第8話 二つの夜
翌日の日曜日。
私はナオと二人で喫茶店で落ち着いていた。
昨日のことがあったというのに、意外と冷静にナオと向き合ってる自分に少し驚いていた。
「昨日は学生時代からのお友達のうちに行ってたんだよね。久しぶりにゆっくり楽しめた?」
ナオは目を細めて優しく聞いてきた。
「うん。いつ会っても落ち着く友達なの。その友達の子供が今二歳になるんだけど、すんごくかわいくって。」
「ふぅん。ハルは子供が好き?」
「正直、どっちかって言うと苦手。でも、友達の子だけは心底かわいいって思えた。」
「そっか。」
ナオはゆっくりとコーヒーを飲んだ。
「ナオは子供は好き?」
「兄貴の甥っ子はかわいいと思うな。やっぱ血がつながってるからかな?そういう意味では、自分の子供なんて本当に格別なんだろうね。」
「そうかもしれないね。」
なんとなく。
こういう子供の話とか、ナオとはあんまり話したくなかった。
結婚を意識した会話になってしまうのが、今は辛い。
時計をちらっと見た。
午後2時半。
タツヤはそろそろ上海に向かった頃だろうか。
頭上で飛行機の飛ぶ音がかすかに聞こえていた。
「これからどうする?」
ナオがふいに聞いてきた。
そう。
今日は珍しく何も予定を立てずに会ってるんだよね。
「そうね。特に思いつかないけど、ナオは何かある?」
ナオの表情が少し硬くなったような気がした。
「もしよかったらうちに来る?」
思わず、言葉がのどの奥に引っ込んだ。
そっか。
確かナオは今一人暮らし。
まだ、ナオの家に行ったことなかった。
家に行く・・・ってことは。
そういうことになることもあるってこと。
大人同士のつきあいなんだもの。
どーってことないでしょ。
でも、そーでもないんだよね。これが。
ナオとは何度かデートはしたけど、まだ手を握るくらい。
キスさえしたことがなかった。
まだナオのこと知らなさすぎて、そういう気持ちにも未だなれずにいた。
一応、私はナオの彼女なわけで。
そういうことになったら、受け入れることも必要なんだよね。
ナオに聞かれて答える前に、いろんな気持ちが頭を巡った。
二人きりになって、そういう状況になって、自分の気持ちがわかるってこともあるかもしれない。
結婚を決めるには勇気もいるんだもんね。
「お邪魔してみよっかな。」
ナオの目を見れないままに答えた。
「いや、ごめん。別に無理強いじゃないから。」
一瞬ためらってから答えた私の気持ちに、ナオは気づいたようだった。
前髪を掻き上げて、寂しげな顔でうつむくナオに、キュンとなる。
ナオは、本当に女心を自然にくすぐる人だ。
「別に無理してないよ。ナオの部屋って、どんなだかちょっと気になったりもするし。」
私はなるべく自然な雰囲気で笑った。
「一応、今日は掃除もしてきたし、最低な状態ではないはずだから。」
ナオはようやく顔を上げ、嬉しそうに微笑んだ。
急に少年のような表情になる普段とのギャップに戸惑いながらドキドキする。
喫茶店を出ると、パーキングに停めてあるナオの車の助手席に座った。
ナオの家は、車で30分ほどのところにあると言う。
車内にはゆるやかなジャズが流れていて、心地よい気分に浸っていた。
ナオの運転はとても安定していた。
何をさせても、無駄のない人。
今のところ、少し嫉妬深いところを除けば、何も問題はなかった。
緑の並木道が美しい住宅街を抜けたところに、ナオの住むマンションがあった。
結構なたたずまいのマンションに一瞬言葉をなくす。
確かに、ナオは大手商社に勤めてるけど、こんないいマンションに住んでるの?
しかも一人で??
