第9話 組織暴力団菱富組


雅人のもとに、桂川会系菱富組の組長、畠山剛と思われる男を兵庫県警が神戸市内で逮捕した、との連絡を受けた。特に北朝鮮との犯罪にどのように接点があるかは具体的には不明だが、雅人に国際的な見地からの協力要請が来ている。今回の逮捕は兵庫県警の大金星である。兵庫県警は、神戸という、もともと湾口やくざの町の警察で、影の連中の動きには敏感である。殆どのやくざの組織は、港から始まっている。荷役業者と組織が密接につながっていた。港には国内外の船舶が入ってくる。闇の商品もある。闇の紙幣も取引される。闇の外人も入ってくる。逃亡も出来る。組織には居心地がいいのが港なのだ。港町には、たいがい、チャイナタウンやコリアンビレッジが存在する。港町は世界の食べ物があり、ファッションが最先端で、西洋の新しいものが入ってくる。神戸は横浜と並び日本での世界船舶のハブである。それと同時に「百万ドル」の夜景でも有名なエキゾチックさが売り物だ。「百万ドルの夜景」は元祖の香港には負けるがよく似ている。山と海が近くて文化も似ている。餌の観光客が大挙してやってくる所である。そして、犯罪組織の温床となっている。だから、警察も組織力が強くなるのである。

以前から、兵庫県警は、北朝鮮のかなりの地位にある官僚または工作員と思われる人物と畠山が、神戸市内で接触していたことをつかんでおり、接触の理由は菱富会から他の暴力団を通じて全国に流れている覚せい剤に関連するものと睨んでいた。菱富組は、富山県に主たる事務所を置き、大きな組織勢力を有する北陸最大手の広域暴力団で、その勢力範囲は北陸各地に及び、現在では構成員(組員)は約100名、準構成員(準組員)は約300名に達するといわれている。全国組織暴力団の桂川会は、菱富組を北からの麻薬の入口として重宝しており、自分の手を汚さず、莫大な収入を得る闇システムの一部として擁護してきた。兵庫県警によると、畠山と思われる逮捕された男は、覚せい剤と偽札と思われるドル紙幣を所持していた。興味深いのは、「俺は狙われている」 と、組長の威厳もなく怯えており、富山県警の調べでは、最近、組員が急に減ってきており、取締りの効果が上がってきたということなのか。しかし、今回は畠山の態度は妙である。

以前、米国における麻薬は殆どが、南米からの密輸と思われていたが、日本を経由して船で本土に持ち込まれることも多い事が判明し、その出所が北朝鮮であることをCIAがつかんだ。マイケルは富山県警と警察庁がつかんだ情報に基づいて、菱富組の捜査に非公式に踏み込んだ経験がある。正式には、海外のエージェントが日本の捜査に同行することはないが、麻薬が日本国内に流れたのと同時に、日本の駐留軍の兵士から国内に持ち込まれた可能性もあり、政府を通じて正式に依頼があったため、同行するだけという条件で実現した。もちろん、マイケルに同行したのは藤井雅人であった。菱富組に踏み込んだ際、大量のヘロインと偽造ドル紙幣が10枚程度見つかっており、その時の畠山の言い訳は、富山市内で組の息のかかった賭博場で不正があり、逃げようとした男の持ち物であるとして、その場をしのいだ。

もちろん、これは作り話であろうが、富山県警で調べたところ、不正が行われたと言う賭博場から組員に連れてこられる二人連れを近所の主婦が見ており、その際、黒の大きなアッタシュケースが目撃されている。まさに、大量のヘロインと偽造ドル紙幣が10枚は、このアッタシュケースから発見された。雅人は、

「不正を賭博場で見つけたって?だいたい、あんた達の島で、あんた達が不正の賭博をやっていたのだろう」 

と、詰め寄ったが、証拠がないと逮捕できない。同様に、証言した主婦は、この男が女性と思われる人物と同行していたのを目撃しているが、捜査が入ったときにはすでに二人とも消えていた。畠山の証言は二人とも、組員の隙を見つけて逃げたが、「ブツ」 を残していったので、特に組員に捜索の指示は出さなかった、と証言した。

同行した、マイケルはその時、組員などが米兵とのコンタクトを立証する証拠を探したが発見できなかった。しかし、横須賀のマリン(海軍)の兵士が、偽ドル紙幣を所有していたことを確認しており、逮捕した兵士が北朝鮮からの貿易船で持ち込んだものだ、と聞いていることをつかんでいた。したがって、この未確認の男女が麻薬のほかに偽ドル紙幣を北から持ち込んだものと理解した。しかも、その大元がこの菱富組だと確定した。その捜査の際に、アムトラック列車爆破未遂事件でにおった香水をマイケルが覚えていたのである。甘い柑橘系の上品なにおいであった。



