第6話 ・死の闘!縺れ合う白黒
白玉の体が、まるで太陽に照らされた雪の様に輝きはじめ、尻尾が二つに裂けていく。瞳は美しく青く輝きを放っている。そして白玉の体が以前より少し大きくなった気が八郎はしていた。その輝きで部屋は明るくなり国正の倒れている姿も照らし出された
《⁑親父様!》
心の中では沢山の叫びが溢れかえっているが、今の自分ではあまりに弱く足手まといになると判断した。唯々、言葉や気持ちを押さえ込んだ。
《⌘ゆくぞよ》
白玉が一度足を曲げた途端に白玉の残像のみがそこには残った。電光石火の素早さを魅せて黒玉に飛びついた!
《●速ぃ……クっ》
まさに光の速さだと言えるくらい速い。白玉と黒玉は部屋の壁を突き破り、家財を破壊しながらもみくしゃになっていく。
《●白玉!何故、我の速さに……ック!》
《⌘そもそもの勘違いぞよ!闇は広いが速くはない!妾が輝けば闇は狭くなる!》
白玉と黒玉は戦いながら八郎がいる部屋より外に出た。《ガシャガシャ!ズガガ》もの凄い音が鳴り響く。
八郎は父、国正が心配でならなかった。そして…掟を破ってしまう。
《⁑親父様!!大丈夫ですか!!》
八郎にとって家族は父、国正ただ一人しかいなかった。もうこれ以上家族を失いたく無かったのだ。又、不安や我慢の限界を超えた八郎は声を大きくして叫んでいた。
《⁑今助けますから!》
黒玉と白玉が縺れ合う!氷の爪と闇の爪がぶつかり合い辺りに波動が拡散している!白と黒の波動に照らされた黒玉の顔が突然笑顔に変わった。
《●ん?白玉よ!お前の共鳴者が、ちと阿保なのは本当のようだな!フハハハハハハ》
《⌘まさか!八郎!!》
白玉は全ての集中力を黒玉に向けていたが八郎の発見とともに視線を料理場に向けてしまう。
《●さようなら…美しい女神の冬猫……さん!
黒玉の尻尾が鋭利に尖り先っぽから闇の波動が漆黒の一本矢となる。そして…美しい白玉の心臓を狙って放たれた。
《⌘八郎!!逃げ……って…》
白玉の美しい真っ白な毛は真っ赤に染まり血飛沫が月明かりに照らされながら舞い散った。
《⌘八…郎…!…くろたま…!妾が死ねば共鳴契約は終わるぞよ…おねが…い…。ゴホゴホ…お願いぞよ…八郎を…殺さ無いで!…お願いじゃ!》
白玉は吐血しながら八郎を殺さ無いでほしいと黒玉に話しかける。その体には大きな穴が開いて湧き水のように血が湧いて出ている。
《●ああ…分かったよ。白玉!最後のお前の願い……ククク…フハハハハハハ。お前が朽ち果てる前にお前の前で下等な共鳴者の首をはねてやるよ!!我の切れない尻尾でな!フハハハハハハ》
その言葉を吐き捨てるように黒玉は闇に吸い込まれていく。
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