第19話 *魔法使いの作り方*

夜寝静まった静かな時間。現在午後23時。猪の刻に起きている人はこの世界では殆どいない。この世界では娯楽が少ないからか、就寝時間が早い。


実際、アドフさんもしっかり寝ている。

寝込みを襲うようで悪いが、やらせてもらう。


まず、アドフさんにも催眠作用を付与した風魔法で周囲を満たす。寝息が深くなったところで、布団をそっと剥がし、寝巻きを剥がす。この世界では、就寝時に下着を着る風習は無いのか、下半身を隠す布以外、ほぼ全裸状態になる。


彼の寝るまわりの床に魔法陣を四隅に置いて行く。

(失敗したらごめんね)


一度深呼吸を行い、気持ちを落ち着かせる。

もう一度息を吸い、深く吐き出す。



神級魔法は詠唱という名の唄を歌う。

「我、神の使者なり。神の名においてその者に力を与え賜らん。汝の魂魄の強さに干渉し今、彼の者に能力チカラを授ける。その能力チカラは潜在的意識から湧き出し、理を超越し、操るようになるだろう。限界を超えて己が能力チカラを得た時、世界は再び動き始めるだろう。いま、我が与える力、その創造を以って汝に授ける。

ここに新魔創造幻想神手ファントムギフト


詠唱が終われば徐々に魔法陣が発光してゆく。失敗すれば、魔法陣は燃え尽き、成功で青から緑に発光する。青からその他の色での発光は一部失敗。条件が付与される。失敗色はそのデメリットにより、光の色が黒に近ければデスデメリットが強い。逆に白に近ければデメリットが小さい。


今回は……魔法陣が青く発光している。失敗すると被術者は死に至るが、発光すれば、黒色に変化しなければ、死ぬ事は無い。


(よかった)

そう思った。しかし……


「ッッ」


発光が青からオレンジ、いや桃色?その間、サーモンピンク色に発光色が変化した。これは不完全の証。つまり成功はしなかった。


(でも、条件は?)


サーモンピンク色は見た事が無い。元々殆ど使わない魔法だから、比較できないが、適性を持つ人ならば、60%成功する。30%が条件付き失敗。10%が完全失敗。つまり死だ。適性が無いものが行うとこの逆に当てはまる。アドフをスキャンした時、適正ありだったから、60%に賭けてみた。しかし残りの40%は失敗だ。今後に支障が出る。今回はその40%に該当してしまった。この時点でガーディは後悔している。だが、まだ諦めた訳ではない。条件付き失敗は、条件の拘束力の強さで、有利にも不利にもなる。また、不老不死のような、生き続けられるが、死ねない呪いのような条件もある。今回は淡いサーモンピンクだ。黒に近くないなから、せめて彼らしく生きていける条件を付けて欲しいと願った。


発光が終わり、条件の付与が終わった。何が付与されたかまだわからないが、明日には能力解析システムスキャンで見られる。今は次の作業だ。まだ途中で放り出すわけにはいかない。


今のアドフには、魔力袋という臓器が内包されたはずだ。実際に解剖してもわからないが、別次元には確実に存在する。今度はこの袋を使えるように、大きくして魔力を生産・蓄積できるようにする。

方法は、相手を仰向け状態にして、自分がその上に覆い被さり、身体を密着させる。そして、互いの両手を握りあい、術者から被術者に魔力を流し込み広げてゆく。広がる大きさは、術者の魔力の大きさとイメージ力に依存する。ガーディは宇宙のビッグバンをイメージする。何処までも広がる無限の空間、そこには知らない物質【未元物質ダークマター】も存在し有と無、二つが互いのに寄り添って存在する。冷たくて暖かい。しかし生を受け入れず、死も強要しない。そんな不明瞭で不確かな世界を想像する。

想像を明確にイメージしながらアドフに魔力を送り魔力袋を拡張させて行く。徐々にガーディの息が上がる。いくら魔法に精通していたとしても、最高難易度の魔法は集中力と体力がいる。しかし、できるだけ魔力袋を大きくして、不自由の無いようにしてあげたい。


