第7話寂しさ

カウントダウンも、ホントは彼としたかった。友達からや、他の出会い系サイトで知り合った人からも誘いはあったが、大人数でパーティみたいなのは、どうも性に合わない。テレビをつけるとジャニーズのカウントダウンやら、芸人たちのカウントダウンやら、どのチャンネルも、カウントダウンばかりだ。

3、2、1、Happynewyear。


また今年も、年が明けた。何も嬉しくなかった。余計憂鬱になった。

彼からも、連絡がないままだ。何人か他にやり取りしてた人、何度か、体の関係になったセフレ、私に行為がある男。みんな、あけおめラインを送ってきた。でも、本命の彼からは何もない。

私は、やっぱり、彼にとってどうでも良かったんだなと、改めて虚しさと寂しさだけが心を支配した。


元旦に友達と、初詣に行く約束をしていたが、ドタキャンされた。仕方なく帰ってきた私は人生初めての一人カラオケで、4時間ずっと歌いつづけた。

それなりに、ストレス発散にはなったが、寂しさは、癒せなかった。

その日の夜。セフレから、暇だと連絡がきて、じゃ、遊ぼうよ?とのことで、駅前にある居酒屋で落ち合った。その子とは、同い年で顔も、イケメンさん。とても優しいが見た目は、チャラいギャル男だ。居酒屋で飲み、カラオケに行き、部屋でDVDを3本借りてきて一緒に、お正月を過ごした。

だが、気持ちは晴れない。常に彼からの連絡を待っていた。

その日はやらなかった。私が、拒否したのだ。したくなかった訳ではないがその子は私に惚れていた。その気持ちを知っていて、わざと、やらせなかった。なぜか?

彼とのセックスでしか満足できなくなっていたからだ。今でもそのセフレとは、友達だが、恋愛対象ではない。


恋愛に溺れ、散々痛い目にあっていたため、男を取っ替え引っ変えし、いろんな男に抱かれた。自分でも、最低だと思ったが、一瞬の愛でも抱かれることで、寂しさを埋めていたのだ。だが、心の寂しさは、いつも埋められなかった。

人を愛することをやめた。人を好きになることをやめた。男は信じない。それが、彼と出会うまでの私だった。だが、彼と出会い、共に時間を過ごしていくうちに些細なことで喜び、時には、子供のようにはしゃぎ、時には、どうしようもなく、心が締め付けられることもあった。私は、彼に恋をしていた。

彼を。。。愛し始めてしまっていたのだ。多分、叶わぬ恋だと分かっていても彼の、優しさ、あどけない笑顔、ファルセットの効いた歌声、彼の、ぬくもり。全てが、私には必要になっていたのだ。

一緒にいるだけで楽しい。心から笑えて、安らぎと安心をあたしにくれた。

逢いたい。。。その思いが日に日に強くなっているのを抑えられなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る