第12話 あとがき


北朝鮮は周知の事実として、日米を中心とした「敵対国家」 に対し、外貨獲得や国政の混乱を狙ったさまざまな闇事業を行っている。拉致問題、大麻、ヘロインなどの麻薬問題、偽造紙幣、さらに、核疑惑やミサイル開発などである。みんなが知っている事実である。

しかし、どの国も、国連もそれらの悪行に対して決定的な手を出せないでいる。さらに、飢餓に苦しむ子供を中心とした人々。非人道的な公開処刑や軍、政府による搾取や汚職。荒んだ光景を最近、特に目にするようになった。脱北者が絶えず、その人たちの証言が、あまりにもひどいものであるため、すぐには信用できないくらいだ。

私が、北朝鮮の「悪行」 の関心を持ったのが、印刷に多少の知識があったからである。印刷業界は、与えられた仕事を加工(印刷)して、出来る限り早く、安く、お届けをする、という業界であり、創造性はまったくない。とにかく「やすく、きれいに、はやく」 仕事をする業界である。クリーニング屋さんや写真のDPE屋さんもそうであるが、中身を勝手にいじることは出来ない。重要な中身はお客様のものであるからである。

そんな、印刷業界で育った人々は、「いつかお札を刷ってみたい」 と、いう誘惑に駆られる。もちろん犯罪行為であるからやってはいけない。日本の紙幣は、世界中でもっとも巧妙で偽造しにくい紙幣である。また、ドルに比べ円は海外で流通している場所はあまりなく、偽造グループにすれば、取っ付き難い紙幣である。これに反してかつてのドル紙幣は2色の簡単な紙幣で偽造しやすいので有名であった。しかも実際の発見される偽造ドル紙幣の殆どが北朝鮮で印刷されている証拠は十分にそろっているのである。それも、ものすごく高い技術力を身につけてしまっている。

主人公である藤井雅人、(警察庁 国家公安委員会、警備局、外事情報部、外事課、国際テロリズム対策課、恭子の兄)とマイケル・マッケンジー(CIA(中央情報局)、アジア対策本部、国家安全保障問題担当大統領補佐官、恭子の夫,雅人の友人)が偽造ドル紙幣や麻薬について情報を集める、という想定で、殺人事件や犯罪が次々に起こり、北朝鮮の指導者や工作員を交えて話を展開してみた。

出来る限り、史実に基づいた内容は正確に調査し記載したつもりであるが、参考にさせていただいた、資料の中には、インターネットがあり、手軽に調べることができるものの、中にはすでにリンクを外されるサイトもあり、そのようなサイトは後述の参考リストからも漏れることとなった。お詫びを申し上げたい。


最後に、何も知らされず、飢餓に苦しむ北朝鮮の一般の市民や日本や韓国から拉致された方々、さらに、そのご家族の皆様に、一日も早く平和と安堵が訪れるよう、お祈り申し上げます。


2014年4月13日

自宅にて

筆者

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偽りのグリーンバック 苺原 永 @maiharahisashi

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