「…ハァ、ハァ」


自分よりはまだ大きくはなっていないが、もう不自由はないかと思う。王級魔法数発、いや世界級魔法一発は打てるか?一般の魔法使いが何万人集まった所で負けるような魔力量ではない。

(もうそろそろ魔力量の固定を……)


魔力の固定を行う為に、手を離し、胸の前に手を置こうと、つないでいる手を離そうとした。


「えっ⁉︎」


一瞬視界がひっくり返った。今自分は天井を見ている。つまり仰向け状態だ。そして視界いっぱいにアドフさんが映る。


(あれ?催眠魔法で朝まで起きないはずなのに…)


どれだけだろうか、お互い暫く見つめ合った。体感的には数分後だが、数秒かもしれないし数十分後かもしれない。アドフは無表情だ。


ガーディはまだ魔力の固定が終わっていないことに気がついたが、無理に身体を動かす事はせずに、様子を見ることにした。


(幸い、体勢が変わる瞬間に拡張速度は最小限に抑えられたし。でも少しずつは拡張してしまう。影響は大きくはないが、不安要素は残したくない。でも今のアドフさんの状態も観察しないとならないし…)


どうして自分はこうもダメなのだろう。彼を見つめながら、心の中で溜息をついた。


そしてガーディの心の声に反応したのかそうでないのか不明だが、アドフが動いた。

互いに握っていた手を離し、片手をガーディの後頭部に添える。徐々に間を狭まる空間。

その距離がなくなり、唇に暖かな感触を覚えた。

ガーディは固まった。そして相手を見つめる。彼は無表情ではあるが、雰囲気は落ち着いている。いつもの彼のように落ち着いていて、暖かな空気を纏っている。瞳の奥も決して、相手を見下すような、ましてや物を見る目で見てはいない。ガーディは彼を見続けた。ガーディ自身嫌悪感は全くない。寧ろ心地良いくらいだ。元々旅に出る時も、好きな人だからこそ、旅の同行を許した。そんな彼のことだから、キス一つで動揺している。


「ふぁ、んっ、…ふぅ」


決して荒々しくはないが、最初は啄ばむ程度だったキスが徐々に深いものになっていく。それでも優しく、唇を舐め、歯列を確かめるように舌が這い、ゆっくり歯の隙間から舌が侵入する。

唇を甘く吸われて、熱い舌が入ってくる

 体に甘い弱い刺激が走る

 アドフの舌が歯列をなぞり、奥に入ってくる


「ん……ふ…んっ…」


俺の舌を絡めとって甘く吸われると、背中を甘い痺れが走り、体温が上がってく。堪らずアドフの首にしがみつく。


込まれた飲みきれない唾液が、顎を伝うとアドフが舐めとり、また唇を合わせてゆく。


「ふ…んぁぁ」


口内の弱い所ばかり弄られて、力の抜けた身体はアドフに支えられてるけど、その手も熱い

 痺れは全身に広がって、快感に身体を支配される。

そんな甘いキスがの嵐の中、口から溢れた唾液を指で絡めとり、すっかりはだけてしまったガーディの胸の先端に塗りつける。その手つきも優しく、胸の敏感さも伴い、快感が上乗せされてゆく。もう観察どころではなくなってしまっている。


「ん…やぁっ…ァン」


胸を愛撫され、すっかり腰砕けになってしまった頃、アドフの手は更に下に這わせてゆく。巡り着いた先は、ガーディ自身の少し小ぶりなそれだ。ゆっくりと宝物を扱うような手技で、扱き上げられ与えられる刺激に素直に反応して既に硬く芯を持ち、控えめに自身を主張していた。


「あぁッ! やッ……はぁ、ンッ」


優しく扱かれながら、その下の袋も丁寧に刺激される。


「んぁッ、アドフさん…もうイっちゃう」


すでに啼き声に変わってしわったが、なんとか訴える。しかし解放されることも、イかせる事もなく、遂に秘部を刺激してきた。


「ぃやァ、そこ…ダメぇ」


まるでガーディの声を無視するかのように、蕾の周囲を指で軽くなぞるように動き、すっかり快感で陥落してしまった瞬間、奥に異物感を感じた。アドフの指だ。だが、とてもじゃないけど普通唾液や先走りだけで簡単に入るわけではない。それがだ、まだ指一本ではあるが、スルリと侵入する。指を出し入れする度に、グチュグチュと卑猥な音を出す。まるで彼の指先に粘液が纏っているかのような錯覚だ。