「大きいマンションだね。一人暮らしなのに、ちょっと贅沢な感じ?」
マンションを見上げながら、思わず本音がこぼれた。
ナオは頭をかきながら苦笑する。
「そうだよね。一人暮らしにしては贅沢かも。ただ、一人暮らし用の間取りに住んでるから、2LDKの55平米なんだけどね。」
「なんだけどねって、十分じゃない!へー、やっぱり大手は違うのね。」
正直、感激していた。
うちの会社は中流企業だから、そこまで独身男性に贅沢はさせないと思うもん。
エレベーターに乗る。
7階建てのマンションだったけど、ナオの住む部屋は3階だった。
「さぁ、ついたよ。とりあえず、入って。」
ナオは玄関の扉を開けると、私の緊張をほぐすかのように明るく笑った。
玄関も想像以上に広くて、整然としていた。
無駄なものが一切ない感じ。
靴を脱いで既に用意されていたスリッパを履く。
この気の効き方、絶対男じゃないよ。
まっすぐの廊下を抜けると、リビングがあった。
南向きだからか、白い壁に反射する日の光がまぶしい。
一人住まいには広すぎるリビングだと思う。
そんな広いリビングには、テレビとソファーと、オーディオ以外には何も置いていなかった。
「落ち着かないかもしれないけど、座って。」
ナオは恥ずかしそうに笑いながら、キッチンへ入って行った。
「コーヒー、紅茶、りんごジュースがあるけど、どれがいい?」
キッチンからナオの声がした。
「じゃ、りんごジュース。って、ナオはりんごジュースはいつも買い置きしてるの?」
「あ、うん。好きなんだ。りんごジュース。」
ナオの爽やかなイメージにぴったりな飲み物だと思った。
でも、いつもスマートなナオからりんごジュースを常備してるなんて庶民的な部分が見えることは、私にはうれしかった。
ようやく身近に感じられること発見。
りんごジュースをグラスに二つ入れて持ってきたナオは、ソファーに座る私のすぐ横に座った。
いきなりの急接近にドキドキする。
二人きりのリビング。
何も言わず、りんごジュースを飲むナオに、何か話しかけようって思ったその時。
ナオは私の顔をうるんだ瞳でじっと見つめてきた。
テーブルに自分のグラスを置くと、何も言わず、私の肩を抱き寄せた。
えー!
いきなりですか-!
だって、まだ家についたばっかりなのに、心の準備なんて全然できてないって。
ナオは私の耳元でささやいた。
「キスしてもいいかな?」
ドキン。
ええ~・・・
いいんだけど、いいんだけど。
まるで初めてキスをする少女のように心が震えていた。
恥ずかしくて、顔を上げないまま、ゆっくりとうなずく。
ナオはそっと、私の唇にキスをした。
とても優しくて、柔らかいキスだった。
ほんのりりんごの香り。
ナオは私の体からゆっくりと離れた。
そして、うつむくとホッとしたようにつぶやいた。
「よかった。」
思わず聞き返す。
よかった?何が?
思わず首を傾げてナオを見た。
「いや、拒否されなくてよかったって。」
ナオはうつむいたまま静かに言った。
前髪のかかった目はなぜかとても寂しそうだった。
拒否されるかもしれないって思ってた?
つきあってるのに?
「正直、まだ自信がないんだ。ハルが僕に気持ちがあるかどうか。」
ナオはとても頭のいい人だから、私の微妙な気持ちの動きに気づいていたのかもしれない。
寂しそうなナオの横顔を見つめていると、自分が不甲斐なくて、泣きそうになる。
だって、今はこんなにナオのことが愛しいんだもの。
だけど。
いつもふとした時に思い出してしまうの。
タツヤのことを。
「どうして、そう思うの?」
ナオの横顔を見つめながら聞いてみた。
「なんでだろ。時々ハルが遠くに感じる。」
そう。
いまの私にはその言葉に反論できなかった。
だって、半分はタツヤに気持ちがあるんだもの。
ひどいよね。
本当にひどい。
でも、今日はナオと真剣に向き合っていたい。
本当に誰を愛してるのか。
まだ私も自信がないから。
「付き合いだしたきっかけだって、いきなり僕からの結婚前提でっていうかなり強引なところがあったし、冷静に考えたら無茶苦茶だよなぁって。ハルもよく付き合ってくれたよって思うんだ。」
「ん。私もこんな風に付き合ったのは初めて。だけど、思い切れたのは、私がその時にナオにとても魅力を感じていたからだよ。」
今まで出会ったことがないようなナオの大人な魅力を感じずにはいられなかった。
それは、今も続いている。
「本当に?」
ナオがうれしそうな顔で聞いてきた。
「それは本当。」
