第12話けじめ。
妊娠。中絶をし、しばらく彼とは、距離を置いていた。その間も、彼からは、連絡が来てたり電話がなったりしていたが、私は返さなかった。
「美弥ねぇ?忙しいの?」
「嫌いになった?なんかあったの?」
「会いたい。。美弥ねぇに話したいこと沢山あるんだけど。」
私も会いたいよ!心から叫びたかった。
だが、私の中でのけじめを付けようと思った。こんな関係をいつまでも、続けていくわけには行かない。
そう思い、私は、泣く泣く彼に手紙を書いた。
「愛する人へ
突然の手紙で驚かせてごめんね。あたしね、もう、このままの関係でいられなくなっちゃったんだ。ある意味、ゲームオーバー。あたしは和くんに本気になってしまいました。だから、けじめをつけようと思ったの。
この手紙を渡したということは和くんを苦しめてしまうかもしれないし、悩ませてしまうかもしれない。重たいと思い嫌われてしまうかもしれない。でも、あたしの全てのあなたに対する思いを聞いてほしい。
実はあたしね、先日中絶してきたんだ。和くんとの子。ずっと、連絡しなかったのは、このことを話して、心配や負担を掛けたくなかったの。本当は産みたかったけど、そんな余裕ないし、一人で、悩み苦しんでいた。できたことも、堕ろしたことも黙っていてごめんなさい。
それとね、あたし、6年後には、宮城に帰って独占しようと思ってる。正直に言えば、その時に和くんに隣にいてほしい。一番近くで、あたしの夢を応援してほしい。隣で支え合いながら、笑いあいながら、お互いが自然体でいられて、お互いが愛しあう。そんな幸せな時間がずっと続く未来がなぜか、あたしの中にはあるんだ。だから、和くんが離婚してあたしと一緒に、人生を共にしていけたらどんなに幸せなんだろうって、思うけどでも、実際は、離婚して?なんて言えない。人の家庭を壊すつもりもないし、口出すことじゃないけど、でもね、もし、奥さんが浮気相手と本気になって和くんに対する愛がそこにないなら、もし、離婚しようと思ってるなら。。。あたしと、一緒に生きていってほしい。人生という大きな枠で考えてくれたら嬉しいです。
子供のこともあるし、和くんが、失うものは沢山あるかもしれない。でも、それでも、あたしを本当に必要としてくれて、心から、あたしなしじゃ無理だと思うなら一緒に来てくれないかな?
それで、もし、来てくれたら、あたしは貴方を生涯大切に、愛します。そして、共に、笑い合えるような日々を送るようにする。これは、約束する。こんなにも、相性のいい人は多分、今までも、この先も現れないと思うんだ。なんだろ?魂が、求めてる感じかな?自分でも、怖いぐらいあたしは貴方を愛しています。
これを読んで重たいと思い終わりにするのも、逃げるのも、ちゃんと向き合うのも和くんの意思に従います。多分、あなたは現実を見る人だし、守るものもあるし、もしかしたら、奥さんとも、実はうまくいってて、幸せかもしれない。だから、分かった。と言って終わりにするかな。けど、あたしは。。。和くんを失いたくない。離れたくない。ずっと側にいてほしいんだ。
現実は、いつまでも中途半端な関係でいるわけにはいかないから、こうした決断を出しました。
わがままで、苦しい思いをさせてしまってごめんね。身勝手で、振り回して、ごめんなさい。でも、あなたに対する気持ちに嘘や、偽りはないから。
和くんと過ごした時間はあたしにとって生涯忘れられない大切な思い出だよ。本当に幸せな時間をいつもありがとう。
楽しくて、楽しくて、本当に幸せだった。和くんに出会えて良かった。ありがとう。サヨナラ。元気でね。」
彼をサイゼリアに呼び出し、何も言わないままこの手紙を渡した。
「え?どういうこと?」
「今まで、連絡できなくて、ごめん。その理由書いてあるから。直接だと、言えないから。」
「なんで?何があったの?」
私は席を立ち、お金をテーブルに置いて走った。
涙が出てくるのを抑えられなかった。彼にバレたくなかったのだ。
「ごめん。ありがとう。」
それが、彼に発した最後の言葉だった。
多分、彼は、手紙をその場で読んだだろう。こんな終わらせ方したくなかったが、こうするしか方法はなかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます