第24話 ルンルン日和編(2)

映画が終わり、二人は上の階にあるレストランに行き、昼食をとることにした。



「観に来た人みんな、まんまとやられたって感じじゃない?」



「ホント、こういう結末ってありそうでなかなか無いよな。クライマックスまで犯人が分からないパターンのストーリーで、最初から最後までずっと怪しかったヤツが案の定犯人だったなんてさ。裏の裏の裏を突かれたって感じで度肝を抜かれたよ」



二人は食事しながら映画の感想を語り合った。



「ジュンペイ君、この後どうしようか?」



この時、ジュンペイは初めてアヤから苗字みょうじではなく名前で呼ばれたことに気が付いた。彼の心は動揺したが、気付かない振りをした。



「今は……二時半か」



ジュンペイは腕時計に目をやり時間を確認した。すると、ふとユキの顔が脳裏のうりをよぎった。



「……少し早いけど、今日は帰ろうか」



「そうだね、遅くなったら奥さん心配するよね」



アヤの笑顔の中の目は寂しそうである。



ジュンペイはそんな彼女の様子を察すると、切なさが湧いてきた。



「……昨日、ヤナセさんとスポーツセンターに行ってきたんだけどさ、ここから近いところにあるんだよね。よかったらさ、運動がてらにどう?」



「ホントに、うん、行きたい」



アヤはあどけない少女のような笑顔で、はしゃいだ口調で答えた。



二人は食事を終えて少し休憩した後、スポーツセンターへと足を運んだ。そして、屋外にある施設でテニスをし、爽やかな汗を流した。



ジュンペイとアヤの間には、高校生の頃に戻ったかのような時が流れていた。



「ジュンペイ君、今日はありがとう。楽しかったな」



アヤは満面の笑顔で言った。



「おう! オレのほうが楽しかったよ。ありがとう」



ジュンペイは照れくさそうに答えた。



「駅まで送っていくよ」



「ありがとう。でも、せっかくだから買い物してから帰る」



「そっか、じゃあ、気をつけてな」



「うん」



そう言うと、二人は別々の方角へと歩いていった。



「ジュンペイく~ん!?」



後ろからアヤの声が聞こえジュンペイが振り返ると、少し離れたところで、彼女が彼のほうを向いて立ち止まっている。



「どうしたぁ~!?」



ジュンペイは叫ぶようにして問いかけた。



「また遊びに行きたいなぁ~!?」



アヤも大声で言った。笑顔ではなく、真顔で切実に願うような表情をしている。



「おう! また遊びに行こうぜぇ!」



ジュンペイが答えると、アヤはいつもの笑顔に戻った。



二人は手を振りあうと、背を向けて歩き出した。



帰り道、ジュンペイは自分の魂に、ユキ意外の存在が近づき、大きくなってきていることを無意識に感じとっていた。彼は、とたんに憂鬱ゆううつな気持ちに包まれた。






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