第8話核心部分
そんな中、唯一の4連休も終わり、仕事が始まった。彼からは、相変わらず連絡がない。
彼の、ラインのプロフが変わっていた。左手を強調した写真で顔から下を写した写真だ。缶コーヒーを左手に持ち、私が挙げたロレックスの時計をしている。左薬指には、指輪がはめられていた。
やはり。。間違いなく、彼は、既婚者だ。
シビレを切らした私は、彼に、核心部分に触れたラインを送った。
「お疲れ様ぁ。あ、あけおめ。てか、和くん、実は結婚してるでしょ?ラインのプロフ変えた奴に左薬指に、指輪はめてあるよね?何言われても傷つからないから正直に話してくれない?後々面倒になるのいやだから。」
既読にはなったが返信はない。
次の日彼から、ようやく返事が来た。
「結婚してるよ。黙っててごめんね。」
私の心は何かに思いっきり潰されたように苦しくなった、
「どうする?もう、会うの辞めようか?」私は、冷静を装いながら返信した。
「美弥ねぇが、会いたくないなら、スパッとやめるよ。」
「あたしは会いたいよ?ただ、世間では、不倫だしね。後悔してるの?あたしと会ったこと。」
「罪だって分かってるけど、俺だって会いたいよ。美弥ねぇと会ったこと後悔なんか、全然してないよ。」
「子供は?」
「いるよ!」
一番聞きたくなかった。もう、やりようがないじゃない。失望しっぱなしだった。
「何歳?」
「3歳」
もはや、呆れた笑いしか出てこなかった。その若さで3歳の父。おそらくはデキ婚だろうと思った。
「ちょっと会って話さない?」
「次の月曜なら、時間作れるかも」
そうして、次に会う約束をした。
その日は眠れなかった。インターネットで、不倫の話を調べたら、やはり罪だとか、子供に影響するとか、仮に略奪したとしても、今度は自分が浮気をされる側になるとか、ろくな事書いてない。
私も、以前、オーナーと不倫をしていて、全てを掛けてその人を愛し、苦しい時は助けようと身がボロボロになるまで、やろうとしたが、お店は傾き、オーナーの家族にまで貧困を味あわせ、オーナー自身をも、追い詰めてしまい、私自身も人格が崩壊した。ある意味トラウマになった。
4月が誕生日だったから、それまでは彼との関係を続けようと思ったが、罪の意識に耐えられなくなり私から終わりにしようと告げた。
「ごめん。やっぱり、辞めよ?ホントはあたしの誕生日まで続けようと思ったけど、罪は罪だからさ。でも、和くんのこと、忘れようとしても忘れられなくて、身を引かなきゃと思ってもやっぱり、どうしてもできなかった。だから、友達感覚でご飯食べたり、カラオケ行ったりはしたいんだ。あくまでも、肉体関係を持たない約束でね?お互いにそう思うなら別に無理して疎遠にする必要はないじゃん。だから、せめて友達としてってどうかな?」
「分かった。友達になろう。」
あんな長文を送ったのに、たったこれだけ。こんな深い関係になったのに、すぐに、友達になんかなれるのか?疑問を抱いたがその後はまた、連絡が来なくなり、月曜日になった。
「お疲れ様ぁ。ね?会いたいのは、俺だけだよね?ギューしたいのは俺だけだよね?」
「あたしもだよ?ずっと、頭の中から、和くん離れないよ。。。」
「俺もだよ。ダメだ。。。会いたい病だ。今日夜会いに行っていい?」
「うん。」
「会ったら、抱きしめていい?」
「和くんに抱きしめてほしい。待ってます。」
彼が、家に到着した。会社帰りでスーツ姿だった。灰色の、コートに、マフラーを巻いて。凄く似合っていた。いつも以上に魅力的だった。
玄関のドアをあけ、まずはお疲れ様。久しぶりだね。笑顔で、出迎えた。
コートをかけ、お土産を貰った。チョコレートだ。取引先で買ってきたらしい。
と、その時、
「美弥ねぇ。。」彼が、私をぎゅっ抱きしめた。
