世記らら

@karasu-syougeki

夢の実話《読みにくいです》

《この世界は確かに存在しています。生きている間はね…。この世界は存在しません。死んでいる間はね…。この世界は、あの世界とつながっているよね。だからさ、この世界が無くなるとアレらの世界は存在しないんだよね。ね!ね?そうでしょ?》弾む様な楽観的な声で漆黒の猫が私に話しかける。漆黒の猫は銀河系模様の瞳を瞬かせながら私の返事を待っている。私は夜の空を切り取って猫形にコネタ粘土模型のような漆黒の猫に答えた。《お前さ、何回教えれば分かるの?死んでいる間はね?じゃない。俺が死ねばこの世界は終わるんだよ。分かる?》皮肉めいた声で私は漆黒の猫に唾を吐くように返した。当然の事だと思っていたのだ、何故なら、私の頭の中に存在する世界は私が死ねば終わるから……だと。漆黒の猫は負に落ちない様子である。夜の翼を広げて銀河系の瞳をグルリと今度は反対にクルリと回して得体の知れないサイズ感を伸縮させている。分かりにくい例えだが地球規模に例えて言えば悪天候である。漆黒の猫は夜の翼を私の背後に伸ばして銀河系に私を閉じ込めた。漆黒の闇に瞳しかみえない形になり私と瞳を合わせながら話した。《この話し合いは24年間も話しているよね?今更ながら無知な貴方に教えてあげるね…。残念ながら貴方が死んでも私達は消えないんだよね。》一瞬、背筋が凍りつく感覚になりながら私は憮然とした態度で言い返す。《分かって無いのは貴方ですよ。浅い意味で言ったんじゃない!深い意味で貴方達は消失するんだよ!だって様々な形や様々な性格にされて存在しても…いや、嫌、、透明な餌の無い空間で生きたいのかい?》漆黒の猫は満足気に笑いながら目を閉じた。それはつまり夜が明けた事でもある。同時に私の目覚めでもある。つまり私には睡眠がないとも言える。こちらの朝の7:00に目が覚めて夜の0時前後に瞳を閉じる。そして漆黒の猫は私を見つめるために目を覚ます。漆黒の猫が目を覚ます空間には時計は無い。むしろ時計があてにならないのである一番正確なのは感覚であるのだから。私はkarasuSyougeki《仮名》と名付けられてから33年間奇跡的に生存してこられた男である。性格は楽観的、臆病、自信家、偏屈、優柔不断で決定力があるとでも言っておこう。体型は太っちょの筋肉質である。顔は、目が小さな一重で鼻は団子ッパナ、口はタラコまではいかないボテっとした唇をしている。私は絶対と言う言い回し方は好きでは無いが《絶対にイケメンでは無いし性格も社会人として不適合な性格をしている。》むしろ《家庭にも似合わ無い自由人でもある》友達は旧姓、望月トシツグ、現在は荒川トシツグという数少ない親友である。本音では望月トシツグと言う名前が気に入っているのだが……なんとも言え無い気持ちである。小学校からの付き合いでアダ名は《もーちゃん》望月の《も》だからそんなアダ名がついたのだ。名前がカタカナなのは未だに漢字がど忘れするためである。携帯やパソコンでは変換ができ無いので現在にいたるまで名前の漢字は曖昧性があるのだ。突然、漆黒の猫が脳裏を汚す《また自暴自棄になっているのかい?》オキマリのツッコミである《五月蝿い黙れ!》漆黒の猫とはココ数年仲が悪い…昔は漆黒の猫をあんなに愛していたのに《ウシャ…》嫌、誤解し無いでほしい。私は同性愛者では無い。これもまた絶対である。なぜ絶対といえるのか?それは私が小学校の時に斎藤ショウと言う友達がいた、彼と学校帰りに一緒に下校をしていると竹林があった。私の家から徒歩3分あまりの場所である。《ねえねえ竹の子取ろうよ!》と斎藤ショウが私を誘う《ウンイイよ》てな具合に竹林で遊ぶことになったのだ。しばらく竹の子を取って遊んでいると私はションベンがしたくなり立ちションをした。すると斎藤ショウが私を見て言った《ねえねえチンコくっつけようよ》私は何かのジョークだと思い《イイよ》と返事をしてしまったのである。斎藤ショウは本当に近づいてくる。フルチンで……私は人生で初めての鳥肌がたち竹林から家まで全力で走った…走りながら何度も後ろを振り向いて……50メートル離れたくらいだろうか?竹林から斎藤ショウが飛び出してくる姿が一瞬目に映る!私は恐ろしくて声を出していた。いや、むしろ声にならない奇声だったのかもしれない。誰もいない家の中に入った私は鍵を閉めた。自分の心臓が意識しなくても鼓動を数えられる気がした。