第2話 ノアの苦悩
ど、どうしたらいいんでしょう。リラン君と二人きりになるのなんて初めてで、何から話せばいいのかわからないです。どうにかしてこの空気から抜け出さなくては!
「あの~、リラン君?」
【なに?】
リラン君が書きながらこっちを見ています。器用なことをするんですね。って違います!何か話題を出さなければ。
「む、蟲ってどんなものなんでしょうね?」
何言ってるんですか、私は!蟲の話のどこが明るい話なんですか。ん?リラン君が地面に何か書いてますね。
【蟲って言うのは大きな分類でしかないんだ。蟲の中にも甲殻を持つものもいれば羽を持っているものもいる】
「へ~、そうだったんですか」
蟲のことなんて知る機会が無いので勉強になります。
【甲殻を持つものの中にも分類があって、はさみの様なものを身につけている蟲もいるし、角だってあるやつもいる。角の中にも硬かったり本数が多かったりとさまざまな種類がいる】
「な、なんだか難しくなってきましたね、私にはちょっと理解できないかもしれないです」
【そんな難しいことでもないよ。人間の中にもまったく同じ人はいないでしょ?それと同じだ】
「わかったような、わからないような」
【まあ、進化の過程によって変わってくるからね。たくさんの種類がいるって思っていればいいよ。どんな蟲かを知ることができれば対処の仕方がある程度わかってくるから】
「そうなんですか。リラン君は物知りですね」
リラン君がこっちに照れ笑いをしてきます。正直かわいいです。じゃない!いつから蟲の話になったんですか。もっと違う話題を。
ノアが深く考えているところを見ているリランはノアを見て【何考えてるの?】と質問をした。
「いえ!あの、いま明るい話題を考えているところでして」
【話題を考えていたの?】
「う~、はい」
リラン君に考えていることを指摘されてしまいました。リラン君にどうしようもない女だと思われていないでしょうか。
【そんなこと考えなくてもいいよ。一緒にいるうちにいつかは話題が自然と出てくるものさ。だから今は考えなくてもいい】
「そうですか、わかりました」
そういうものなんでしょうか?私は穴の外でも友達がいないのでよくわかりません。唯一友達といえるのはリラン君とライラぐらいでしょうか。まあ、リラン君はこの無言の中でも特に苦としていないみたいなのでよかったです。私も、気を抜かないようにしながらリラックスしていきたいと思います。
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