第25話 あらすじを最後まで書き、起承転結を考える。

「マグタイトサーガ なんか異世界に召喚されたけどシリアス路線だった」


 タイトルが決まったら、それと前後してあらすじも決めていきます。

 たとえば

「精霊によって異世界に召喚された少年コータが、そのへんの傭兵の死体を漁って武装し(このとき伝説の剣を引き抜く)、没落貴族の娘フラーウムを助ける。

するとなぜか懐かれて、傭兵ヴォルフガングと共に迷宮探索にいく。その冒険でファイアドレイクを倒し、勇者の名を得る。

しかしファイアドレイクは魔王軍の尖兵に過ぎなかった。デーモンやヴァンパイア、人狼など、闇の勢力が台頭する。勇者の名を得た少年は、それを力と知恵でねじ伏せる。

英雄となったコータは精霊の力によって元の世界に戻るが、そのとき一緒にフラーウムが付いてきてしまい、開かれた門は閉じるどころかコータの部屋の壁に定着してしまうのであった(オチ)」とか。


 ここで重要なのは、あらすじの最後、エンディングまで書くことです。エンディングまで書くことで、全体の見通しが立ちます。全体の見通しが立って初めて、小説の完結が見えてきます。重要なのは作品を完結させることです。そのために、まず必ず、あらすじを完結させる必要があります。


 起承転結。序破急。いろいろ言われていますが、要するにあらすじのことです。あらすじを分解すると、起承転結になっているというだけで、起承転結を先に考える必要はありません。例を挙げましょう。


「ワシントンが桜の樹を切ったことを正直に認めたとき、父親はそれをすぐ許した。なぜならまだワシントンがチェーンソーを持っていたからだ。エンジンは躍動していた。金槌を持つと全てが釘に見えるように、若きワシントンには全てが樹に見えていた。かくして惨劇は幕を開けた。」


 これを分解すると、


 起 ワシントンが桜の樹を切ったことを正直に認めたとき、父親はそれをすぐ許した。

 承 なぜならまだワシントンがチェーンソーを持っていたからだ。

 転 エンジンは躍動していた。金槌を持つと全てが釘に見えるように、若きワシントンには全てが樹に見えていた。

 結 かくして惨劇は幕を開けた。


 となります。残念ながら私にはこの作品(殺人鬼ジョージ・ワシントン)を書き上げられる自信がありませんが、書こうと思えば書けるはずです。要するにきちんとしたあらすじがあれば、作品は書けるのです。もし、これでは作品にならないと思うのであれば、それはあらすじが悪いということに他なりません。あらすじを何度でも書き直しましょう。そして、これならば書けるという段階にまで落とし込みましょう。


 最初に挙げたあらすじの場合、分解するとこんな感じでしょうか。承の後半から転にかけて物語が転がり始めるので、うまく書ききるにはもう少し詳しいあらすじが、プロットが必要でしょう。


 起 精霊によって異世界に召喚された少年コータが、そのへんの傭兵の死体を漁って武装し(このとき伝説の剣を引き抜く)、没落貴族の娘フラーウムを助ける。

 承 するとなぜか懐かれて、傭兵ヴォルフガングと共に迷宮探索にいく。その冒険でファイアドレイクを倒し、勇者の名を得る。

 転 しかしファイアドレイクは魔王軍の尖兵に過ぎなかった。デーモンやヴァンパイア、人狼など、闇の勢力が台頭する。勇者の名を得た少年は、それを力と知恵でねじ伏せる。

 結 英雄となったコータは精霊の力によって元の世界に戻るが、そのとき一緒にフラーウムが付いてきてしまい、開かれた門は閉じるどころかコータの部屋の壁に定着してしまうのであった(オチ)


 次はプロットの作成です。

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