第17話実地訓練初日
その日の夜。リック達と別れたヒルダは1人で宿に宿泊していたFクラスの実地訓練ということのため参加出来ないしとある任務でこの宿に泊まっているのだが、最悪なことに隣の声が筒抜けなのだ。
隣の宿泊客は冒険者と村娘が仲良くおしゃべりしその流れで盛んになっていた。ベットの軋む音や村娘の可愛らしくも男を悦ばせるような鳴き声。
リックという温もりと離れてしまっているヒルダにとって苦痛でしかない。自分も村娘のようにリックに抱かれたい。そう考えていると手が勝手に股に動いていき自分を慰み始める。彼に捧げた体は今ではすっかり敏感な体になっており少し触れただけでもヒルダは興奮してしまう。
「…リック…寂しいよぉ」
自分の声とは思えないほど切なさを含む声…心の中の叫びが溢れてきてしまっていた。まだ一日もたっていないというのに離れてしまっただけでここまで心に穴があいたようになってしまうなんて昔のヒルダなら考えられなかった。
「リック…リック…」
「その様子なら俺はいらないみたいだな」
ヒルダはその愛すべき人の声を聞いた瞬間に自分の耽っていた行為を中断し驚いたように壁際に寄った。
ヒルダの目の前にいるのは間違いなく今日出発して今頃森の中にいるリック本人であった。嬉しい気持ちや自分の慰みを見られたことに対しての羞恥心が渦巻きどうしていいのかわからないヒルダはリックの手によって簡単に導かれていた。
優しく包み込んでくれる大好きな男の匂い。凛々しい顔つきが自分だけに見せてくれる愛らしいものを見るような穏やかな瞳や甘い言葉を囁きつつ自分の弱く敏感な部分を的確に探り当てて心も体も捕まえては離さない。
「リック…寂しかった」
「悪かったよ…まさかヒルダがこんなに溺愛しているとは思わなかったからな安心しろたっぷり可愛がってやる」
ギシリというベットの音がやけに大きく聞こえそしてヒルダは雌になる。
隣の冒険者と村娘のカップルも驚くような激しい音と女性の悦んだ声が響き、自分たちもさらに深まっていく。
30分前…俺はリンとアルシェが仲良く一緒のベッドで寝ていることを確認するとログハウスから出る。
闇に紛れるようにしてシリラが俺の様子を見ているようだったため聞こえるような声でこう言った
「リンとアルシェ、セーラをよろしくな」
シリラがナターシャの部下ということは俺がこれからどこに行くのか分かっているだろうし、ヒルダとの関係も知っているだろう。
安心というかもはや絶対的にこの辺りの魔物はここに寄り付かないことは分かっているが盗賊など念のためにシリラに頼んでおいた。
俺はマップの青い点を確認するとその場の様子を覗き見する。マップの機能として赤い点は敵、黄色い点は敵対はしてないが怪しんでるもの。緑の点は敵対しておらず怪しんでもない一般人。
そして青い点はお気に入り…つまり現在確認されている中でも彼女達の位置はほぼ把握している。
そして最大の特徴は覗き見だ…衛星からそれを監視するように建物の中の様子まで把握出来る。そしてリアルタイムで映像が俺の視界に映し出される事になっておりヒルダが自慰に耽っている様子を眺めていた。
本当の使い方はペイントされた敵などを追跡するためのものでありこういった使い方はエルダーワールドでは出来なかった。人権とかそういったもので…。
まあこの世界にはないからこうやってやることも出来るのだが…ヒルダが俺の名前を呼びながら切なそうに自慰をしている様子を観察するだけでは正直もったいない。いや、もう我慢ならない。
俺はそう考え転移した。すべての隠密をフルに使用しヒルダの自慰を目の前で観察していたわけだ。
結局その夜は燃え上がったヒルダとの一夜がとんでもないほど心地よく朝になるまでやってしまった。
「リンちゃんたちの所に戻ってあげて。私はもう大丈夫よ…これから仕事もしないといけないし…ね?」
「ああ、分かったよ…まあヒルダの事だから大丈夫だと思うが頑張れよ」
笑顔で頷くヒルダを見て、俺はリンたちの場所に戻った。さすがの長距離転移かつ寝ることもなくヒルダに盛っていたため疲れが出たものの支障はない。どちらかというと動きやすくなっている気がする。
ログハウスの中ではまだ眠っているリン達以外ではシリラが仮眠をとっていた。まあ深夜の監視ってのは案外疲れるし無理もない。魔物すら寄ってこないこの場所で監視とか滅茶苦茶時間が長く感じられ、寝落ちしてしまうのも無理はない。
今日から実地訓練がスタートという事になり、森の中にある様々なフラッグがありそれを回収するのが目的だ。そのフラッグの位置は流石に把握できないため基本的には魔物を倒したりしながらの散策で問題ない。目標とかも決まっていないし取らなくても問題ないものの獲得フラッグ数により特典がもらえる。
「…セーラかおはようさん」
「あ…おはようございますリックさん」
セーラは以外にも朝は速いようだな。幸いヒルダとの行為で身体がベチャベチャになっていたため、朝風呂したため風呂は温まってる
「風呂温まってるから入っていいぞ」
「朝にお風呂ですか。凄い贅沢な気分です」