「じゃ、思い切って告白してよかったわけだ。」
私は何も言わず笑った。
そして私たちは少しほぐれた緊張の合間にジュースを飲み、たわいもない会話を楽しんだ。
「僕は、日本にいるあと2ヶ月の間に、もっとハルのことを知りたいって思ってる。そして、ハルにも僕のことを知ってもらいたい。」
ナオの表情はいつになく真剣だった。
「うん。」
私はうなずいた。
ナオはゆっくりと私を抱き寄せた。
もう一度、キスをした。
最初より少しだけ長めに・・・。
いつもよりちょっぴり親密な空気を漂わせながら、色んな話をしたり、ベランダからの景色を楽しんだり、時々キスをしたり、気がつくと19時を回っていた。
「お腹すいた?」
「そういえば、すいたね。」
私は笑った。
「何か作ろっか?」
自分でも驚くくらいスムーズに口から出てきた。
ノボルと付き合ってた時は、そんなこと思いもしなかったし、言おうともしなかったのに。
その一言に、ナオは嬉しそうに笑った。
「ハルの手料理食べてみたいけど、もうこんな時間だから、次回お願いしようかな。今からじゃ大変でしょ?冷蔵庫に何もないし。」
ナオの言葉に、正直安堵している自分がいた。
そうなんだよね。
30歳にもなって、ほとんど料理の経験なし。
作れるのはカレーライスとお好み焼きくらい。
よくもまぁ、そんなんで「作ろうか」なんて言ったもんだわ。
こわいこわい。
「近くに雰囲気のいいレストランがあるんだ。行ってみる?」
「うん、行く行く。」
即答してる自分がこれまた情けない。
でも、そんな私をナオは優しい目でみつめていた。
レストランは住宅街のど真ん中にひっそりとたたずんでいた。
洋館のようなたたずまい。
でも、きっとここも絶対高いよな・・・
扉を開けると、ドミグラスソースの濃厚な香りが鼻をかすめた
ナオは、おすすめのフルコースを注文してくれた。
どれもこれも、温かくてお腹を満足させてくれるお料理ばかり。
ナオは、本当に素敵なお店いっぱい知ってるよなぁ。
それでもって、私なら普段なら絶対手を出さないようなゼロが一つ多いお料理を注文してくれる。
そして、ご馳走してくれるんだ。
なんていうか、そんな余裕のある男性の懐に身を寄せられるって、本当に安心してられるって言うか居心地いいわ。
ノボルの時は、本当にフィフティーフィフティーで、お互いの誕生日以外はおごったりおごられたりしたことはなかった。
それはそれで気が楽だったんだけど、ナオのこういう態度を見ていると、やっぱりノボルじゃだめだよなぁって。
今更、ノボルと比較するのもどうかと思うけどね。
すっかりお腹いっぱいになったナオと私は、お店を出た。
「おいしかったー。いつもご馳走様です。高かったでしょ?たまには割り勘しようよ。」
ナオの返答はわかっていたけれど、あえて言ってみた。
「ハルがおいしかったって言ってくれることが一番嬉しい。ハルには絶対おごらせないよ。僕のプライドが許さない。そこそこお金持ってるから気にしないで。」
少しいたずらっぽく笑うナオに、やっぱり余裕を感じる。
そんな台詞も全く嫌みっぽくなかった。
これもナオの品の良さなんだろう。
辺りはすっかり暗くなり、月が出ていた。
「これからどうしようか?」
ナオがぽつりとつぶやいた。
これから・・・
家に帰る?
それとも、ナオの家に戻る?
時計を見ると21時過ぎだった。
「もうこんな時間だよね。」
まさか自分からナオの家に戻りたいなんて言えるわけがない。
「帰る?」
ナオは前を向いたまま聞いてきた。
正直、この居心地のいい時間をもう少しナオと二人で過ごしていたかった。
でも、きっとこのままナオの家に戻ったら・・・
たぶん、そういうことになるよね。
きっと。
ナオもわかってて、私に聞いてる。
「今日は家まで車で送るから、もう少しゆっくりしていく?」
暗がりの中、ナオが勇気を出して言ってるのがわかった。
誰かが言ってたっけ。
男と女の本当の相性は、関係を持たないとわからないって。
「じゃ、もう少しだけ。」
私もつぶやくように答えた。
家に着くまで二人とも何も話さなかった。
お互い緊張しているからだろうか。
これから起きるだろうその事を。
心臓がばくばくしてる。
玄関を入ると、当然家の中は真っ暗だった。
リビングの窓から、外の明かりがちらちらと瞬いていた。
ナオは電気をつけないまま、私を背後からぎゅっと抱きしめた。
そして、私の首筋にキスをした。
ドキドキする。
ノボルと付き合っていた頃、そういうこと最後にしたのいつだったっけ?
