第7話 ・人の強さとは?
《⁑親父様!親父様!……息はある!》
脈をとり呼吸を確認する八郎。しかしその背後から黒玉が現れた。
《●下等な人間よ…下等な共鳴者よ!お前の親父は助からんぞ。闇猫の爪を下等な人間が喰らえば混沌の夢の中で死を待つのみ。可哀想にな…共鳴者よ…フハハハハハハ》
黒玉は蚊に話しかけるように見下した声を出した。そして…
《●それとな…共鳴者!お前の大切な。しらたま…早く手当をしないと死ぬぞ。随分とお前の事を大切に思っているようだな。…残念だ。》
八郎は黒玉を睨みつけながら震える手足に力を入れて耐えていた。
《⁑黒玉……っ!。お前!俺が白玉を助けに行ったら親父様を殺すのだろ!!》
すると黒玉は首を横に振った。
《●馬鹿な事を…絶対に助からない下等な人間にトドメを刺すか?我も誇り高き猫神だ…せめて敵の猫神であれ共鳴者が近くにいるなら行かせてやりたいのだよ…。それに我がその気ならお前などこの場で簡単に殺せるのだぞ!さあ白玉の元へ急ぎなさい。》
八郎は考えた。確かに黒玉の言う通りだと思った。黒玉からすれば俺なんか蚊みたいな弱い生き物なのだ。ここで戦えば俺も父上様も助からないし白玉の所にも行けないと。
《⁑分かった!、ただしお前が先に行かないと駄目だ。信用できない!》
黒玉は一瞬表情がくもったが、しばらくすると頷き闇に溶け込んで消えた。
《⁑白玉!……白玉!ごめん…俺馬鹿だよな!本当に…ごめん。》
八郎は国正に深くお辞儀をして涙をぬぐった。
そして外に勢いよく飛び出した。左右を確認すると月のある方に月明かりに照らされた黒玉が座っているのが見えた。その隣には何か物体が見える。八郎は黒玉に向かい走り出した。
《●冬猫よ!下等な共鳴者が自分から死にに来たぞ!フハハハハハハ!だからまだ死ぬなよ冬猫よ!お前が人生最後に見る光景はさぞ美しいぞ!ククク》
《⌘は…ち…く、る…な。…はち……。はち……ゴホゴホ…は…ち…》
白玉は血を吐きながらも霞んだ声を振り絞った。声を出せば死が近づく事を知りながらも白玉は何度も何度も何度も声を出した。
しかし八郎には届かなかった。
《⁑白玉!しらたまー!!》
八郎は黒玉の元に辿り着いた。そして…真っ赤に染まって苦しむ白玉を見つけた。黒玉は席を譲るように八郎の背後に移動した。
《●さあ…共鳴者よ近くに寄ってやりなさい。》《●暗雲の封じ…《あんうんのふうじ》》
白玉は突然言葉を出せなくなってしまう。八郎の後ろの黒玉が目を細めて笑顔になった。
《⌘う……うぅ…うぅ!》
八郎は白玉を抱きかかえて謝った。涙が雪解けのツララの様に滴り落ちた。
《⁑白玉…俺のせいで…こんな事に!…もう大丈夫だから…俺。お前とずっと一緒だかんな!》
黒玉が八郎の背後で尻尾を伸ばし波動が刀に変形していく。
《⌘うぅ…!!》
そして黒玉の冷酷な刀が振り下ろされた。
《●さようなら。下等な共鳴者よ!!》
《ギーン!!》
物凄い音と波動が飛び散る!
《あ〜よく寝たなー!!……あ。?そこの黒猫ちゃんね〜おじさんさぁ…寝起き非常に悪いから!25年ぶりに本気で…大暴れしちゃうけど大丈夫?…うちの品ある白玉ちゃんにキタネー野良猫が付きまとうなんて事…おじさん許せないから!》
《⁑親父様!?》
《●なんだ!!?この桁違いの剣気は!!こいつ人間か?!》
《⌘……。!!》
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