蝸牛(カタツムリ)

仕事帰り電車に揺られて

律儀に守る乗車マナー



どうでもいい音小さくしたまま


見た目は変わらないつもの駅


面倒臭そうに電車からはみ出す

流れに沿って這い出るように


21:58を表示する携帯電話確かめ

21:55思い浮かべる


階段上がって見てみりゃあ

荒削りの弦の音


『自慢して乗せているのはあんたの夢かい?』



『はたまた私の心情かい?』


馬鹿にしたような薄笑いを浮かべているが

足は自然に遅くなり


私はいつの間にやら蝸牛



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