第4話 志願

「しかし、いったいどうするんだ?ここ最近の石炭事情はちと厳しいモンがあるぞ。さきの空洞を塞いじまったらほかの道を一から作り直さねえといけねえから時間がかかるぞ。いまはそんなに時間をかけていられねえ」

「わかっておるわ、そのようなこと。わしを誰だと思っておる。その村の村長だぞ。いまその方法を取ったらこの村がなくなる。よって」


 村長はそこで一旦切り、石版をしまってあった棚から何かをまた取り出した。


「村長、何だそれは」

「これはさらの石版だ。これよりここに調査隊の名を刻んでゆく」

「調査隊だあ?まさか、あの空洞に向かわせるってのか!?」

「そうだ、その調査隊にお前を隊長に任命したい。引き受けてくれるか?」

「別に引き受けるのは構わねえが。その調査隊に志願するやつなんているのか?」


 そこで、俺は静かに手を上げた。二人が不思議なものを見るような目でこっちを向いてきたが気にしない。


【俺、志願してもいいですか?】

「リラン、いいのか?話を聞く限り危険な仕事だぞ?死ぬかもしれねえんだぞ?蟲に遭う可能性だってある。それでもいいのか」

【わかってる、でも俺もついていきたい】

「そうか、思いが堅えなら留めはしない。でも死ぬことは許さないぞ」


 俺は力強く頷いた。親方は満足したように笑った。

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