すごく久しぶりなような気がする。
ナオはキスの時と違って、何も聞かず、私をベッドの上に横たえた。
少しだけ抗ってみたけれど、ナオの優しく吸い込まれるようなキスにそのまま身をゆだねた。
ナオは最後まで紳士的に私を愛してくれた。
愛しなれてるとかそんな感じではなく、ただ、私のために愛してくれてる感じがした。
ナオの肌の温かさと重みが、心地いい。
ノボルの時には感じたことがなかったこと。
すべてが終わった後、ナオは私の手を握って言った。
「ごめん。」
「ごめんって今更じゃない?」
私は笑った。
ナオの手に自分の指を絡ませながら、
タツヤと、もしこんな風になったら、どう自分は感じるんだろうって思っていた。
ごめんね、ナオ。
こんなに満たされた後で、タツヤの事を考えてしまう自分が嫌だった。
服を着替えた後、ナオは約束通り車で家まで送ってくれた。
家に着くと23時すぎだった。
久々に遅くなったな。
車を降りようとした時、ふいに腕をつかまれる。
そしてナオは私にキスをした。
さすがに家の前でのキスって、落ち着かない。
思わず、すぐに身を引いた。
「また。気をつけて帰ってね。」
「ああ、うん。また電話する。」
ナオの車が見えなくなるまで見送った後、私は静かに玄関の鍵を回した。
「おかえりー。遅かったわね。」
リビングから母親の声がした。
「ただいま。」
何となく母と顔を合わすのが気まずくて、リビングに顔を出さずに自分の部屋がある2階に向かう。
「えっと、誰だっけ。前病院まであんたを運んでくれたタツヤくん?とでもデートだったの?」
にやついた母親が階段の下で声をかけてきた。
「違うって。」
やばいやばい。
足早に階段を駆け上がった。
そういや、今や母親が私の男性関係で知る名前はタツヤだけだったわ。
ナオのことは、きちんと話さなきゃって後回しにしてたんだった。
今度は、ちゃんと紹介しておかなくちゃね。
一応、結婚前提なんだし。
自分の部屋に入った途端、急に体が重たく疲れがおそってきた。
だって、今日はいろんなことがあったんだもの。
久しぶりに体も気持ちも緊張した。
でも、楽しかった。
ナオとの初めてのキス。
初めて重なった時のことを考えると、頭がぼわんとする。
私って、今最高に幸せな人間よねぇ。
こういうの夢見心地って言うんだわ。
なのに、心のどこかでタツヤのことがひっかかって離れない。
なんだか罰当たりそうだよね。
自分の優柔不断さにため息が出る。
だけど、ミユに言われたように、しっかりと二人を見て、本当に愛してるのが誰かを見極めることはとても大事なんだもんね。
うん。
そう思わないと、やってられない。
私はタンスからパジャマをひっぱり出すと、階段を降りてバスルームに向かった。
月曜日からまた普段通りの生活が始まった。
違うのは、ナオを知ってしまった私の体と気持ちだけ。
相変わらず、アユミとは視線を合わせられずにいた。
横を通り過ぎたアユミの背中を見つめながら、
もう少し、
もう少しだけ待っていてね・・・と心の中でつぶやいた。
木曜日の夕方。
『受信あり』
会社のパソコンを開いているとメール受信通知が表示された。
なんとなく、あいつからのような気がしてすぐにメールボックスを開いてみる。
やっぱりだった。
『今帰ってきたぞ。上海ってすげー刺激的な場所だった。お土産は期待しとくように!ではまた明日』
タツヤのメールの文字は躍り出すんじゃないかというくらい、興奮していた。
なんだか子供っぽくて笑える。
ばかだねぇ。
やつは。
メールを読みながら思わず顔がほころんだ。
そして返信を打つ。
『おかえりー!元気そうで何より。明日、お土産期待してるわ。』
送信・・・と。
そして、私は画面を切り替え、やりかけの仕事に向かった。
金曜日。
タツヤと食事に出かける日がやってきた。
どうなるんだろう。
私の気持ち。
今日は真っ白な気持ちでタツヤと会おう。
ナオのためにも。
タツヤの要望で会社の玄関ホールでの待ち合わせ。
絶対誰かに見られるってのに。
でも、これだけこそこそしてなきゃ、逆に怪しまれなかったりして?!
更衣室で口紅を塗り直した。
ロッカーを閉めた時、誰かが更衣室に入ってきた。
顔を上げると、アユミだった。
思わず、心臓が大きく揺れた。
「おつかれさま。」
できるだけ普通に声をかけた。
アユミは少しだけ口元をゆるめて、私にぺこりと頭を下げた。
そのまま、私の横を通り過ぎて自分のロッカーへ向かっていく。
なんだか、どうしようもなく切なくて涙が出そうになった。
こんなことになったのも、私がはっきりしないからだもんね。
更衣室を出ようとした時、ふいにアユミが私の名前を呼んだような気がした。
「え?」
聞き違い?思わず聞き返す。
「私、ハルナに言い過ぎたよね。ごめん。」
アユミの声だけが更衣室に響いてる。
どうして謝るの?
全部私が悪いのに。
「なんとなく、女の勘っていうか。タツヤはハルナのこと気になってるんじゃないかなって思っちゃっててさ。いわゆる嫉妬。嫌な女やっちゃったよね。」
アユミはロッカーの向こうで寂しそうに笑ってるような気がした。
「私さ、もう大丈夫だから。もし、ハルナがタツヤのこといいなーって思ったら、気にしないで付き合って。」
どうして?
アユミはそんなことが言えるの?
どこまでいいやつなの?
私はアユミの声を聞きながら、顔が上げられなかった。
アユミより年上なのになんて情けないんだろ。
なさけない30歳。
こんなの誰も選ぶ資格なしだよ。
きっとアユミは私なんかよりずっとずっと辛いのに。
「アユミ。きちんと話する。アユミのこと大事だから、自分の気持ちはっきりさせて、きちんとアユミに話しする。だから、もう少しだけ待ってて。」
それだけを言うのに、どれだけ時間がかかったんだろう。
「うん。待ってる。」
アユミは優しく言った。
私は静かに更衣室の扉を閉めた。
アユミの痛いほどの優しさが、今は辛い。
これから、アユミが思いを寄せていたタツヤと会おうとしてる私。
嫌な女はどっち?
