薄紅色の水と安堵

手紙を開け 取り出そうとした

その薄い手紙で 指先を切った


小さな痛みより その手紙を汚してはいけないと

慌てて自分の指を 細い水で洗い流す


それは水に 誘われるように

透明の中に 紅い線を描いて流れ出す


シンクに落ち 入り混じってしまった薄紅色の水

それに何かを思う自分が そこには居た


それはいけない事 なのだろうか?

痛みと色に小さな安堵感を得るのは おかしい事なのだろうか?


誰かそれに答えをくれるのだろうか?


それは一瞬かそれとももう少し長い時間だったか

ただ頭はそれを考え 心は小さく笑った

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