「会いたかった。ずっと、こうしたかった。」
「あたしもだよ。来てくれてありがとう。そして、お帰り。」
「ただいま。」二人は激しくキスをした。
「あたし、、、最低?」
「俺も最低。もう、話ししなくて良くない?お互いに分かっちゃったじゃん。いないと駄目だって。」
「ううん。ちゃんと話しよ?」
そう言って彼が、スーツを掛け、ズボンを脱いだ。その姿に私は抑えてた感情が、止められなかった。彼のあそこに、口を運びバンツの上から求めてしまった。
「あ。。どんだけ美弥ねぇで抜いたか。ほぼ毎日美弥ねぇで抜いてたんだよ。」
パンツを脱がし、生で咥えた。彼が、私を求め私は彼を求めた。実際会うまで仕事をしていても、いつも頭の中は彼のことで、いっぱいだった。
「お風呂入る?」
「足だけ洗わせて?」
そう言って、彼がお風呂から上がるのを待った。
その後はビールで乾杯をした。
「ごめんなさい。黙ってて」
彼が、謝った。
「ううん。知ってたよ?ホントは9月ぐらいからね。一度聞いたでしょ?」
「うん。それも知ってたんだ。だから、ほんとは、もっと早い段階で言うつもりだった。けど、サイゼで、ご飯食べた時も、クリスマスの時も言えなくて、それが、すごく、美弥ねぇに対して悪いなっていう罪悪感が、俺の中で、深刻に積もってた。で、年末会った時、言おうと決めたんだけど、これを言って嫌われたり、この関係が、終わるのが嫌で結局言えなかった。でも、今やっと、言えて良かった。」
「なんか、様子がおかしいから気にはなってたんだ。」
「そのネックレスあげた時も言おうとしたけど、あんまりにも美弥ねぇが、喜んでくれたからさ、言いづらくて。それあげたのも、実は美弥ねぇを縛って置きたかったからなんだ。失いたくなかったし、離れてほしくなくて、他のやつに取られたくなかったの。」
「うん。ありがとう。すごく、嬉しいよ。」
「もう、俺ね、美弥ねぇいないと無理だし、俺にとっては、すごく、必要な存在なのね。俺が、結婚してるの、知ってて、黙っててくれることとか、沢山の美弥ねぇの優しさとかに惹かれて、どうでもいい関係ではなくなっててさ。
」
「あたしが、聞かなかったのは、この関係が、中途半端だからだよ。」
「知ってる。だから、自分勝手かもだけど、仮に肉体関係もたなくても、ご飯食べたり、カラオケしたり、一緒にいて欲しいなって、正直に思った。どうでもいいセフレとかには、2万も3万もするもの、あげたりしないし、こうやって心から求めたりしないよ。」
その言葉に彼からの愛を感じた。
「奥さんとは、大学で?」
「いや、実は、その前の彼女と、結婚決めてたけど、家庭環境複雑で別れて、その後友達に紹介された先輩から紹介された人で、お互いに相手いないならお前ら付き合えば?みたいになって、子供出来てデキ婚。嫁とは3年してないよ?」
「そうなんだ。よく責任とったね。偉いじゃん。」
「まぁ、男だしね。」
そんな話をしながら、彼のこれまでの経緯を聞いた。
話も落ち着き、分かり合えたところで、ベットに横になり、激しく、お互いに求めあった。今までの会えなかった時間を取り戻すように。長い長い夜になった。
二人が果てたあと、彼の腕枕の中で、私は、彼に思いを伝えた。
「ね?和くん、ルール違反だけど、最初で最後。一度だけ言わせて?」
「うん。」
「あたし、和くんのこと、好きだから。」
「ルール違反だね。だけどありがとう」
「もう二度と言わない。忘れていいよ。」
「忘れないよ?胸にちゃんと秘めておくね。」
甘く切ない柔らかい時間を愛と呼ぶのだろうか?とても幸せな時間だった。二人は静かに眠りについた。
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