富山県警に移された畠山を雅人は県警立会いのもと、面とおし(接見)をできるように依頼した。

「菱富組組長の畠山剛だな。私は警察庁国家公安委員会の外事情報部、国際テロリズム対策課の藤井と言うものだ。三年前におたくに踏み込んだことがあるが、覚えていないだろうな」 

「国家公安委員会?…………あぁ!」 思い出したようだ。

「そうだ。今日は、麻薬や偽札の保持に関する調べではない。もっと、大きな国レベルのことを聞く。そのつもりで」 

「いぃ、いったいなんのことですか?」 急に怯えだす。やはり、何かあるようだ。

「お前が所持していた麻薬や偽札が北朝鮮から流れてきているのは分かっている。聞きたいのは、その裏がどうなっているか、組織の内容を正直に聞きたい」 

「私は、まったく知りません」 

「嘘をつけ。兵庫県警がお前を逮捕した時、『俺は狙われている』 、と言ったそうだな。ワッパ(手錠)をかけたとき、警察と知って安心した表情を浮かべたそうだな。お前を狙っている奴は誰なのだ」 

長い沈黙の後に観念した様子の畠山は、

「悪あがきするつもりはないが、それは言えない」 とうな垂れる。

「北のヒットマンが怖いのか」 

「だんなは奴らの怖さは知らないのだよ」 

「三年前に踏み込んだときに、お前が言っていた、逃げた男女がいたな。あいつらが北の工作員だろう」 

「……」 

「図星だな。いいか良く聞け。お前の組は崩壊寸前のようだ。組長がびびっているなんて情報が流れれば、二度とシャバで生きていけないぞ。だいたい、桂川会の連中が黙っているわけないだろう。組員はどうした」 と、鉾先を変えてみる。

「桂川会の世話になっている。50人は筋が通った奴らだから引き取ってくれる。会は解散する。多分、桂川会が跡に居座るだろう」 

「と、言うことは、お前が退くってことか。何でそうなった」 

「言ったのだろう、俺は狙われているのだ」 

ここで、雅人がマイケルとあらかじめ打ち合わせていた妙案を持ち出す。

「よし、命が惜しいのだな。これから言うことを良く聞け。いま、日本とアメリカで共同調査している大掛かりな懸案があって、これを解決しないと国際紛争になりかねない。そこで、捜査に非常に重要な提案をするから良く聞けよ」 

「なんだ、それ?」 

「お前が、先代の組長の後を継ぐ前に国際的な感覚をみにつけるため、カリフォルニア州立大学バークレー校で経済学を習っていたな。どうせ、お前の親父が向こうのマフィアかなんかに金を使った裏口だろうが……」 

「よく知っているな。それがどうした」 

「慌てるな。いいか、合衆国にはWPP(Witness Protection Program)というプログラムがあるのを聞いたことがあるか?これは、重要な証言をする代わりに一生、政府の管理下で安全に生きていけるプログラムだ。勿論、家族も一緒に。名前や仕事もすべて米国政府が用意する。お前の留学のことまで調べたのは、このWPPをアメリカにお願いするために調べたのだ。これは、警察庁と外務省、つまり日本政府が国際事件に関与した証言者のためにアメリカのFBIに依頼して行う。CIAも後ろ盾になってくれる。したがって、お前は証言すれば、アメリカ軍の飛行機で家族と一緒に渡米して、後は幸せに暮らせることになる。日本での罪も、忘れてやろう……というありがたい提案だ。日本ではこういう司法取引を行わなかったが、最近になって小を捨てて大を取る政策が認められるようになった。このような司法取引は日本では認めてもらっていないので苦労した。この提案を受ければお前は、北朝鮮や桂川会から完全に逃げ出せる。ただし、お前の体に認証番号が登録されたチップを埋め込む。俺たちもほら、このとおり埋め込んである」 と、耳たぶの後ろを見せる。

「もちろん俺たちは国内、海外に関係なく安全が確保されているか知らせるためと追跡するためで、お前の場合は、逃亡できなくする意味もある」 

「絶対に、安全か」 乗ってきた。

「保障する。お前が、今までの悪事を考えると、自分はどうなってもいいだろうがが、嫁さんや子供をも守ってくれるんだぞ」 

畠山はしばらく考えて言った。「分かった、全部話す」 



証言が始まった。

「俺は北から狙われている」 と、組織暴力団菱富組組長である畠山は話し出した。

「では、詳しく話してくれ」 

「分かった。」 と、しばらく昔を思い出すかのように考えていたが、ついに影の部分を話し出した。

「あれは、俺の親父、つまり先代から麻薬に手を出す準備をしていた時、金田勝という男に出会った」 

「金田勝?富山県警ではつかんでいますか?」 と、質問を振った。

「いいえ。コンピューターで調べますが、聞いたことのない名前です」 

「知っているわけがない。金田は、日本在住の北の工作員で、テロもやる奴です。朝鮮民主主義人民共和国の特殊工作部隊から十五年前に工作船で日本に潜入し住みついた奴です。北からの工作員は奴と交信して日本に入ってきていました。本名キム・ヨンチョルと言いまして、一匹狼です。麻薬は北から工作船で入ってきますが、『せわたし』 で積荷を受け取りました」 

