、その①高速移動が使える。その②瞬間移動などではなく、ちゃんと走っての移動だということ。その③攻撃を受けたがらないところ」
少女「そうですけど……③に関しては誰にでも言えると思いますが……」
マキナ「(少女に向かって)お前の言う通りだが、かなえの言いたいことはそうゆうことじゃないだろ? 」
少女「え? 」
叶「わたしもこないだの彩無としか戦ったことがないから断定はできないけど、今回の彩無は自分の能力を乱用してまで攻撃を避けてる。たぶん、防御力に自信がないんだと思うんだ」
少女「言われてみると確かに能力を使いすぎな気がします。でも、あのスピードをどうにかしないと……」
叶「ここで、その②よ! あいつの能力は走っての移動。つまり、地に足がついていないと能力が使えない」
マキナ「なるほどな」
叶「まず、炎の渦で彩無を覆う。あいつはダメージを受けながら炎から脱出するか、無傷で渦を飛び越えるかの選択を強いられる。最初に言ったわたしの仮説が正しければ、飛び越える方を選ぶわ。(少女にむかって)そこをあなたが攻撃。弱って落下してくるところを……」
・市街地
叶は
叶「わたしがぶった切るッ! 」
彩無「やめろ! やめてくれええええええ! 」
叶「覚悟しなさいッ! 魔法少女カナエ&マキナ……フューチャリング……って、(マキナに向かって)あの子誰だっけ? 」
マキナ「くだらない決め台詞はいいから、さっさと決めろ」
叶「ま、いっか。それじゃあ、気を取り直して……
叶はジャンプして、落下してくる彩無の胴体を真っ二つに切り裂いた。
彩無「ぎ、ぎやあああああああああああああ」
彩無は赤い光に包ま、消えた。そして、宙には
叶「今回は全然、色がでなかったわね」
マキナ「ナンパしかしてなかった証拠だな」
少女が
少女「やりましたね、かなえさん! マキナさん! 」
少女は嬉しそうに笑顔でそう言った。
叶「(少女にむかって)あなたのおかげよ」
マキナ「かなえは魔法少女力に関してはダメダメだが、戦闘の時によく頭が回るな」
少女「ほんとすごいです。かなえさん! 」
叶「あははは、それほどでも~。そうだマキナ、今何時? 」
マキナ「八時だが、学校は大丈夫か? 」
叶「今日はないよ」
少女「あー! 学校あるの忘れてた! 」
叶「(少女に向かって)土曜日なのに? 」
少女「は、はい……ウチの学校、私立なので……」
少女は飛行にまたがりながら、そう言った。
叶「あ、そうだ! 名前! (少女に向かって)名前聞いてなかったよね! 」
少女「え、えと……
叶「よろしくね」
橙果「では、わたしはこれで」
橙果は
叶「バイバーイ」
叶は橙果が飛んで行った方へ手を振った。
叶「さてさて、帰ってもうひと眠りといきますか」
マキナ「だな」
・叶の自室
時刻は午後一時。
ベットで寝ていた叶は目覚める。携帯を見ると桃からの連絡が入っている。
『三時頃から店長に勧められたバイト先に行くんだけど、どう? 行くなら三時にバスターミナルに来て』
というものだった。
叶は『わたしもいくよ』と返信を送る。
布団の方を見ると、マキナの姿がない。
叶「あれっ、どこいったんだろ? 」
・リビング
リビングには浩二が一人で、戦艦のプラモデルを作っている。部品に接着剤を付け、ピンセットでゆっくりと組み立てている。
叶がリビングにやってくる。
叶「とうさん、マキナは? 」
叶の声に驚いて、浩二は手でプラモをはたいてしまった。プラモは机から落ちた。
叶&浩二「「あ」」
床に落ちたプラモはバキッという音をたてて割れた。
浩二「うわああああああああああああああ! 俺のプラモおおおおおおおおおおおッ! 」
叶「あ、ごめん」
浩二「いや、いいんだ。父さん、ホビーを壊されたくらいで怒る器の小さい男じゃないから。5000円もするプラモだったけど、全然怒らないから。全然、気にしてないぞー」
叶「えっ、プラモに5000円も出したの? もったいなッ! 」
浩二「おい小娘! 貴様がそれを言うか!? 言っちゃうのか!? 」
浩二「マキナちゃんなら、散歩に出かけたぞー」
叶「マキナを一人で外に出したの!? 」
浩二「そんなに遠くまでは行かないって言ってたから大丈夫だろ」
叶「だけど……」
叶(会う人、会う人に神の使いだなんだ言われるのは困る)
叶「待ち合わせの時間まで探しに行きますか……」
・藤巻駅周辺
誰もいない路地裏。そこには牛の顔をした大柄な男と黒いマントに身を包んだ仮面の男がいた。
牛男「なんの用だ? 我を眷属にするつもりか? 」
仮面「そんなつもりはないさ。ただ、きみに依頼をしに来たんだ」
牛男「依頼だと? 」
仮面「簡単な話だよ。一人、痛い目に合わしたい魔法少女がいるんだ」
