第2話 とある発見

「おい!機材持ってこい!」

「何番ですか!」


 採掘者の一人が叫んだ。


「2番だ!」


 俺は親方が叫んで言った番号を探し出し取り出した。

 ここは壁を掘っている穴だ。俺はここで働いている。2番というものはドリルの硬度を示しているのだ。今回は硬い岩を壊すぐらいの硬さだ。

 そのドリルを親方の目の前に掲げた。


「おう、持ってきたならちゃっちゃとここを壊してくれや」


 俺は頷いて作業に取り掛かった。手のひらで3と0を表現しながら。


「30分か。わかった、お前ら!、ここで少し休憩だ」


 俺はここで整備士をしている。ドリルで岩を壊したり、道具の調整をしたりなどだ。ここで働いているやつなら誰でもできそうな仕事だが意外といない。それは直す、または扱う知識を学ばないといけないからだ。機械というものは少し弄るだけで感覚が変わっていってしまう。そこをきちんと学び、直していかないといけないのだ。

 ここで何を掘っているのかといえば、俺たちの生活に欠かせないモノを探している。それは石炭だ。ここは壁と海しかなく、植物といわれているものは話の中でしかない。一度だけ見たことがあるが、それは化石で見ただけだ。取り合えず、夜に暖を取ったり飯を作るときにも使うため消費量が多い。なので、この町では住民の6割が壁を掘って石炭を探している。

 そうこうしている内に、道を阻んでいた岩が派手な音を立てて砕け散った。


「親方、砕けたのはいいのですが。この先、空洞みたいですよ?」


 さっそくといわんばかりに仕事に取りかかろうとしていた者が、そう言った。


「なに!?空洞かあ」


 いま叫んだのは親方と呼ばれている人だ。ただ信頼は厚いようだ。俺も信頼できる相手だと思う。

 親方が悩んでいるのは、空洞には蟲が棲んでいる場合が多いからだ。蟲というのは、全長3Mは軽く超える大きさを持つ生き物だ。俺たちにとっての天敵だ。


「どうします親方」

「どうするも何も、一回ここを封鎖して様子見。その後に調査をする必要がある。だからここはいったん引き返すぞ。お前ら、聞いてたな?今は引き返して、また今度くるぞ」

『うっす!』

「とりあえずここは、一旦放棄するぞ。穴を塞いでから出るぞ」


 採掘者の皆は手際よく空洞につながる穴を埋めていった。


「しかし、空洞なんて珍しいもの。こんなとこにあったんですね」

「珍しくてもないわけじゃないからな。いつかは見つかるものさ」

「そういうモンですか」


 親方と一人の採掘者が話をしている合間にも穴は埋まっていく。


「よし、今すぐここを片付けて離れるぞ」


 穴にいた採掘者は皆いっせいに出口へと帰っていった。

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