「せわたし?」 

「ええ、瀬渡しとは、工作船が直接、日本の港に入港するのは危険ですので、金田から指令が入ると富山でかわいがっている漁師を動かして船を向かいに行かせます。瀬渡しとは洋上で荷物を受け渡すことです」 

富山県警も雅人も「金田」 という新しい名前に色めき立った。

「続けてくれ」 

「はい、金田は量をあらかじめ俺たちに情報を入れる。つぎに洋上の場所と日時を連絡してきます。俺たちに金の用意をする時間をくれるわけです。支払いは『円』 で行います。後は向こうが中国や政府系の銀行が北朝鮮のウォンと交換するようです。我々のほうは、質のいいヘロインですから末端価格で換算しますと、10倍の金が入ってきます。仕入れた物はトラックで桂川会の隠し倉庫に一旦入れます。その後に、桂川会から、現金を受け取ります。場所は滋賀県の雄琴。向こうの神戸の事務所と、うちの事務所の中間ですし、遊ぶにはいいとこですから。」 

「それで、お前らも北陸で捌いていたのか」 

「最初は、われわれがメインで捌いていましたが、途中から取締りが厳しくなってから、我々は、麻薬には手を出すな、と桂川会から言われていましたので、最近は、物はさばいていません。我々が警察に抑えられると麻薬の流れが一気に止まりますから」 

「では、菱富会では薬は流していないのか?」 と、富山県警の捜査官が聞く。

「富山や北陸で捌いていたのはうちの組ではありません。ただし、捌いた分のリベートはその組からもらっていました。儲けの2パーセントです」 

「えらい楽な商売だな」 

「その代わり、北朝鮮を相手にする危険を背負ってましたから」 

「と、いうのは?」 

「ええ、金田は血も涙もない奴ですから。うちの若い連中の何人かは奴に干されました。死体があがらないようにやりますから、うちの組員は怖がっていました。それに変なことをすると金田から徹底的に攻められましたから。ああ、それから、時効でしょうから言いますが、この商売を始めたころに、一人日本人を拉致する手伝いをしました。それが最近、死体であがった池田守男です」 

畠山は続ける。「金田が印刷のうまい奴で知識も豊富な人間を当時探していましたから。それで、うちの組の知り合いで、印刷に詳しい奴がいるって事で、お膳立てして金田に渡しました。池田はうちの組に借金していましたから簡単でした。工作船に乗せたからよく覚えています」 

「池田守男の事件に、その金田が絡んでいるのだな?」 

「と思います。金田が30年ぶりに池田守男を日本に連れ戻すといって北から連れてきた時にやったみたいです。酔わせて、睡眠薬を飲ませて薬を直接注射したようです。後は、海へ落とせば完全犯罪でしたが、大きな誤算は潮が死体を打ちあげたことです」 

「それから、藤井さん、あんたがうちに踏み込んだときに、黒のアタッシュケースを持ってきたのが金田です。それから、一緒にいたのが『KM』 と呼ばれる女です」 

「女?」 

「ええ、なにか、すごく優秀な工作員だそうで、金田もそうですが、向こうでは書記長っていうのですか、キム・ソンナムの直属で仕事しているみたいです」 

「工作員が直属って言うのは妙だな」 

「ええ、私もそう思いましたが、金田もKMも例の北朝鮮の政権交代のときに、大きな仕事をしたようで、キム書記長に可愛がってもらっていたらしいです」 

「ところで、KMはいつも香水をつけていたか?」 マイケルの話を思い出して聞いてみる。

「よくご存知で。普通、工作員は香水をつけては仕事にならないので禁止されているようですが、彼女だけは、『私は特別よ』 ということでつけていました。威厳があることを見せ付けたかったのでしょう。なんでも、元囚人でその時咲いていた花の匂いに似ていると、ある香水をずっとつけていました。昔、辛かったころを思い出すためだそうで。」 

「それで、彼らがした大きな功績とは何か知っているのか?」 

「いいえ、それは何度聞いても言いませんでした。でも、国がひっくり返るようなことだとは言っていました」 



休憩後、さらに池田守男が北朝鮮に渡った経緯と、前に接見した大阪の脱北者から得た情報の分析を行い、偽造ドル紙幣の情報を整理した。両者の意見と警察庁に保管されている情報、さらに、主に米国や韓国ではあるが、海外から得た情報を総合的にまとめた。