気分が重たいまま、エレベータの1階を押した。
1階の玄関ロビーには、金曜日とだけあって、社内の人たちの待ち合わせでごったがえしていた。
なるべく人目につかないように、少しうつむきながら、タツヤの姿を探す。
そのとき、ふいに私は肩をつかまれた。
振り返ると、タツヤがいつものように豪快な笑顔で立っていた。
少し日に焼けた頬がいつもより少しだけ男っぽく感じられる。
「ねーさん、何こそこそやってんの。」
タツヤはそう言うと、さりげなく玄関の方を指さして、私を促した。
それはとてもスマートなやり方で、誰が見たって、たまたま玄関先で出会ってそのまま一緒に帰っていった風だった。
ひょっとしたら。
タツヤはそういう状況になれているのかもしれない。
会社を出るとほんのり紫がかった空に一つ、二つ、小さな星が瞬いていた。
たくさんのサラリーマン達が、信号を渡っていく。
雑踏。
その中の二人が、私とタツヤだった。
「お店とか決めてるの?」
タツヤが聞いてきた。
「うん。一応ね。今日は私が誘ったんだから。」
「何系のお店?」
「韓国風鍋。」
「韓国風鍋?!」
タツヤは明らかに驚いているようだった。
「普通、女性ならパスタとかフレンチとか、そんなんじゃないの?」
「普通じゃなくて悪かったわね。」
私はタツヤの方を軽くにらんだ。
「うそうそ。俺、韓国料理大好きだし。マッコリとかうまいもんな。」
「でしょ?最近見つけたお店の中でも一押しなんだから。楽しみにしててよ。」
いつものように笑った。
いつものように色気もなく。
駅に向かう大通りの脇の路地に入る。
この路地に入ると、とたんに人気が少なくなるんだよね。
女同士だと、少し寂しく落ち着かない路地が、今日はタツヤと一緒だと逆に落ち着いた。
「えらくマニアックな場所にあるんだ。」
タツヤは興味津々な様子で周囲をきょろきょろと見回した。
「はい、到着~。」
私はお店の前で立ち止まった。
そこはとても小さいお店なんだけど、味は天下一品。
知る人ぞ知る韓国料理のお店。
誰に教えてもらったかっていうと・・・
アユミだったりするんだけどね。
とりあえず、腰を落ち着けてマッコリで乾杯。
タツヤの初海外出張の話を聞きながら、キムチをつまんだ。
上海の食事は想像以上にいけてたらしい。
中国語は適当だったけど、ジェスチャー交えれば、何でも通じたとか。
はは、タツヤらしいよね。
子供のように興奮して、上海の出来事を話してくれた。
なんていうか。
普段通りのタツヤにホッとした。
「でさ、これお土産。」
鞄の中から小さな包みをとりだした。
かすかに中国の香りがする。
開けると、色とりどりの紐が絡んだ飾りだった。
「これさ、お守りになるんだってさ。ねーさんに降りかかる色んな悪いことをこいつが吸い取ってくれるらしいよ。これで、この先も安泰でしょ。」
「ありがとね。気が利いてるじゃん。」
この飾りのセンスはともかく、タツヤの気持ちが嬉しかった。
そろそろ本題に入ろうかと思った時。
「で、ねーさんは結婚に向けて順調?」
切り出したのはタツヤだった。
突然話を振られて、しばし言葉を失う。
タツヤは正面を向いたまま、静かにマッコリを口に含んでいた。
私も頭の中で次に出す言葉を考えながらマッコリを飲む。
「ん、まぁね。順調といえば順調なのかもしれないけど、そうでないと言えばそうでもないかも。」
「なんじゃ、それ。」
タツヤは間髪入れずに突っ込んできた。
「そういう言い方をする時は、順調とは言えない時じゃないの?」
タツヤは視線をそらして、皮肉っぽく笑った。
「二人の関係は特に問題ないのよ。これは本当。」
「ふうん。言ってる意味わかんね。」
タツヤはマッコリを手に持ったまま、テーブルに肘をついた。
「そうだよね、訳わかんないよね。言うなれば、順調なんだけど、私の気持ちが、このまま結婚に踏み出せるかと言えばそうではないわけ。」
「順調なのに、気持ちがいまいちのらないって、他に気になる男でもいんのかよ。」
タツヤはちゃかすように笑いながら、ちらっと私に視線を向けた。
その視線から思わず目をそらす。
どうして、こうずけずけと容赦ない言葉をかけてこれるもんなのかしら。
このままだと、完全にタツヤのペースにはまっちゃうわ。
「気になる男性がいたとしたら?」
思わず、タツヤに権勢をかけた。