「ァン…ぁぁ…ンフゥ」


ケツを弄られながら、キスの雨が続き、更には前のモノも刺激される。もういつ暴発してもおかしくない高ぶりに、なんとか許しを乞おうとした。


「アドフさん…ごめん…なさい。離して、イっちゃう…」


苦し紛れに伝え、その手がペニスから離れた。それと同時にキスから一度止み、その間に乱れた呼吸を整えようと深呼吸をした。その間にも、アドフの右手は頭や耳の後ろを撫でるように動き、左手は蕾を解そうと少しずつ押し広げていく。ガーディの呼吸が整った所で、右手を頬に当て、軽いキスをした。その隙に小さな蕾を解した左手を抜き取り、今度は指とは比べ物にならないものが当てられた。再度頬を一撫でされ、丁寧に解され、濡らされたそこに圧倒的な質量が侵入してきた。


「やぁ、あ、あ……!」


 快感に勝る久々の圧迫感に萎えかけたペニスを大きな手が握ってゆるく扱き始める。


 ガーディはアドフの肩に両手を回し、体内に埋め込まれた熱塊の先端が自分の感じるポイントに当たるよう、腰を上下に動かしていた。


「ふ、ぁ……気持ち、いい、っ、あぁッ」


 腰が揺れるたびに、大きな手に握られた小ぶりなペニスの先端からは雄臭い粘液が飛び散ってアドフの引き締まった腹を汚す。

 額に汗を浮かべた精悍な顔は雄の色気に溢れていて、少しでも彼が感じてくれていればと思う。


「っ、アドフさん…気持ちいい、ですか?」


その言葉に反応するかのように、ガーディの頬をスルリと撫でる。言葉がないながらも、反応を返してくれるのは嬉しく思った。


「んんっ、お尻に、もっと突いて……ああッ!」


雄の器官への直接的な刺激も欲しいけど、今はそれ以上に、もっと激しく身体の奥を突き上げて欲しい。

 腰を揺らして太い雄茎を締め付け精一杯のおねだりをすると、優しい野獣は一瞬低く呻いて動きを止め、微かに腹筋を硬直させた後で吐息を零して笑った。微かにだが表情が変化したことに大きな安心感を得ることができた。


「一緒に、イキたいです」


俺より二回り以上大きな身体にギュッと抱き着くと、勃起したペニスが腹に挟まれて気持ち良い。

 アドフの逞しい腹筋にソレを擦りつけるようにして甘えると、自身に埋め込まめているアドフの分身が更に膨張して震えた気がした。


「あっ、すご…激し……あぁンッ、ああっ」


 ガクガクと、速度を上げた激しい突き上げに身体が揺さ振られる。

 今まで気を使うように動いていたストロークから一転、野獣化したアドフの激しい攻めに、全身が甘く痺れて酔い始めていた。



「あ、あっ、……あぁッ」


 突き上げの速さに比例して、ペニスを擦り上げる手も速度を上げていく。

 腰を打ち付けられるたびに、体内で溢れたアドフの先走りがいやらしい音をたてる。


「う、んッ、……あッ、もう…イキそう、出ちゃいます…!」


巧みな動きで限界寸前のペニスを追い上げた手が、ミルクを搾り取るように、根本から先端まで一際強く擦り上げる。


「い、イクッ、イっちゃう!! あ、ぁああッ、ん……んっ!」


 大きな手に搾り出されて。

 細い管を駆け上がってきた熱液は、勢いよく飛び散ってアドフの胸や腹に白い跡を残した。


 少し遅れて、アドフも激しい突き上げを止め、俺の中で大きな雄を弾けさせる。


 ドクドクと大量の雄種を体内に放ちながら、優しい獣はガーディの身体を抱きしめ、汗に濡れた額にそっとキスを落とした。


本当はこの後も彼を観察しなければいけない。そう思っていても全身の倦怠感が許してはくれず、視界が暗転した。

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