北朝鮮は外貨獲得のためヘロインを中心とした麻薬と偽ドル紙幣を製造し、米国や日本の経済的打撃を与えながら、収入を得る方策を1980年前ごろから、打ち出した。印刷機は米国の紙幣を印刷するものと同じ印刷機を、当時のソ連時代のシンジケートから入手した。その際、ある程度の印刷技術の伝授を受けたが満足なものは出来なかった。印刷技術を向上させるために日本から池田守男を拉致し、工作船でピョンヤンへ連れてくる。その際、池田は菱富会に二百万円程度の借金があり、簡単に拉致できた。

池田は強制的に印刷技術を北朝鮮の工員に実技を交えて教えさせられた。場所は「平壌商標工場」 。北朝鮮では入手困難なものは海外から入手した。印刷用紙とインキは日本から。ソルベントと呼ばれる薬品(業界用語で「洗い油」)はソ連(後にロシア)。版材は中国から入手した。

池田が手がけたのが「スーパーK」 で「ウルトラ・スーパー・ノート」 の新券は、彼の年齢と能力では無理であったため、用なしと判断されて、金田と呼ばれる男とKMと呼ばれる女に、富山湾沖で殺害された。

北朝鮮は、平壌近郊にある「二月銀色貿易会社」 、「101連絡所」 、「平壌商標工場」 のすべての設備を近代化しさらに約三倍の生産能力を持つ施設に増築した。

キム・ウンテ委員長及び総書記が進めてきたこの偽造紙幣生産の企てはキム・ソンナム現朝鮮民主主義人民共和国委員長がさらに拡充させている。これは米国へのテロ行為であり、明らかに世界、特にマネー・ローンダリングを行うアジアの経済を混乱させる国際法に対する違法行為である。

これらの情報は暗号化され、特殊衛星回線を通じて、関係各位へ翻訳してメールされた。さらに、雅人は警察庁の許可を得てマイケルに送信しておいた。

雅人は、WPPの手配を取ることと、調書をまとめることであと1日、富山に滞在した。その間、富山県警には調書を極秘扱いにする約束を取り付けた。県警本部長には、「実は、理由は言えませんが、調書の内容と、畠山と処遇については、漏洩すると国際的な捜査を阻害するので、池田守男の殺人事件に関することが解決したことも含めてしばらく、発表しないでください」 と、依頼した。

「国家公安委員会国際テロリズム対策課の人に言われたなら、いやとは言えませんな。しかし、そんな大きな捜査活動が展開されているのですか?」 

「はい。国家機密ですので」 

県警本部長は雅人を睨んだが、雅人の目がゾーとするほど厳しかったので、

「分かりました。私が責任を取って、発表を伏せます。ちなみに、警察や自衛隊、その他政府の関係者にもふせるのですね?」 

「お願いします」 


それは、2015年の4月4日の早朝に起こった。

朝鮮(チョソン)民主主義人民共和国 平壌(ピョンヤン)放送は、臨時ニュースを繰り返し流し始めたのが早朝の四時ごろで、画像は鮮明に政権交代を鮮明に見せた。

キム・ソンナム、外相が演説をはじめた。

「朝鮮民主主義人民共和国委員長および朝鮮労働党の総書記のキム・ウンテ氏は、本日未明に主体思想化と共産主義社会を建設することを目的とした「朝鮮人民軍」 にその身柄を確保され、革命戦士として同氏を収監した」 と、発表した。これにより、約3年間続いたクーデターは終結をむかえる事になった。

「キム・ウンテ氏に変わり、朝鮮労働党と朝鮮人民軍の承認の元、臨時に私、キム・ソンナムが北朝鮮の全組織活動を掌握することになった」 と述べた。キム・ソンナムは、

「過去3年にわたるクーデターが一部の海外からの不正入国した活動家によるもので、国内を混乱させ、明らかに朝鮮民主主義人民共和国を攻撃させるものとし、人民軍による取締りを強化した結果、その傀儡グループをほぼ制圧した」 と、報告した。

「しかし朝鮮民主主義人民共和国の委員長として、過去50年続いたキム・ウンテ氏は、経済的破綻や飢餓を食い止めることが出来ず、排他的政策による国際的な孤立を招いた罪をとわれ、本日、キム・ウンテ氏本人と親族7名を逮捕し、収監した」 と、述べた。平壌(ピョンヤン)放送では、キム・ウンテ氏が後ろ手に手錠をかけられ裁判で判決を言い渡される映像を流した。本人は今、「咸境南道(ハムギョンナムド)・燿徳(ヨドク)政治犯収容所」 に収監されているという。衝撃的な映像として、檻の中にいる同氏との親族七名を繰り返し写した。