「何?ひょっとして、まだ元彼ひきずってるとか言わないでよ。」
今度はタツヤが視線をそらした。
私は笑わずに言った。
「元彼なんかとっくに忘れたよ。」
タツヤはふざけた表情で言った。
「じゃ、俺だろ?ねーさんが気になる相手ってさ。」
不覚にも顔が熱くなる。
コップに3分の1ほどあったマッコリをぐいと飲み干した。
「だとしたら?」
そう言うと、タツヤの表情が途端に緊張した。
「だとしたら?・・・って言われてもさ。」
タツヤは手元に視線を落とす。
珍しく、反応がにぶい。
しばらくの沈黙の後、口を開いた。
「もし、仮に今の言葉が冗談じゃなくてもさ、フィアンセのいる身でそんなこと言ってくるのって卑怯じゃない?」
「卑怯?」
「全く対等じゃない。俺がねーさんにどういう返事をしても、ねーさんが有利。」
「よくわかんないんだけど。」
「片手にフィアンセ掴みながら、『好きだ』って言われてるようなもんだぜ。本気だったら、フィアンセを手放してから言うんじゃない?普通。」
なんだかくやしかった。
そんなんじゃないのに。
そんな気持ちじゃないのに。
ただ、私はどうしていいかわからなくて。
それで・・・。
でも、
タツヤの言ってることに完全に否定できない自分がいた。
そう、最初からわかっていたこと。
タツヤにはそれでも通用すると思っていた私が浅はかだった。
黙りこくってる私を見て、タツヤはマッコリをテーブルに置いてふっと笑った。
「ねーさんはそんなことするはずないもんな。冗談でしょ?ごめんごめん、そんなマジな顔しないでよ。」
そして、タツヤは店員さんにマッコリのおかわりを二つ頼んだ。
なみなみとつがれたマッコリを目の前に、しばらく二人は黙っていた。
そして、タツヤは静かに言った。
「迷う相手なら結婚しなきゃいいんじゃない?」
それは、とても当たり前のことだ。
迷ってるくらいなら結婚なんかやめればいい。
そんなことわかってるし。
ただ、そんな単純な動機ですぐに決定できるほど、私は若くはない。
ナオは、私をとても大切にしてくれる。
結婚するには、本当に申し分のない男性。
私の気持ちがナオに惹かれているのも事実。
だけど、私の心のどこかに、タツヤがいつも存在していた。
ナオとは全く正反対のタイプのタツヤを。
どうして、そんなに気になるのか、自分自身でもよくわからない。
だからこそ、タツヤを知りたいと思った。
そうじゃないと、ナオにも示しがつかないって思ったから。
今、私はタツヤに何が言えるんだろう。
「結婚って、簡単に答えが出ないものなのよ。たぶん。」
「現にねーさんは迷ってるんだろ?迷ったまま結婚もありってこと?」
タツヤは珍しく、少し声を荒げた。
「その迷いを払拭するために、今日はタツヤを誘ったのよ。」
「あ?」
タツヤは眉間に皺を寄せ、しばらく私の顔を無言で見つめた。
それから視線を落として言った。
「なんだよ、それ。」
マッコリを勢いよく飲んでしまったせいなのか、これからタツヤに自分が答えを得ようとしてることに緊張しているのか、
久しぶりに心臓が激しく鼓動を打っていた。
「タツヤはその後どうなの?例の彼女と別れてから、何か変化はあった?」
「俺の変化が、ねーさんの結婚の迷いを払拭させることになるわけ?」
逆に切り替えされる。
「うん。」
静かにうなずく。
「意味わかんないんだけど。さっきから、何が言いたいの?俺、そういうもたもたしたのすごく嫌いなんだけど。」
嫌い・・・
タツヤには何度となく「嫌い」「好きじゃない」って言われてるような気がするんだけど。
ナオとは違う、明確な言動、そして、明確さを求めるところは、若さゆえなんだろうか。
でも、いつもタツヤのそういう言葉が私の胸を鋭く突き刺す。
それは、もっともなことを言ってると私も感じるから。
ふぅ。
思い切って聞いてみるか・・・。
「じゃ、単刀直入に言うね。」
「おう。」
タツヤは私に体を向けて、姿勢を正した。
いざ、こちらからけしかけると、途端に緊張した顔になるタツヤ。
心の中で少しだけ笑った。
「こないだ、私を病院に送ってくれたでしょ?あのとき、私が寝てる横で『結婚するな』って言ってたような気がうっすらとしててさ。半分寝てたから定かではないんだけど。どういう意味だったのかなって。」
タツヤの顔が思いきり紅潮したのがわかった。