牛男「そんなこと、お前自身ですればいいではないか」
仮面「僕は他にやらなければ、いけないことがあるからね~」
牛男「で、何色の魔法少女をやればいいんだ? 」
仮面「赤色の魔法少女。名は宮城叶……」
牛男「いつやればいいんだ? 」
仮面「いつだって構わない。君がしたいときでいいさ。でも、殺すなよ? 」
牛男「ふっ、おかしな依頼だ」
バスターミナルに叶はいた。
叶「マキナのやつどこ行ったのよ~。もう三時だし……」
桃「かなえちゃーん! 」
桃が走ってきた。
桃「ごめんね。待った? 」
叶「いや、わたしも今来たところだよ」
桃「そっか。ならいこっ」
叶「うん」
叶と桃はバスに乗った。
・霧島ショッピングタウン
テーマパークほどの広さがあると言っても過言ではない施設。ショッピング、ファッション、グルメ、映画、スポーツが楽しめる場所となっている。そのほかにも大学病院があったり、研究室があったりする。
叶は霧島ショッピングタウンを見て、目が点になっている。
桃「かなえちゃんはここに来るの初めてだっけ? 」
叶「噂には聞いたことがあるけど……まさか、ここまでとは……」
桃「わたしは何回か来たことあるけど、それでも驚いちゃうよ。なんてったって、ここの施設は全部、霧島グループのものらしいからね」
叶「ぜ、全部!? 」
桃「うん、全部だよ」
叶「最近、大型ショッピングモールが次々と無くなっていってるのって……ここのせいじゃ……」
叶は小さくそうつぶやいていた。桃は先に入口に向かっていた。
桃「(かなえに向かって)なにしてんのー? 行くよー」
叶「あ、うん」
叶と桃はショッピングタウンの中にある本屋にいた。
店長「宮城叶さんと瀬戸内桃さんだね。今日は一時間ほどどんな仕事をするか見てもらうから」
叶&桃「「はい」」
店長「ちょっと待っててね」
店長はどこかへ行ってしまった。
叶「店長はこんな立派な本屋さんとどこで繋がってたんだろう? 」
桃「面識があるわけじゃないけど、あの火事の後、霧島グループの人から『バイトを一時的にウチで預かってもいい』っていう電話があったらしいんだよ」
叶「なんで? 」
桃「さ、さあ? 」
店長が金髪の青年を連れて戻ってきた。
店長「ごめんねー。待たせちゃって」
叶「いえ、大丈夫です」
店長は連れてきた青年の肩にポンと手を置いた。
店長「君ら2人には彼の仕事を見て欲しいんだ」
喜助「はじめまして。東喜助と言います。よろしく〜! 」
叶&桃「よろしくお願いします」
二人は喜助に店の中を案内してもらう。
・叶の家
マキナ「ただいま」
ドアを開けて、玄関にマキナが入ってきた。
浩二「お、マキナちゃんおかえり~。散歩どうだった? 」
浩二が玄関にやってきた。
マキナ「楽しめた」
リビングに浩二とマキナがいる。浩二はプラモデルを組み立てている。
マキナ「え、かなえが? 」
浩二「そうなんだよ。マキナちゃんを探すために飛びだしちゃって」
マキナ「そうか……。僕は迷惑をかけてしまったのだな」
マキナはうつむいている。
浩二「迷惑だなんてそんな……叶が心配性なだけだよ。そうだ! 」
浩二は何かを思いつきプラモを組み立てるのを中断し、立ち上がる。
浩二「マキナちゃん、晩飯まで暇だろ? ゲームやってみるか? 」
マキナ「ゲーム? 」
浩二「そう、ゲーム! ソフトは……」
浩二は自室から何かを持ってきて、マキナに見せた。
浩二「トラモンクエストⅤ大空の花嫁ッ! 」
マキナ「はい? 」
・霧島ショッピングタウン
喜助に店のことや仕事のことを教えてもらった二人。
桃「(喜助に向かって)すいません。わたし、お手洗いに行ってもいいですか? 」
喜助「いいけど、場所わかる? 」
桃「はい、何度か来たことあるので」
喜助「そっか。いってらっしゃ~い」
喜助は笑顔でそう言い、桃はお手洗いに言った。桃がこの場を離れた瞬間、喜助の表情が真剣になった。
喜助「宮城さん、質問いいか? 」
叶「はい、いいですけど……」
喜助「桃ちゃんって彼氏いるの? 」
叶(うん、その質問来ると思ってた)
叶「いないと思いますけど……」
喜助はふぅと胸をなでおろし、笑みを浮かべた。
喜助「そ、そうなんだ~。あ、勘違いしないでくれよ? 別に付き合いたいとか狙ってるとか思ってないからな! 決して思ってないからな! もちろん、やましい気持ちも…… 」
一人でしゃべり続ける喜助。
叶「は、はぁ……」
叶は喜助から目をそらした。
叶(また一人、あの巨乳に魅了されたか……)
叶の視界に、高いところにある本を取ろうとしている緑色の髪の少女が映った。
叶「すいません。わたし、ちょっと行ってきます」