この一連の逮捕劇とクーデターの制圧の模様は放映されなかったが、北朝鮮国民および世界の人々にとっては、キム・ウンテ本人と親族7名が手錠につながれ、牢屋に入っている映像だけでも十二分に衝撃的であった。それまで、キム・ウンテ本人と親族による北朝鮮の支配は、儒教を基にした「チェチェ思想」 掲げた絶対的な指導者であり、神格化されてきただけに信じられない映像であった。


この放映後、日米両国、大韓民国、中国、ロシアなど直接関係(同胞、敵対)する各国が分析を行ったが、直後のコメントとしては、この政権交代を歓迎する、というものであった。しかし、その後、選挙が行われるでもなし、「臨時」 のはずのキム・ソンナム氏が三年もの長きにわたって政権を掌握している不自然さが目立ってきていた。日米は、再三にわたる独自の調査で、何らかの策略が進行していることを確証していた。両国とも、情報収集には最大の努力を払い、「一体全体何が起こっているか」 を理解することが両国ならびに世界にとっての平和につながると確信していた。麻薬や偽造ドル紙幣のみならず、核疑惑や世界に対するテロ行為など、「ならず者国家」 としての北朝鮮の消滅を願っていた各国にとって、政権交代が効果なく、相変わらずの「悪行」 が特に増幅されて目立ってきていることに苛立ちが限界に達していた。さらに、最近の一連のマイケルに対する一種のテロ行為や畠山組長の証言が起因となって、日米による専門家グループの情報整理が必要となった。



雅人は畠山の取り調べの一ヵ月後にハワイで極秘裏にマイケルに会った。日本から雅人以外にも警察庁国家公安委員会警備局、富山局長(雅人の上司)とジョージ・アレン大統領特別補佐官(マイケルの上司)とそれぞれ連れてきた人間が合計で4名であった。全員が、それぞれの政府機関の同僚や他の機関に対しても、秘密裏に今回の会議へ集合した。

そうせざる得ない理由があった。

場所はマイケルが手配してきたホテルで行われ、ミーティングは浜辺に建てられたビーチルームで行われた。ここなら、盗聴もない。テロ攻撃もありえない立地条件であった。

議題は山ほどある。雅人は、畠山の証言の信憑性を冒頭に説明する必要があった。当たり前だが、今後の国際問題となる北朝鮮への大きな「メス」 を入れる「サイレント・ドルフィン」の重要な活動計画を練るために来ているのであるから、畠山の証言が、逆に北朝鮮の策略であったり、彼の苦し紛れの言い逃れであったりであっては、正確な情報に基づいた計画が立てられない。雅人が、いろいろな角度から畠山の証言を繰り返し聞いたが、彼の証言が一貫していたし、家族ぐるみのWPPの適応を頼んでいるため、偽証するほどの勇気はないであろう、と結論付けた。

マイケルも、自分が持ってきたCIAからの情報の信憑性を力説した。CIAの情報は、北朝鮮に潜伏しているエージェントの情報が根幹となっている。情報の収集は、もちろん秘密裏に行われるため正確、かつ的確、タイムリーに行うのは難しいものの、CIAはプロの集団として情報のフィルタリングには自信を持っていた。さらに、大韓民国や中国の諜報活動から得られる情報、日本からの情報、衛星から送られる軍隊やロジスティックの動きの分析を総合的に整理していた。


状況を整理すると、北朝鮮が偽造ドル紙幣の印刷およびマネー・ローンダリングを大規模に行っており、ヘロインを中心とする麻薬の製造とともに、世界秩序を完全に無視した国際法違反を行っていることは明白である。政権交代時には、世界に対して一転して「平和主義国家」 を前面に打ち出していたが、日米を敵視する政策は、むしろ逆に増強されている。北朝鮮は、政権交代後、大使館の相互設置や人事交流を提案した日米やヨーロッパの各国の申し入れを、準備が出来次第随時行う、と遅延作戦に出てきており、いまだに実現されていない。

また、ジャーナリストをまったく、受け入れないため、正確な北朝鮮の国内情勢は不明であり、米国の衛星からの情報を分析するほかない状況である。情報統制も行っているが、中国に習った方式で行われており、インターネットを含むメディア統制は完璧である。それに、解放された国に、直接の乗り入れることが出来るはずの直行便が、日本もアメリカに対して認可が北朝鮮から出されていない。スポーツや文化活動の交流は、ロシアや中国、さらに過去から関係があった諸外国とは頻繁に行っているものの、オリンピックやサッカー、バレーボール、テコンドー、柔道、マラソンなどワールドカップがあるスポーツにはそれなりに参加しているが、北朝鮮での開催は極力避けている。文化交流としては、合唱の祭典として吹奏楽、マーチングバンド・バトントワリングフェスティバルなどの得意なマスゲームを世界に広告できるものは積極的だが、民謡・民舞の祭典、演劇祭(現代劇)、民俗芸能、映画などは、それぞれの国の世界で認められている各伝統芸を発表するものなどはまったく行われていない。



