第3話名前
夏もまだまだ続く日曜の深夜。仕事終わりに、家で、テレビを見ていた。
この先どうして生きていくべきか、仕事はどうしたらいいのか、辞めるべきか、逃げて、他の人生を歩むべきか悩んでいた。テレビの内容は、全く覚えてない。
チリリン。
ラインの着信だ。彼からだった。嫌なことも、吹き飛ばす彼からの誘い。
「お疲れ様ぁ。今から、遊びにいかない?」
「どこに?カラオケ?それとも、ダーツでもする?」
駅前にお気に入りのダーツバーがある。そこには、毎回ウイスキーを飲みに一人でも行っていた。
「お!ダーツいいね。カラオケもいいけど、迷うなあ。お姉さん、どっちがい?」
「カラオケは、あたし、音痴だし恥ずかしいからまた今度にしよう?ダーツやりに行こうか!」
「いいね。じゃ、今から、行くね!」
ストレスが、溜まっていた私は、気晴らしに彼をダーツに誘った。自転車で、5分。駅前の雑居ビルの3階にある、綺麗な、ダイニングバーだ。中には、熱帯魚が、飼われた2つの大きな水槽。カウンター席とテーブルがある。私達は、カウンターに座った。とりあえず、最初はカクテルで乾杯し、生ハムや、ポテトチップスと、ポップコーンの盛り合わせの、バケットを注文した。3杯ぐらい飲んだあたりから、ダーツをやり始めた。501、クリケット、最初は腕だめしで、練習した。意外にも彼も、上手だった。5点差とかで、いい勝負だ。午前二時を周り、ダーツは、無料になるとのことで、更にゲームは熱くなった。
矢を投げながら、ポップコーンをつまむ。私は彼の口にポテトチップスやら、ポップコーンやら、摘んで自分の指で彼に食べさせた。彼も、嬉しそうに口を開ける。こんな些細なことが、心から、楽しかった。私が抱えていた、ストレスは、いつの間にか消えていた。
私が矢を投げようと的に狙ってる時、後ろから彼が抱きしめてきた。
「ちょっとぉ、どうしたの?矢投げられないじゃん」
「抱きしめたくなったんだもーん」
それから、私をグルンと回転させ前を向かせた。そして、腕を背中に回されキスをされ、舌を入れてきた。壁ドンどこじゃないドキドキ感。半端無かった。店員さんや、他の客に見られてる、恥ずかしさと、彼の積極さに、心臓が口からでそうになっていた。
「もぉ。。ダメ。。。矢投げさせて。」
「あは。かわぃぃ。」してやったりな満面の笑顔。
「年上からかわないよ?」照れながら、それを隠すのに必死だった。
「だって、お姉さんがあんまりにも魅力的だからだよ?」
「照れるじゃん。やめてよ?そういえばさ、和くん、あたしの名前読んでくれないよね?」
「え?親しくなったら、普通に呼ぶよ?」
「あたしはまだダメ?」
「なんて呼べばいいの?美弥さん?美弥ねぇ?」
「今まで美弥ねぇで、呼ばれたことないなぁ」
「じゃ、美弥ねぇで呼ぶね♡」
「うんっ!」
こんな話をしながら、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
「このゲームラストにしよ?」
「負けたほうがここのおごりと、タバコ一つね?」
あたしは、真剣に矢を投げた。なかなかの高得点だ。
最後彼の番。
「よしっ!これで、俺が真ん中当てたら美弥ねぇの奢りね?これ、どうしよっかなぁ、真ん中狙うか、わざと負けて格好つけたほうがいいのか、悩むね?店員さぁん!これどうしたらいいかな?」
「私ならどまんなかいきますね?」
「真ん中かぁ、じゃ、美弥ねぇ、ごちなりまぁす!」
そう言って矢を投げた。緊張の一瞬。。。結果あと数ミリ。。。あたしの勝ちだ。
「やぁった!あたしの勝ちじゃぁぁん。あはは。ごちなりまぁす。」
「うっわぁ、クッソー。あと数ミリなんだよ?ここ!見てよ!まじで、悔しいわ!」全身で悔しさを表した彼の姿が愛おしかった。まるで、子供みたいに、クッソーの連発だ。
その後はその高いテンションのまま、カラオケに流れた。
彼の、歌声を聞いた時、懐かしさを覚えた。酔ってたせいもあり、恥ずかしさはなくなっていて、ケツメイシやら、HYの、am11:00やら、Jソウルやら、私の好きな曲ばかり。学生時代に、よく聞いた曲だ。私も恥じらいもなくノリに身を任せ大声で歌った。
「美弥ねぇ、大丈夫?飲み過ぎだって!ま、こんな感じ俺好きだし、気使わないで、歌えるから樂しいけどね。」
「大丈夫。楽しいお酒は進むのが早いの!」
気がつけば、彼の、肩によりかかり眠ろうとしていた。
「眠くなった?帰ろうか?」
「うん。。ごめんね?」
それからは彼が私の名前を美弥ねぇと呼ぶようになった。壁がなくなり、少し距離が近づいた気がした。その後は私の家にいき、ベットに倒れこんだ。
唇を奪われ、首筋に、彼の唇の温もりを感じる。眠さとお酒のせいで抵抗ができなかった。されるがままに、ワンピースの、ジッパーを降ろされ、完全に彼の、ペースだ。
「ヤバイ。襲ってるみたいで、すげー興奮する。」
「あっ、だめ。。」
「でもさ、ここ濡れてるよ?」
彼がやらしく私の、熱くなった中に、指を入れてやらしい音を立てる。
「やめて?今日はだめ。。。だってばぁ。ぁぁん」そう言いながら体が彼を求める。固くて熱くなった彼のものが、私の中に入ってくる。
「あぁん。だめ。。」
お互いの息づかいが荒くなる。彼の、喘ぐ声が聞こえる。強く抱きしめあいお互いに、同じタイミングで果てた。
「美弥ねぇ、まじで、相性良すぎ!もう、忘れられないよ。美弥ねぇじゃなきゃ、俺、抜けないもん。」
嬉しかった。付き合ってほしい。と、お互いに言わないがお互いに好意を持って繋がる瞬間。友達以上恋人未満の、中途半端な関係だが、最高の癒やしの時間になっていった。幸せな時間だった。これが、ずっとずっと続く。そう、思いたかった。だが、やはり現実はそんなに、甘くないのであった。
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