「ちぇ、なんだよ。聞いてたのかよ。」
つぶやくような小さな声で言った。
やっぱり。
あれは空耳じゃなかったんだ。
自分の中の何かが柔らかく温かくなっていくような気がした。
「あれ、全部聞いてたの?」
タツヤはこちらを見ずに聞いてきた。
「うん。夢見心地な感じではあったけど、大方。」
「なんですぐに言わないんだよ。」
「だって、あの時は高熱に浮かされてたし、半分夢見てた状態だったし。それに・・・。」
「それに?」
「そんなこと、タツヤが私に言うなんて思いもしなかったんだもん。」
タツヤはどうしていいのかわからないのか、頭をくしゃくしゃとして左手でほおづえをつき、右手にマッコリを持った。
「なんていうかさ。俺、今すごく恥ずかしいんだけど。」
その照れた横顔はとても愛しかった。
「私さ、タツヤにあれが本心なのかどうかってずっと聞きたかったんだ。」
タツヤはちらっと私を見て言った。
「聞いてどうすんのさ。何かがねーさんの中で変わるわけ?」
「わかんない。」
「なんだよ、それ。ほんと、ねーさんと話してるといらいらする。ひょっとして、俺もて遊ばれてない?」
「そんなんじゃないよ。ただ、ずっとさ、タツヤのその言葉がひっかかってて、タツヤの本心はどうなんだろうって思ってた。なんでだろうね。」
「だから、ねーさんは俺に気持ちが傾いてんじゃないの?」
タツヤは冗談ともそうでないともとれないような口調で早口に言った。
「そうなんだろうね。きっと。」
「否定しなんだ。」
「しない。大事なことだもん。」
「だから、俺の気持ちを知りたいってか?」
「・・・。」
「知ったところで、フィアンセとの関係はそう簡単に変わらないんでしょ?」
「・・・。」
「俺、なんかフィアンセと比較検討されてるみたいで、すごく気分悪いんだけどさ。」
そうだよね。
タツヤの性格上、そういうの一番嫌いだと思う。
でも、私もこんな性格だから、もっとうまく切り出せばいいのに、できなかったんだよね。
タツヤは軽くため息をついた。
「こないだ病院で言ったことは本心だよ。俺は、ねーさんのこと気になる。たぶん、彼女と別れる前から。」
思わず、目を見開いてタツヤを見た。
「そりゃ、彼女と別れたことはそれなりにショックだったけど。それを口実にねーさんを誘ったってのも事実。」
心臓がドキドキしていた。
こんなにストレートにタツヤの気持ちが聞けるなんて思っていなかったから。
タツヤの気持ちを聞いて、私の中の何かが変わる?
こういうどきどきは久しぶりのような気がする。
なんだか高校生に戻ったみたいな。
ナオの時とは明らかに違う、とても高揚した気分。
これは?
どういうことなんだろう。
ミユ・・・あなたならどう受け止める?
ナオと一つになった時の温かく満たされた気持ち。
タツヤの照れながらの告白に高鳴る鼓動。
何を意味してるんだろう。
私は、本当はどちらが好き?
あまりに両極端な二人だからこそ、それぞれに惹かれてしまうんだろうか。
でも、そんなの勝手すぎるよね。
自分に都合がよすぎる。
ミユが言ってた決定打ってどんなだろう。
本当に選ぶのはこの人だって、絶対わかる何か。
しばらくして、タツヤがぼそりと言った。
「で、俺の告白に対して何か言葉はないわけ?」
一瞬にして現実に引き戻される。
「ごめんごめん。」
「は?ごめんごめんって、俺やっぱ適当にあしらわれすぎじゃない?」
「そんなんじゃないよ。」
「年下だから?」
少し真面目なトーンでタツヤが言った。
違うよ。
そういう風に、私はタツヤを見たことがなかった。
年下のくせに生意気だ、なんてよく言ってたけど、私の中ではいつも対等な存在だった。
だからこそ、タツヤの一つ一つの言葉に過敏に反応していたのかもしれない。
「生意気なやつだとは思ってたけど、タツヤのこと、年下としてあまり見たことないんだ。実は。」
タツヤは首をかしげて苦笑した。
「それより、タツヤこそ私を都合のいい時だけ年上扱いしてくれるじゃない。」
「だって年上だもん。」
タツヤはいつものようなふざけた表情で笑った。
「ほんと、腹が立つ。」
私もマッコリを片手に笑った。
変なの。
さっきまですごく緊張感の漂ってたのに、すぐにこんなにも柔らかい空気に戻ってしまう。
「ところで、ねーさんのフィアンセってどんな人なの?」
タツヤはふいに聞いてきた。
ナオ?