会議は、ランチは取りながら、全員の休憩無しで、徹夜も辞さない覚悟で行われた。それは、現在の北朝鮮の状況が緊迫しており、お互いの情報が驚きを持って受け取られるほどの内容が多く、両政府とも秘密裏に行われる会議とはいえ、早急に対応策を決定、実施せざるを得ない状況であることは明白であった。

二日間の予定で始まった会議が三日目になった。

参加者全員、真っ赤な目で、神経を集中することが出来なくなったところで、ジョージ・アレン大統領特別補佐官が5時間の睡眠休憩を提案した。全員、もちろん賛成である。雅人も、もちろん賛成である。このまま続けても、怖いのは判断能力低下に伴う間違った結論を出し、両政府を誤った方向に導くことである。寝よう。何も考えずに。


三時間ほど爆睡したころに、携帯が鳴った。警察庁 国家公安委員会警備局からの緊急連絡であった。

「藤井さんですか、私は国家公安委員会警備局の吉田です。お忙しいところすいませんが、ちょっとお耳に入れておいたほうがよいと思ったのでお電話しました」 

「吉田さん、いま、休憩中ですから大丈夫です。何ですか?」 吉田氏はたぶん、雅人がハワイにいることさえ知らない可能性がある。

「はい、成田の入国管理局から入った情報では、『デヴィッド・パク』 、と名乗る人間が足止めされています。この人間は自ら進んで保護を求めており、藤井さんの名前を出してきています。どうやら、北朝鮮、中国、タイ、を回って入国してきた脱北者のようなのですが、藤井さんの名前を出してきていますので、ご連絡しました」 

「私の名前を?」 

「はいそうです。『国家公安委員会警備局の藤井雅人』 とはっきり言っています。本人は、米国のパスポートをもっており、アメリカ人であると主張していますが、日本への入国はタイのパスポートでした。本人も認めているのですが偽造パスポートです。ただ、言われなければ判らないほど正確な偽造でした。さらに、中国の偽造パスポートも持っていました。一人の人間が二つも三つも偽造パスポートを持っている事自体、妙ですし北朝鮮から流れてきたアメリカ人というのはちょっときな匂いと思いまして連絡しました。本人は、東洋系の風貌ですので朝鮮人とも中国人、タイ人やアメリカ人と言われても信じられなくもないのですが、米国政府発行のパスポートが、一番信頼が置けます。たぶん本物でしょう」 

「アメリカ大使館へは連絡したのでしょうか?」 

「はい、しました。向こうでは、コンピューターで調査したが該当者なしとのことです」 

「分かりました。何かありますね。申し訳ありませんが、その人間を東京に護送し警察庁の安全なところから、後でお知らせする番号に電話させてください。盗聴のない安全な番号を後でお知らせします」 

「分かります。いま藤井さんがどこにいらっしゃるのか分かりませんが、至急に連絡させます。」 

「吉田さん、助かります。今、ハワイです。内容は極秘ですので言えませんが、その人間がこの会議に関係する人物かもしれませんので、その『デヴィッド・パク』 という人間と是非とも話さなければならないと思いますので、お手数ですが、お願いいたします」 


もう眠れない。雅人には何か、「ピン」 と来るものがあった。これは何かある。 多分、北に潜入していたアメリカの諜報工作員だろうと想像できた。



会議が再開される十分前に富山局長(正人の上司)とマイケル、さらにジョージ・アレン大統領特別補佐官だけに特別に集まってもらった。

「皆さん、ちっと早く集まってもらってすみません。実は、『デヴィッド・パク』 と、名乗る人間が成田で足止めされています。この人間は自ら進んで保護を求めており、私の名前を出してきています。日本の法務省入国管理局、警察庁では北朝鮮、中国、タイ、を回って入国してきた脱北者と睨んでいますが、私にはそうは思えません。ご存知ではありませんか?」 

「デヴィッド・パク?」 、とジョージ・アレンが驚く。

「知っているのですか?」 

「ああ、知っています。と言うか、デヴィッド・パクは私が約十五年前に北朝鮮に送ったエージェントです。しばらくは、そうですねぇ、約十年間、スリーパー(休眠エージェント)として潜伏させておきました。最近、かなりの重要な情報を流し始めてくれていたのですが、本人は、そろそろ、DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)の特殊工作部隊にバレ始めていた様なのです。私からの指示は「脱出しろ」 でした。約一ヶ月前のことでした。同じデヴィッド・パクだといいのですが……」 