私は安堵する為に冷蔵庫に向かった。何も入っていない冷蔵庫を開ける習慣があったのかもしれない。《ピンポーン!》……《ピンポーン!ピンポーン!》私の心臓は止まった。いや……心臓が静けさを即座に作り上げたのだ…《これは危険だと…出るなと》しかし…その頃の私は小学校2年生であったためか?《ガチャ》っと開けたのだ…高台にたつ一軒家のため門扉までは階段で降りないとならない作りの家だった。扉の外には斎藤ショウが泣きながら立っていた……《チンコくっつけようよって言ったじゃないー!!》その大声を聞いた直後に私の心の中で何かが壊れたのが分かった。私は無言で扉を閉めた。鍵もした。チェーンまでした。その日以来、同性と体が当たるだけでも拒絶感がでてしまうのであった。トラウマというのかな?話が脱線しましたね。漆黒の猫は別名・ウシャという女性なのだ銀河系模様の瞳をした白に近い白銀色の髪で髪の艶は金緑色コンリョクイロの輝きを放っている。世界中の美女を集めても…嫌、過去も未来もこの世界に存在した記録がない絶世の美女である。世界中の男が息を飲む存在だと勝手ながら思ってしまうほどに……美しい。美しいに決まっているのだ!何故ならば私の初恋の相手だからだ。彼女との出会いは幼稚園か小学校一年生か?どちらかの春休みである。昼寝をしている時に見た夢に彼女は現れた。《ん?》リーンリーン……リーン。音が鳴る。似ている音はトライアングルの音みたいだ。視界は真っ暗だ。何も見えない。生暖かい……?私は必死で目を擦り辺りを見渡す。不思議な事に、これが夢だとすぐに理解していた。リーンリーン……リーン。美しく心地よい風が音を運んでくるようだった。一瞬透明なビニール性の物体が目に止まった気がした。暗闇に光るビニール性の……カーテン?私は音の流れに逆らいながら歩き出した。ふと目の前に垂れ下がるビニール性のカーテンを触れた。《えっ?》リーンと音を立てて透明なカーテンが光をまとう。真っ暗な部屋に次々と透明なカーテンが光を放ちはじめた。まるでドミノ倒しのように光の秒差が生まれ光のカーテンが規則正しく輝いた。それはまるで合わせ鏡の世界に呑み込まれたと錯覚するほどである。床は普通の四角い水色のタイルだ。突然の出来事にもかかわらず私は音の流れに逆らいながらまた歩き始めた。さっきまで暗かった空間が今ではコンビニ顔負けの明るさである。→しばらく歩くと違和感を感じる。ほぼ同時に歩き止まると違和感を感じるのだ。《さっきと違う…》それは。音のする方に歩きだした時は透明なビニール板が背後に流れていたのに、歩くにつれて景色の流れがゆるやかとなり今となっては歩くと背景が止まり、歩き止まると背景が…いや空間内が浮き上がる感覚だ。飛行機の室内で一瞬無重力になる様な感じである。光を帯びたビニール板が空間のバグの様に光を歪に点滅させている。しかも点滅と同時にブラウン管のノイズバグのようにカスれた映像のようになる。実に嫌な感じである《これ以上進むなと言っているの?》私は小さな頃から根拠の無い《自信》が湧き上がる変な性格の持ち主だ。だからあんな事を、あんな発言をしたのだろう。《だけど居心地悪いからさ…僕は進む事にするよ》私は夢だと分かっているこの世界を大きな額縁にかかるシーツを剥ぎ取る様に空間の全てを一つの布だと信じて小さな手で掴んだ。すると空間は多少ざわつき嫌がったが直後に力を失い剥がれ落ちた。一瞬、空間の準備が間に合わなかったためか?空間すら無い溝が見えてしまっていて私は面白く感じで大笑いした。誰とも分からない形の無い存在に対して可愛気を覚えたのだ。新たな空間が視覚に飛び込んで来た。分かりやすく言えば急ぎ焦った列車の運転手が連結作業の時に事故をおこした。その連結開口部に挟まれた瞬間に少しフィードバックして迫って来る列車を見てしまった様な感じである。我ながら分かりにくい例えだと少し現実世界で反省をする。……《えっ。お風呂?》先程まで見ていたビニール板の正体が明らかになった。よく工場内で見かけるビニールカーテンである。それが合わせ鏡の世界にお風呂を無数に誕生させて無数の仕切り役になっていたのだ。浴槽は猫足のバスタブである。幼少期にこんなバスタブが夢に出てくるのは何故なのかは未だに分から無いがそれはソレである。私はトライアングルの音も消えて無音になった世界を私の小さな背中を追うように見ながら歩いた。