ナオは・・・。
週末、少し強引に抱きしめられた時のことを思い出して、顔が熱くなる。
慌てて、両手で頬を隠した。
「大人だよね。一言で言うと。」
「大人?」
「うん。すべてにおいて余裕がある感じ。どんな時も私に不安を感じさせないっていうか。」
「すげーじゃん。」
タツヤはゆっくりとマッコリをテーブルに置いた。
「結婚相手としては全く申し分ないじゃんか。」
「そうだよね。」
「そうだよね、って。俺に言うか?」
タツヤは半分あきれた顔で私を見た。
私もそんなタツヤの顔を見て、自分自身が情けなくなってきた。
本当に私は何やってんだろ。
ナオは本当に非の打ち所がない男性。
出会った時から、今まで味わったことのない魅力にとりつかれた。
付き合ってからも、その魅力は変わらなかったし。
ナオに自分が本当にふさわしいかどうかは、ともかく・・・だけどね。
「ねーさんはさ。結局どうしたいんだよ。」
タツヤのきつめの口調に、私の中心が瞬時に緊張した。
タツヤは長いため息をついた。
「まさか、どっちも好き。どっちかなんて選べない、なんて少女漫画みたいな雰囲気に酔いしれてんじゃないだろうな。」
「ち、違うよ。そんなんじゃないよ。」
「何が違うんだよ。俺にはそうしか見えない。俺、そんなねーさんには全く魅力を感じない。」
その言葉に、自分が奈落の底に突き落とされていくような錯覚を覚えた。
どうして、こんなにタツヤの一言に一喜一憂してるんだろう。
私は、結局タツヤに振り回されてる。
明らかに落ち込んだ私の顔を見て、タツヤは語調を和らげた。
「そんな落ち込むなよ。ねーさんより俺の方が落ち込んでるのにさ。」
「タツヤは言い方がきついのよ。白黒はっきりしすぎっていうか。だからさ、私だって、どうしていいかわらかなくなるのよ。」
自分の口から、思考よりも先にスムーズに出てきた言葉だった。
タツヤは前髪を掻き上げた。
「じゃ、この際だから、もっとはっきりさせるためにねーさんに聞いてもいい?」
「な、何よ。」
「これから俺と一晩過ごさない?」
のどの奥がからからに乾いていく。
タツヤの目は、マッコリのせいで少しうるんでいた。
「本当の男女の相性って、関係を持たないとわからないって言うらしいし。」
タツヤは、視線を落として言った。
あ。
これって、タツヤから聞いた話だったんだ。
確か、学生時代にとってた心理学の教授が言ってたとかなんとか・・・だっけ。
・・・とか、思い出してる場合じゃない。
え~?!
タツヤ、それはあまりに唐突な提案ではない?!
思わずじっとタツヤの顔を凝視した。
タツヤは私をちらっと見て、くすりと笑う。
「ねーさんって、ほんと、いつもすぐに真に受けるから笑っちゃうよな。この前の時もそうだったけどさ。」
「へ?」
「いくらなんでもそんな提案、俺がするわけないっしょ?フィアンセいるねーさんに対して。俺もそこまで落ちてないよ。」
そう言いながら、少し寂しそうに笑った。
「そうなんだ。」
思わず口からこぼれる。
「な、なんだよ。ひょっとして、受ける気になってたなんて言うなよ、さっきの提案。」
タツヤは驚いた顔で私を見た。
短い時間に、私はそれもいいかも・・・って思ってた。
不謹慎だと頭ではわかっていながら、タツヤと一つになることに、それほど抵抗がなかった。
いざ・・・となった時、自分がどう感じて行動するかはわからないけれど。
ナオの時のように、そのまま体をゆだねられるのか。
それとも、拒絶してしまうのか。
タツヤはちらっと腕時計に目をやった。
「おっ。もうこんな時間じゃん。」
見ると、また終電間近だった。
「前と同じだね。終電ぎりぎり。」
タツヤは、深呼吸なのかため息なのかわからないような長い息をはいた。
「どうする?」
どうする?
男の人って、ナオもそうだったけど、どうして女性に最終決定をさせようとするのかしら。
しばらく、うっすらとコップの底に残っているマッコリを見つめながらだまっていた。
「もし、ねーさんが朝帰りオッケーなんだったら、朝までどっかで時間つぶす?」
タツヤは私の様子を伺いながら聞いてきた。
朝帰りか。
いつ以来だろう。
ノボルと付き合い始めた時、時々あったっけ。
母さんは、察しがいいからそういうことわかっていたけど、黙認してたよな。
いつもみたく、「朝までカラオケ」を使うか・・・。
「うん。いいよ、朝まで。」
私は携帯を出しながら答えた。
「まじで?!」
私の答えに意表をつかれたのか、タツヤは目を丸くした。
「ん。なんとなく、もう少しタツヤと話してたい気分だし。お酒も飲み直したいかな。」
タツヤは微妙な顔で笑った。
私は例の言い訳を書いて、母さんにメールを送った
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