「そうだったのですか。後で、デヴィッド・パク氏より私宛に、この電話に、連絡が入ります。そのときに皆さん同席してください。多分、何らかの新しい情報があるかもしれませんから」 会議自体が中だるみの状態で、情報が錯綜していることもあり、デヴィッド・パクの情報が重要な決定打になることもありえる。ともかく、両政府にとって早く、事実の基づいた決定をしなくてはならず、結論を急がされていた。大統領も首相も待たせているのである。


デヴィッド・パクから連絡が入ったのは、その十分後であった。成田から政府のチョッパーで警察庁に直接護送され、すぐに雅人が指定した連絡先に連絡してきた。雅人がコンファレンスのボタンを押すと、それぞれ、全員がマイクを自分に向けた。

「藤井雅人さんですか?私はデヴィッド・パクと申します」 

「雅人です。ちなみに、ジョージ・アレン大統領特別補佐官とマイケル・マッケンジー氏、それに私の上司の警察庁国家公安委員会警備局富山局長が同席しています」 

「デヴィッド、ジョージだ。まず、君のコード番号と暗号名を言ってくれないか」 

「はい、コードは、『チェコ製バドワイザー』 で暗号名は『ミネソタの月』 です」 

「了解。デヴィッド、よく逃げ出せたな。元気か?」 

「はい。ご無沙汰しています。もう十五年になりますね」 

「そうだな。報告を受け取り始めたのが三年前からだから、うまくやっているのだなと思っていたが、最近、特殊工作部隊に追われ始めていたのだろう?」 と、ジョージが心配した。

「はい、命からがら逃げてきました。特殊工作部隊の詰め所に盗聴器をつけておいたのが幸いしました。私が疑われていると聞いた時に、準備しておいた逃亡セットをバックパックに入れ、即座に近くの川を潜水しながら中国まで逃げ、そこから農夫のいでたちで盗んだ自転車という目立たない格好で、中国を南下し、ラオスとベトナム国境を歩いてタイに入りました。一ヶ月かかりました。その間、殆ど野宿でした。もう、体力の限界でした。タイからは、現地のスリーパーに助けられ、TG(タイ航空-Thai Airways Company)の貨物便の乗務員として成田に来ました」 

「もしもし、雅人ですが、どのようにして私の名前を入手したのですか?」 

「それについては、お詫びします。マイケルがそこにいるとおっしゃいましたが、あらかじめ、マイケルの準備しておいたメッセージをタイのスリーパーが、伝えてくれたのです。『君が攻撃を受けた際に日本にこられれば、義理の兄弟の雅人さんが協力してくれるだろう……』 と、聞いていまして、日本に行くなら、頼ったらどうか、と言われてきました」 

「そうですか。分かりました」 この会話を聞いていたマイケルが話し出す。「デヴィッド、マイケルだ。名前は知っているが話すのは初めてだな。そろそろ、本題に入ってくれないか?」 

「マイケル、分かったが、このラインは安全か?盗聴など、漏洩の危険性はないのか?」 

「雅人ですが、それは、ないと断言できます。しかし、聞かせてもらう内容が、絶対に漏れてはいけない内容なら、ハワイまで今すぐに来られませんか?」 と、聞いたが、最初にジョージに聞くのが筋だと気づいてジョージの方を向く。ジョージは子供のようにOKサインを出している。

雅人は即座に反応する。「ジョージはいいと言っています。今すぐに日本航空に依頼して羽田から特別便を仕立ててもらおうと思っています」 

「マイケルだが、もっといいアイディアがある。雅人、おれに任せてくれ」 

結局、マイケルのアイディア通り、デヴィッド・パクは警察庁から車で10分のところにある「星条旗新聞」 に行き、そこからの横須賀へのチョッパーの定期便で移動し、停泊中の「空母エンタープライズ」 からF/A-18C/E/F ホーネット(BADF United States Air force)に乗り込んで途中で空中給油を受けながら四時間あまりでホノルルに着いた。合計5時間だ。民間機を使うと飛行時間だけで7時間以上かかる。雅人は、さすがだとマイケルを褒めた。



デヴィッド・パクはハワイに着くとまっすぐホテルに来た。途中、ホーネットに乗る前に空軍(Air Force)のユニフォームを着させられたのだろう、長年、北朝鮮に潜伏していた様子はまったくなかった。

「デヴィッド、ジョージだ。十五年ぶりだな」 と、敬礼とハグをした。

CIAや陸(Army)、海(NavyとMarine)、空(Air Force)のどの軍もバグの挨拶をしないが、直接の部下で北朝鮮という難しい任務先に15年間も送っていたことを考えると、ジョージも感極まったのであろう。残りの我々は、初対面なので握手だけだが、硬い握手だった。

「何か、食べたいものや飲みたいものはないか?」 とジョージが気を使う。

「いいえ結構です。日本の政府の方々や、米軍の連中から、北朝鮮の半年分の栄養補給できるくらいの接待を受けましたから。1ポンドステーキをペロリと平らげました。それより早く、お話したいことがあります」 