まあ、確かに水を大量に使うし湯を沸かすのにも時間がかかるが俺の魔力にかかれば容易いことだ。
「入ってる間に朝食用意してやるから楽しみにしてな」
そこまで手間をかけた料理は作れないがお茶漬けとヨーグルト、きんぴらごぼうでも用意しておけばいいだろう。お茶漬けといってもあの乾燥させる製法が分からないため無理やり梅干しや海苔、ワサビなどを乾燥させた。魔法さまさまである。
パラパラになったお茶漬けの元が完成したところできんぴらごぼうを作っていく。その美味しそうな匂いにつられてリンとアルシェ達が起きてくる。大きな欠伸をして尻尾をピーンと伸ばしているリンにまだ完全に覚醒していないため瞳が塞がっているアルシェがふらふらしながらお風呂場に向かっていく。
「うにゅう」
簡単に作ったお茶漬けときんぴらごぼうはとても好評でリンはご飯3杯、アルシェは2杯、セーラは5杯おかわりするほど美味しそうに食べてくれたため作った俺としても結構嬉しかった。シリラは彼女達が起きてくる前にこっそりと俺の寝室のベッドで寝かせているため起きた時に驚くだろうな。
他の人たちが一生懸命フラッグや食料を調達している間俺らのパーティーは考えられないくらいのんびりしていた。既に日が完全に上りおよそ10時くらいにも関わらず俺は小川で釣りをリンとアルシェも俺の見よう見まねで釣竿を作って糸を垂らしていた。
セーラはまさかこんなにヘンテコなパーティーに入ってしまって驚きと同時にこのほのぼのとした空気や環境がハーフエルフの村に似ていて自然と身体がリラックスしている。
その主な原因はドリアードによるもので周囲の環境が大幅に神聖な空間になっているため魔物の生まれることがないし動物達も自然と集まってくる。そのため食料にも困らないしその動物達も獰猛さを忘れるような環境でゆったりとしているほどである。
「おお!きたぜ…」
ピクンと竿が揺れ魚が食いつき始めた。ちょん、ちょんと怪しんだようにも見える魚だが基本的に釣られるということを知らないため餌を丸々口にした。
腕力にものをいわせた華麗な一本釣りであがったのは多顔の魚というめちゃくちゃ気持ち悪い奴だったがアルシェの話によると普通に食べられて美味しいらしい。
「うわぁあ…六つですね。ウロボロスフィッシュの中でも3番目に美味しいとされてる時期のものですね」
ウロボロスフィッシュ。最大14の頭にまで分裂する魚でそれぞれが別の動きをするため動きが鈍いが頭を一つでもちぎれてしまうと途端に味が落ちるということでなかなか釣りをするにしても取れない魚である。
そして一番美味しいのが頭の数が5つの時でその次が11、そして6の順で美味しさが変わるという。つまり成長もバラバラで運要素が高い魚なのだ。
「うーん…調理の仕方が分からないからなどうしようもないけど…リンはさばけるのか?」
「はい!小さい時にお母さんと一緒に捌いたことがありますから大丈夫です。生のままでも美味しいですけどやっぱり贅沢な塩焼きにして食べるのが一番美味しいですよ」
リンはそういいながら涎を垂らしいていた。猫というだけあって魚が好物なのだろう。尻尾がパタパタと左右に揺れ動き今晩の料理が楽しみで仕方ないようだな。
「…負けない」
アルシェが闘争心をみせ、釣竿を握りしめた。初めての釣りで成果を見せられるか楽しみだな。
「あのー…まさかと思いますがこのまま釣りで今日を終わらせるんですか?」
それもありだけどな…流石にナターシャの授業のいっかんだし何かしらの成果は残していた方がいいかもしれない怒られる。
「いいや?アルシェが釣り終わったらちょっとだけ狩りに行くよ。まあそこまで大変なものではないし2時間もあれば十分だろう」
するとどうだろうかアルシェの竿がピクピクと動きを見せアルシェの無表情な顔が少しにやけたのを確認した。それほどまでに嬉しいものかなと思ったが初めての釣りで魚が釣れた時は確かにあんな感じに喜んだ気がした。
「アルシェ…まだだぞ……」
ピク
「まだだ…」
ピクピク
「……」
ゴクリと誰かが生唾を飲み込んだ
一際大きな竿のしなりと共にアルシェの体がもってかれそうになる
「今だ!」
アルシェが全身が力んで俺より大きな魚が空を舞った
クチサキザケと呼ばれるかなり大きな口をした鮭が姿を現した…その凶悪なまでに大きな口は大人の太い腕が入るような大きさがあり牙がないのが幸いだろう。
「…やった…」
アルシェの満足したような顔がやけに俺の心を掴んでくるが流石にまだ幼すぎる。
いずれ大きくなったら俺にもいい笑顔を見せてくれることを期待したいな。
「おめでとう。大物だな…さてと、みんな用意しておけ…20分後に魔物を狩りに行くぞ」
「「了解」」
何か軍隊みたいだけど好きだよ。そういうの。
ビシッと可愛らしい女の子たちがカッコつける姿は男の凛々しい姿と違い愛らしいものがある…
通常の生徒よりも四時間を遅れて動き始めたリック達に合流を果たしたナターシャすら呆れていた。
「それが面白いところなんだけどね…ふふ…楽しませてくださいリックさん」
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