喜助は一人でしゃべり続けている。
少女は背伸びして、本を取ろうとしているが取れない。叶は本を取り、少女に渡した。
叶「どうぞ」
少女「あ、どうもっす」
叶は喜助の方へ戻ろうとした。
少女「(叶に向かって)ここの仕事どうですか? 」
叶「えっと、まだわからないかなぁ……」
少女「あなたが働いていた居酒屋が時給900円。ここは950円で交通費もつく。いいと思うだけどなぁ~」
叶「確かに時給だけ見ればね……って、なんで居酒屋の時給知ってるの!? 」
少女「宮城叶さん、あなたのことはいろいろと調べさせてもらいました。家族構成、交友関係、人柄、その他もろもろ……。あと、あなたがここに来るように仕向けたのはわたしです」
叶「な、なんで? 」
少女「それをここで言うと、あなたが困ることになるので……」
少女は叶の近くまで行き、耳元でささやく。
少女「あえて、こういう言い方をします」
叶「えっ」
少女「今日は相棒のデウスエクス・マキナさんは一緒ではないんですね」
少女はそう言って、叶の横を過ぎた。叶は振り向いた。
叶「あなた、いったい……」
少女「霧島詩音、あなたの同業者ですよ」
詩音は一人で喋り続けてる喜助の足を思い切り踏んだ。
喜助「痛った! なにすんだよ詩音ちゃん」
詩音は喜助を見て、鼻で笑った。
店長「二人とも、明日からよろしくねー」
叶&桃「「はい」」
叶と桃はショッピングタウンの人ごみの中を行く。
桃「いい人、多そうだったね」
叶「うん、そうだね……」
桃「かなえちゃん、どうかしたの? 」
叶「いや、なんでもないよ」
桃「そう? なんかあったら、わたしに言ってね」
叶「うん、ありがとう」
・叶の家
叶「ただいまー」
浩二「おう、おかえり」
リビングでは、浩二は夕飯の準備をしている。
叶「父さん、マキナは? 」
浩二「マキナちゃんならお前の部屋だぞ~」
叶「よかった~。ちゃんと帰ってたんだ」
叶は自室に入った。
マキナ「かなえ、おかえり」
叶「あんた、どこほっつき歩いてたのよ! ……って、何してんの? 」
マキナ「見れば、わかるだろ。ゲームだ」
叶「ほんとだ。懐かしいな~トラクエ」
マキナ「今、ぼくは究極の選択の強いられているんだ。静かにしてくれ。幼なじみヒロインのビアンキと結婚するべきか……それとも、運命的な出会いをしたフローラルとするべきか……」
叶「ちょっとわたしにもやらせてよ」
マキナ「だめだ、絶対にだめだ」
叶「それもともとわたしの物なんですけど? 」
マキナ「だとしても、だめだ。やりたければ、自分のデータを作ればいいだろ」
叶「ちょっとだけだってば……」
叶はマキナからコントラーを取り上げる。
マキナ「おいッ」
マキナが取り返そうとして、取り合いになる。
叶「貸しなさいよ」
マキナ「だめだ、ぼくのデータだ」
叶「わたしのゲームよ」
マキナ「そんなの関係ない」
叶は間違ってボタンを押してしまった。
叶&マキナ「「あ」」
結婚相手がフローラルに決まった。
マキナ「おいいいいいいいいいいいいいいッ! 」
叶「あ、ごめん」
マキナ「やってくれたな! 幼馴染で長きにわたり、主人公に思いを寄せていたビアンキはどうなるんだ! お前に彼女の痛みがわかるのか! 」
叶「何回かやったことあるから、知ってるわよ。この後、子供が出来ることも、奥さんが誘拐されることも」
マキナ「おいいいいいいいいいいいいいいッ! さらっとネタバレするんじゃない! 」
叶「てか、そんなこと言うなら最初からビアンキを選べばいいじゃないの! 」
マキナ「それはそれで、フローラルがかわいそうだろ! 」
二人の言い合いは続く。
・とある研究所
大きなモニターのある部屋。詩音と喜助がいる。
喜助「なんで、叶ちゃんを本屋にさそったりしたんだ? 」
詩音「近くにいてもらう必要がありますから」
喜助「こんなの宗助が知ったらどうなるか……」
宗助「俺がどうかしたか? 」
喜助「うわっ、心臓に悪い登場の仕方するなよ~」
詩音「実はですね。あの赤色の魔法少女、宗助さんと同じところでバイトすることになったっす」
宗助「そうか」
喜助「あれ? 意外な反応」
詩音「いろいろと仕事のこと教えてあげてくださいね」
宗助「ああ、わかった」
喜助「いや~正直、激怒するかと思ったぜ。大人になったな親友! 」
宗助「当たり前だ。仕事と魔法少女のことは関係ないからな。それじゃあ俺はトレーニングに戻るわ」
喜助「おう、頑張れよ」
部屋から出た宗助は廊下で立ち止まり、思い切り壁を殴った。
(つづく)
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