第4話指輪のあと
最近では肌寒くなってきた。カレンダーも、秋色。9月半ばになっていた。
幸せな時間を、追えば追うほど儚く散ってしまう。恋愛は、ほんとに、難しい。
彼と、その後も毎週のように会って共に時間を過ごした。
ある日、彼が、休みの時、ゴルフに行ってきたと写真付きでラインがきた。その写真は右手にバックを持ち、左手に、時計と、指輪。。。
私は、一瞬目を疑った。
え?
その送られてきた写真を左薬指の所を拡大し何度も何度も見た。見間違いじゃない。彼の左薬指には、指輪が、きっちりはめられている。
24歳の若い青年が、オシャレの為に左薬指に、指輪をはめるわけがない。たとえ、できる営業マンが業績を上げるためにわざと、そこにはめるという話を聞いたことがあるが、彼は、そんなタイプじゃなかった。
「え?これ。。。結婚してるの。。。?」私の中に疑問と不安が入り混じった。その日の夜。彼が、家に来ることになったので、私は、気づかれないようにちらっと、彼の、左薬指を見た。やはり。。悪い予感は的中する。昼間の写真は、見間違いじゃなかった。彼の、左薬指には、指輪のはめたあとがあった。ショックを隠しながらも聞いた。
「あれ?和くん、結婚してるの?」
彼は、一瞬固まって焦りを隠した表情で言った。
「してないよ?なんで?」
「いや、昼間送られてきた写真に、指輪はめてあったし、それ、左薬指、指輪のあとだよね?」
「あー、これ?ピンキーリングだよ」
彼がついた精一杯の嘘だった。私は、気のせいだと思うように、それ以上その話題には触れなかった。だが、ずっと、気になって仕方なかった。それでも、いいやと、その時はあまり深く考えなかった。
それからは何もなかったかのように過ごし、時にはラーメン屋に、二人で行って、ご飯を食べたり、サイゼリアで、料理について語ったり、私が、パスタを作って、彼を喜ばせたり、何度かカラオケ行ったり、楽しい時間が、さらに増えていった。
いつの間にか、毎週会うのが当たり前になっていた。楽しかった。お互いにありのままで居られて、心から、笑えた。彼といるときは嫌なことも、忘れることができた。
気になって仕方なかった。彼のことが。ライクから、ラブに変わってきているのが、自分の中で、分かってきた。彼と一緒にいたい。。切実な願いとなっていた。ただのセフレじゃない。お互いにやるだけの関係じゃないことを伝えた。
今でも彼の言葉は私の宝物だ。
「俺、ヤリ目だと思われるのやだから、言うね?実際は、毎回やっちゃってるけど、別にやらなくてもいいし、やるだけの関係じゃないからね?こうやって、一緒にいるだけで楽しいし、カラオケとか、ご飯一緒に食べるだけでも、癒やしになってるから、誤解しないでね?」
「ありがと。」
どこまで信じたらいいのだろうか?私は素直にその言葉を受け入れた。信じてみようと思ったのだった。
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