第5話すれ違い
最近は、彼の態度が冷たい気がする。一緒にいて、話かけてもシカト。ラインも返信が、返ってこない。会ったあとに楽しかったね。ありがと。と送っても既読スルー。こっちから、会おうと誘うと必ず断られる。
なんだろう。。。この胸騒ぎ。私は不安で仕方なかった。嫌われたのか?はたまた、もう、この関係に飽きてきたのか。指輪のことは、気になるが、彼が、言わない以上は何もできずに、やきもきしていた。
このままでは、自分で自分の首を締めることになる。辛い恋愛ばかりで、傷つくことが、嫌になっていた。
私はある時、思い切って彼に聞いた。
「最近忙しい?」
二日後。彼からの返信
「ごめんね?最近仕事忙しくて、バダバタしてて、帰っても、寝るだけになってて、ラインも、返せなくて、ごめん。」
「なら、もう、やり取りとか、会うのやめようか?」
「え?なんでですか?もう、嫌になっちゃったんですか」
「いや、そうじゃなくて。。。」
「ならなんで?」
私が本気であなたを好きになりそうだから。和くんが、結婚してるとしたら、傷つくのは、あたしだし。もう、傷つきたくないんだ。
なんて、言えなかった。。。これを言って重たいと、思われて、嫌われるのが怖くて言えなかった。
「いや、忙しいなら、邪魔かなと。負担になりたくないからさ」
「ごめん。返せるときは返すから。邪魔なんかじゃないからね?」
私はどうすればいいのか正直分からなかったが、何かしら彼の中で私を優先できない何かが、あることだけは分かった。
「ありがと。無理しないで頑張ってね。体には気をつけて。」
そう、送りしばらく様子を見た。そのあと、何度か、会えるようになり、いつもの彼に戻っていた。
11月に入り、もう、すっかり秋の匂いがした。そういえば、彼と一緒に過ごしてはいたものの、彼の誕生日を知らなかった。そこで私は彼と会った日に何気なく聞いた。
「ね?和くん、誕生日いつ?」
「12月5日」
「美弥ねぇは?」
「あたし、4月12日。わ!てか、和くん、もうすぐじゃん、なんか欲しいのある?」
「俺、ロレックスのコピーが、欲しいんだよね。」
そう言って彼は、私にラインで、欲しい腕時計の写真を送ってきた。
「これ、高いんじゃないの?」
「コピーは、2,3万で買えるよ?」
「マジか?じゃ、誕生日プレゼント買ってあげる!」
「ほんとにー?嬉しい、それ!楽しみにしてるね」
その次の日から彼の時計探しに必死だった。インターネットで、調べ、彼に好みを聞いて、やっと、見つけた。外国の通販サイトだったため、信用はなかったが、お金を出すから2個頼んでほしいと、頼まれ、注文した。
数日後、注文したが、なかなか届かない。何度も何度も問い合わせやっと、一つが手元に届いた。
彼と郵便局前で待ち合わせし、渡した。だが、それは不良品で全く動かなかった。
喜んでいた分、それを渡した私が悲しくなった。ホントはプレゼントとしてあげるなら、ちゃんとした正規品のものを渡したかった。コピーの口コミを見ても、すぐ壊れるとか、長持ちしないと、書いてあったからだ。
長く使えるものを送りたかったのが本音だ。
それが、彼の、期待を裏切り、税関で止められるからと、返品もできなかった。
私が、お金がないのを知ってた彼は、ごめん。振り回して。と、誤った。
私が、やりたくて、やったことだから、気にしないで?そう言って、彼を慰めた。
気まずくなってしまったが、笑い飛ばし、違うものを買ってあげようと密かに決めていた。
数日後、クレームを出し、もうひとつの時計も届いた。今度はちゃんとした時計で、プレゼント用に包装までしてあった。
「これはちゃんと動いてるね。ありがとう。美弥ねぇ。大事に使うね。」
私は金づるなのか?都合のいい女なのか?でも、彼が喜んでくれる、その笑顔が、とても愛おしく感じた。彼に喜んで欲しかったのだ。
私はもう、彼に夢中になっていた。彼は、どう思っているのかは知らないが。。。どうやら、どうでもいいセフレではなさそうだった。
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