浴槽には美しい女性が立ち上がり全裸で踊っている。皆んな外国人だ。一つの浴槽に2人の美女が楽しそうに踊る姿を横目で見ながら奥に歩いた。合わせ鏡の世界なのに美女達は皆違う顔だった。彼女達は私を浴槽に入れようと手招いている。おそらく浴槽に入ってしまえば私は夢から覚めてしまうのだろう。夢の国は見えて良い視野角がきっちり決まっているのだと私は思った。つまり現実世界の目覚めに間に合わせるルールや掟の様なものを感じたのだ。小さな私は……言いかえれば、夢の国のルールを無視した?それとも、たまたま出来てしまった侵入者、いわば犯罪者なのだと。美女達はさしずめ私を夢の世界から排出するためにツクラレタ偽りの形なのだと。子供が美女に興奮はしないが胸の大きさから見て母親がいない私によく効く特攻材料だとこの空間は判断したのだと勝手に思った。合わせ鏡の世界に果てはあるのだろうか?まるで宇宙の果てと重なる様にも思える。しかし合わせ鏡の世界は鏡と鏡の間に私が立って覗き込む事で成立する現象だ。そんなハザマみたいな場所が宇宙にもあるのだろうか?きっとこれからも答えが出ないのだろう。《リューン》そんな風に聞こえたのかもしれない?いや正直、現在では思い出せないのだろう。トライアングルの音の中に溶け込む様な甘いホワイトリカーを思わせる声。《あの時、彼女は何と言ったのかな…》なんとなく察しはつくが今は伏せておきたい。突然飛び込んで来た新しい空間が青いタイルを境界線に広がっていた。今でも鮮明に覚えている。一度しか立ち入れなかった世界。先程まで歩き続けて狭く感じていた合わせ鏡の世界。そして今小さい子供の目に見えるのは足を踏み入れる事をためらう程に美しく優しい草原だった。とてつもなく大きな草原にポカンと地盤が12mほど沈下して円形に空いた穴が長い年月をかけて生死を繰り返し出来た草原の様だ。小さい子供の膝までの高さしか育たない品種ばかりである。どんな花々が咲いていたのかは大きな私は覚えていない。《うわぁー綺麗だなー》私は足を踏み入れた。前方に大木が一本空を貫いていた。《大きな木》大木に吸い寄せられる様に私は近ずいた。本当に大きな木だったせいか近寄るまでに数分歩いた様にも思える。《……》その直後少年は現在に至るまで忘れられない衝撃を感じる事になる。あの時、あの一瞬…風さえ吹くのをためらうだろう光でさえ輝きの微調整を悩むだろう全ての万物さえ……。そこには金緑色の輝きをまとう絶世の美女が雷で折れたであろう大木の一部に座っていたのだ。《あのぉ…》《リーン》音が鳴ると同時に私の視界から一瞬にして彼女が消えた。と。思えばタンポポの綿毛で作られたようなワンピースをなびかせてフワっと視界に現れる。《リーン》彼女の顔は驚き1割、残りは心を奪われる笑顔でこちらを見ている。美しいの一言である。おとぎ話に登場する妖精をイメージすると早いが妖精より気品があり高貴で気高い。妖精と神と人・万物があわさっているようにも感じてしまう。人間の能力で認識出来る限界を超越した美しさなのだとも言える。彼女は私の小さな手をとり折れた大木まで連れて行った。私は彼女の横に座りしばし石像と化した。只々彼女の左顔を見つめながら。声は必要なかった。だから会話などは一切なかった。しかしお互いに会話するよりも、深いコミュニケーションがとれた気がして満足感でいっぱいだったのだ。辺りが漆黒の闇に変わっていく。草原の花々が光り輝きはじめた。彼女の背中に光が集まり妖精の羽が彼女についた。しかし今の私は驚かないのである。彼女との出会いで感じた衝撃を超えるものは無いのだと思った。もう何が起きても驚かないと思えた。《リーン》音が鳴る、音に声は溶け込んでいなかった。私は彼女を見つめた、彼女はその前から私を見つめていたようだった。彼女は空を指差し……《リーン》空には幾千の星が輝いている。彼女も幾千の星空を見上げた。私が美しい星空よりも彼女が見たいと思い彼女に視線をやると、すでに彼女は私を見つめていた。《……》彼女の瞳は《銀河系模様》になり私は銀河系の中心に身体が解き放たれた。彼女の瞳が漆黒の闇に現れた。《帰るよ。ありがとう。また会えるかな?》彼女の目が少し笑った様に見えた。そして彼女の瞳はゆっくりと優しく閉じるのであった。そして小さな私は瞳をひらく。

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