「分かった。では会議室に行こう」 と、ジョージがエスコートする。


五人の会議が始まった。他の参加者は、理由を特に説明せず、部屋での待機を命じた。デヴィッド・パクの報告は、誰も予想しないものだった。ショックであった。即座に、ジョージ・アレンはマイケルと協議し、何らかの結論を出した。その後、ジョージはCIA長官に連絡して、緊急会議を招集してもらう依頼をした。

緊急司令室は大統領執務室(オーバルオフィース)の地下にあり入室できるのは大統領/副大統領/国務長官/統合参謀本部長/CIA(中央情報局)長官などと書記官数人である。何らかの重要な会議が行われる筈だ。

富山局長と雅人は金田勝(北朝鮮のテロリス・本名キム・ヨンチョル)、KM(特殊工作部隊工作員)そしてKMの部下の金哲民(キム・チョンミル)を日本で緊急指名手配した。もちろん、三人とも日本に潜伏している可能性は少ないが、日本海側の各県警には今後、近い将来、逃亡のために工作船などで入ってくることも想定して手配させた。富山県警を中心とした警備体制がとられ 手配書を準備し顔写真なども畠山からの協力の下、準備できた。


デヴィッド・パクの証言を基に、アメリカ合衆国大統領は緊急司令室に副大統領、国務長官、統合参謀本部長、CIA(中央情報局)長官と5人の書記官を招集した。CIAはその会議の前に、証拠となる情報を整理して、長官から提出してもらった。デヴィッドの証言とCIAがそろえた証拠の内容は、デヴィッドの証言がまったく疑いようがないことを証明し、北朝鮮に対する国家的犯罪抑制のために、国連や他の諸外国への説明が付く活動計画として諮問され、承認された。SEALとデルタ・フォースの投入であった。合計精鋭部隊1200人が選ばれた。

デルタ・フォースは、部隊創設当初よりカウンター・テロ部隊として運用される。対テロ専門の特殊部隊であるが、実際には英国のSASを模倣した特殊部隊を創り上げた組織で、1977年ノースカロライナ州フォートブラックに部隊は創設され、対テロ戦闘及びCQB(室内戦闘)訓練、不正規戦を考慮しあらゆる訓練を施され現在はアメリカ軍内でも屈指の精鋭部隊になっていた。SEALは、米海兵隊の所属で、質、量と共に高い能力と士気で知られている。SEALはその過激で人間の体力と知力の限界まで追いやる訓練は有名だ。海兵隊は、その性質上敵性エリアへの上陸等に運用される為、多くの偵察部隊を要している。マイケルもここで訓練されている。 


今回の作戦の趣旨と目的は次の五つである。

北朝鮮の虚無・欺瞞に満ちた政府の全貌を解明する。偽造紙幣印刷所とマネー・ローンダリングに関連する設備の破壊、麻薬製造所とケシ畑の破壊消滅。テロ工作訓練所と「北朝鮮労働党中央委員会調査部」 の破壊。そして、北朝鮮は大量の長距離、中距離のミサイルと弾道弾、さらに核兵器・化学兵器・生物兵器を保有しているが、今回の作戦では資料の収集を目的とする。の五つである。

しかし、米兵がいかに精鋭部隊であろうと、北朝鮮は世界屈指の軍事国家である。北朝鮮は、軍事費にそのGDPの約25%を支出しており、国民の5%は、正規兵である。いまだに、全国に百五十万人が現役部隊といわれている。しかし、その大部分は、非武装地帯(DMZ)配置されているので、首都防衛戦力はそれほど強力ではない。重要なのは、ピョンヤンへの軍事介入が、主に拠点の破壊であり、戦争行為とはいえ戦意喪失につなげる作戦である。現在の北朝鮮の闇の部分を世界に訴え、今回の介入が世界平和のための作戦であることを知らしめなければならない。もちろん、国連もかませないわけにはいかない。決定的な証拠が絶対に必要なのである。

さらに大韓民国とは常に微妙な関係にあるため、あくまでも今回の侵攻は、米国単独でなければならないし、北朝鮮の周辺に今回のような作戦に地域的に協力出来るのは日本だけである。立地的に太平洋から日本を通化するルート(米軍基地が持つ航空ルート)を利用し潜入し、日本海から直接、北朝鮮を目指すルートであった。ロシアや中国から南下するルートもあるが今回の作戦には向かない。韓国の存在もあるが、北朝鮮の反撃に韓国からの進入では世界各国の心情が異なってくる。さらに、国連に対しての大義名分も用意しなければ、中国が猛反対に転じる事は明らかである。ロシアも微妙な位置づけであるので、事前の情報流出は絶対に避けなければならない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る