第11話 歴史の遺産
俺が起きると二人は朝飯の準備をしていた。今が朝なのかは分からないが。
「おはようリラン君。ご飯はお肉だよ!あと何か分からない白い粒があったからそれも一緒に茹でてるところだよ」
「やっぱりそれ危険じゃねえのか?見たこともねえじゃねえか」
「大丈夫!私の勘がそう囁いている!」
なにやら、奥のほうで何かを見つけたらしいのだが、ライラの言うとおり大丈夫なのか。心配だ。
「リラン、出来たぞ。何かべちゃっとなったけど。本当に大丈夫か?」
「私もちょっと心配になってきた。でもたぶん大丈夫だって。ささ、食べよう!」
器の中に盛られた白い何かと肉のかけら。一見おいしそうに見えない。だが、食べてみないと評価の仕様が無い。意を決して口の中に含んでみる。
【何か、意外とうまい】
「だな、無駄な心配をしたよ。けど、何でうまいんだろな」
「これ、お肉が塩漬けされているからだと思いますよ。そのお塩がこの白い粒に溶けておいしくなっているんだと思います」
【ノアって、料理とかする方なの?】
「家では自分で作りますよ?料理は得意なほうです!」
ノアの意外な一面を知りながらも朝飯を食べている途中、突然部屋全体が明るくなった。
「何だ、いきなり!」
ライラが驚くのも無理は無いだろう。先ほどまで暗く、光石を付けていないと周りも見えないほどだったのだから。しかも、突然暗いところから明るいところに出ると目がなれずに、ふらついてしまう。
「お前ら、今そこにいるよな」
「大丈夫です。リラン君はどうですか?」
目が見えないため足で地面をけり、音を出す。これでいることが確認できただろう。
そのとき、聞きなれない不快な音が耳に届いてきた。
『突然ノコトデ申シ訳アリマセンデシタ』
何か、鉄と鉄を擦り合わせたような音が聞こえてくる。一体何がそこにいるのだろうか。
一番早く目が慣れたのだろう。ライラがそこにいる何かに質問を投げかける。
「お前は一体なんだ!その体はどうなっている!?」
『私ハ製造ナンバー18895号。奉仕ロボットデス』
俺も、目が慣れてきたのだろう。その慣れた目で見たろぼっとと名乗っているモノは奇怪な姿をしていた。まず、足が四本あり胴体が丸い。腕も関節が二箇所あり不気味な感じがする。
「そのろぼっとというのは何だ」
『ロボットトハ、機械デ作ラレタ生物ニ準ジタ形ヲシタモノデス』
「生物?それは人間や牛とかか?」
『ハイ、ソウト言エマス』
その後もライラはいくつかの質問をする。ここはどこなのか、何のためにここはあるのか、地上にでる場所はあるのか。それらの質問にろぼっとは、『ココハ、
「あのー、ろぼっとさん?ここに他の人はいるんですか?」
『イエ、イマセン。今カラ4380000時間ホド前ニ最後ノ一人ガ亡クナラレテシマイマシタ。ソレ以降、私タチロボットハコノ施設ノ維持ニ力ヲ注イデキマシタ』
「じゃあ、あの冷える箱の中に入っていた肉は?」
『アレハ、約72時間前ニ
「そうだったのか」
【お前は何でここに来たんだ?】
ふと疑問に思ったことを質問する。ろぼっとは一度こちらに顔(?)を向け、謝罪をした。
『申シ訳アリマセンガ、アチラニソレヲ向ケテ下サイマセンカ?』
そういって細い手で指差したのは、部屋の天井隅にある半円状のものだった。ライラが何故と問いかけると。
『私ノ今ノ体ニ備ワッテイルカメラガ故障シテイマシテ、アナタ方ヲ直接見ルコトガ出来ナイノデス。今ハ施設ノ維持ガ最重要デシテ、修理モ行ッテイナイノデス。ナノデ、部屋ニ付ケラレテイルカメラデアナタ方ヲ見テイルノデス。デスカラ、筆談ナラバアチラノカメラニ向ケテイタダケルト幸イデス』
かめらが何なのか分からないが、目が見えないということなのだろう。修理が出来ないとも言っていた。俺は、言われたとおりに天井隅にある半円状のものに石版を向ける。
『アリガトウゴザイマス。字ガ変形シテイマスネ。・・・解析完了。ココニ来タトイウ質問ニ対シテハ、施設ノ案内ヲスルタメニヤッテキマシタ』
「案内ですか」
「なら、さっさと地上に出たいね」
ライラが言ったように、早くここから地上に出なければならない。親方たちも心配しているだろうし、なによりも、ここが絶対安全とは限らない。昨日見た蟲の卵もあることだし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます