第10話俺の葛藤

あの人と出会うまでは、女なんて、みんな同じだと思ってた。でも、あの人は、いつも俺を受け入れてくれて、わがままも聞いてくれる。いつも笑顔で、お帰り。って、優しく抱きしめてくれる。とにかく優しい。なんで、こんな俺にそこまで?と思う時もある。ほんとに、いろんな、意味で相性がいい。今まで、過去交際した相手の中で、これほどまでに魅力のある女はいなかった。


いつの間にかあの人に惹かれていって、あの人なしでは生きていけなくなっていた。苦しいとき、辛いとき、いつも、側にいてくれる。こんなにも、異性に対し、必要だと思ったのは、初めてだった。


頭の中はいつも、あの人のことばかり。何してるかな?とか、昨日の夜は、かわいかったな、とか、気がつけばあの人のことを考えていた。


実際大学卒業後、すぐ、子供ができて養うために、仕事で必死になり、周りから一目置かれる営業マンになった。ただ、家庭に帰っても、俺の居場所はない。

子供は夜泣きするし、嫁は俺が、仕事で、一生懸命働いてる時に遊びに行き、どこの誰かもわからないやつと、よろしくやってる。子供が産まれてからは、嫁は子供のことだけになり、徐々に夫婦の間には亀裂が入っていった。


そんな中、興味本意で、始めたあのサイト。彼女がいた。美弥ねぇだ。

俺はどうしょうもないくらい、彼女に惹かれ、彼女のために、何か、してあげたい、喜ばせたい。と考えるようになった。


だが、現実は不倫。何やってんだ。俺は。。。

彼女を傷つけたくないが、家庭がある以上は父親をやらなければならない。

休みの日に家族とでかけ、演技でも仲のいい夫婦を演じるのが辛かった。地獄だった。

子供は可愛いが、彼女を失いたくない。そんな思いが、日に日に強くなり、彼女に対する思いで、胸が張り裂けそうになっていた。


分かっている。離婚して、彼女のもとに行けば幸せになれる。だが、自分一人だけ幸せになっていいのか?はたまた、彼女は、俺に対して、本気なのか?こんな既婚者、まともに、付き合うはずがない。でも、彼女の言葉を信じたい。

俺は怖かった。彼女を失うことを。。。彼女に、本気で愛してる。そういえたら、どんなに楽か。


俺は離婚するべきか、迷いに迷っていた。それを彼女に伝えるべきか。

ただ、彼女と、共にこれからも過ごし、笑い、お互いが自然体で愛し合える、そんな、未来予想図が、出来始めていたのだ。彼女の夢を一番近くで、支えて生きたい。それには、現状を変えなくては。失うものも、沢山あるだろう。だが、何より、彼女を失いたくない気持ちのほうが大きかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る