第20話 富士地下基地1

 タケルは疲れていた。

 精神的にも肉体的にも。

 地球を衛星爆弾から救った勇者、救世主がここにいるはずなのだが、タケルは疲労感以上の報酬を貰った覚えはなかった。ヒーローは孤独だ。



 天岩戸から出て、ヒミコに謝り倒した。どのぐらい謝ったかはタケルの名誉のために伏せておくが、ヒミコが「謝り倒すくらいなら押し倒せよ」みたいな意思を込めた冷たい視線でタケルを見続けるのを止めてくれるくらいには謝った。

 逃げるように、というか、逃げたのだが、電脳空間から現実に復帰すると、リンクを回復したヒミコが「いやーあれはないわー」と、こちらでも責めてきた。

「いや、お前がイヨちゃんに変なこと吹き込むからだろ」

 と返したら、

「そんなこと言ってないわよ。そもそも、電脳空間にリンクしたら私はヒミコなんだから、別々に存在するわけないじゃない」

 と、非の打ち所のない答えが返ってきた。

 確かにそうだ。じゃあ、あんなデマをイヨはどこから拾ってきたんだ?

 巨大掲示板でヲチでもされてるんだろうか? そうだとしてもあのデマは酷い。削除依頼はどこに出せばいいんだ?


 そんなわけで、ヒミコと一緒に居づらいタケルは、基地内のチェックも兼ねて巡察して回った。基地が思いの外広かったため、一周するだけでもいい運動になった。実際に使うエリアはそこまで広くないのだろうけれど。戦車がズラリと並んでいても、動かす人も燃料もない。日本が産油国でない以上、手に入る見込もない。

 ヒミコはスレイプニルの艤装を優先して行っていた。それ以外にもやることは多そうだが、タケルにできる事といえば、荷物を運ぶことくらいだった。

 その晩の食事は、忙しいからか、嫌がらせか、ヒミコの愛情が感じられない、味気ないものだった。出してくれるだけマシか。

 食事の後、入口にカメラを設置する作業を行うと、シャワーを浴びて早いうちから泥のように寝た。


 早く寝たせいか、翌朝は早くに目が覚めた。

 昨日まとめた食べられそうなものの中から、特に調理しなくても良さそうなものと水で軽く朝食を済ませると、身体を鍛えるためにも軽く運動をする。

 明るいうちにと、カモフラージュネットと道具を持ち出して、非常扉と搬入扉を隠蔽する作業を開始した。

 昨日ヒミコが切り払った草木を入口に被せたカモフラージュネットにくっつけていく地道な作業だ。

 一時間ほど作業をして、なんとかいい感じになってきたなと、ちょっと離れて眺めているとヒミコから通信が入った。

「西から大型の熱源体1が5km/hで接近中です。偵察用ドローンを向かわせました。間もなく映像で捉えます」

 タケルの視界の隅にレーダーのような円が半透明に表示され、熱源体とドローンの位置が色の違う光点で示される。すぐにもう一つ画像がホップアップしてドローンの送って来る映像を映し出す。

 その映像をみたタケルは即座に命令する。

「すぐにドローンを戻してくれ。また撃ち落とされちゃかなわない」

 ドローンの映像とレーダーが視界から消去される。

 あと10分くらいか。まだ朝の八時にもなってないぞ。こんな朝早く来ると思っていなかった。さっさと作業の仕上げをしてしまおう。


「おはようタケル」

 アルラハーシアは綺麗に磨かれた革鎧に、昨日は付けていなかったサークレットとイヤリングを付けていた。イヤリングは装飾なのだろうが、サークレットの方は見事な金髪をまとめると同時に、多少は頭部を保護する強度もあるようだ。どれも、丁寧な細工が施されていて、付けている本人も含めて、最高級の美術品のようだった。

 アルラハーシアを一瞥したタケルは手を挙げると応えた。

「おはようアルラ。すまない、すぐ終わらせるからちょっと馬から降りて待っててくれないか」

 そう言って作業に戻る。

 タケルは「馬から降りて」の部分をさりげなく強調するという、矛盾したような話し方をした。そこがタケルにとって大事なところだった。

 馬に乗ったままだと、タケルの視点は丁度アルラハーシアの太股の辺りだ。ミニスカートで馬に乗ったアルラハーシアを直視し続けることが出来るほど、タケルはレベルが高くない。

 アルラハーシアは素直に馬を降りて近付く。

 タケルはホッとして、手早く終わらせると道具をまとめた。

 アルラハーシアからいい匂いがする。香水ではない、花のような自然な香りだ。

「タケル、私昨日は気付かなかったけど、もしかして、あなたの使い魔を射ってしまったのかしら? だとしたらごめんなさい」

 使い魔? ああ、ドローンの事を言っているのだろう。さっき見つけて昨日のことを思い出したのだろう。まだ数はあるからいいが、毎度撃ち落とされても敵わない。

「いいよ。昨日は知らなかったんだし仕方ないさ」

「やっぱりそうだったのね。何だか分からなかったし、オークも近付いていたから、つい」

「いいよ、まだ数はあるから。まさかあの距離で正確に一矢で撃ち落とされるとは思ってなかったから驚いたよ。アルラは弓の名手だね」

「ありがと。弓の腕は街の近衛にだって負けてないわよ」

 そう言って微笑む。とても可愛くて自然な笑みだ。

「じゃあ、中に案内するよ。大荷物だね、持とうか?」

「好意に甘えていいかしら。半分お願いね」

 アルラハーシアは馬に載せてきた荷物を下ろすと半分を担いで、もう半分をタケルに渡した。

「これだけ嵩張ると狭い通路は難しいな。こっちから入るか。ヒミコ、搬入扉を開けてくれ」

 大きな搬入扉が手前にせり出して上に開いていく。

「凄い、ここってただ地形がうねっているだけだと思ってたのに」

 アルラハーシアは巨大で重そうな金属の扉が開いていくのを驚きの目で見つめていた。

 数百年の間に、土を被り草木が繁殖し、このコンクリートで覆われた搬入口は4~5m程度の小さな崖のある地形にしか見えなくなっていた。

 ポッカリと口を開けた扉の中に、荷物を担いだタケルに誘われてアルラハーシアも入る。

 入るとまた自動で扉が閉まっていく。

 中は何もない広い部屋だった。タケルは動かない。扉が閉まり切ると、ガクンと一度部屋が揺れる。

「床が……動いてる?」

 天井がどんどん遠ざかっていっている。

 ここは搬入口のエレベーターだ。だが、知らないアルラハーシアからすれば床が勝手に動くなど、驚異の魔法だ。エレベーターは地下格納庫に着くと止まった。

 そこは、今まで空想と想像を飽くことなく続けてきたアルラハーシアにとってすら、その埒外にある場所だった。

 タケルは先に格納庫に降り立つと、アルラハーシアに手を伸ばし招いた。

「ようこそ、旧世界の施設へ」



 最初に二人が行ったのは厨房だった。

 アルラハーシアが持って来た大量の荷物は大半が食料だった。

 荷物をどうするか聞くと、食料だという。嬉しい贈り物だった。新鮮な食材には飢えていたのだ。しかも、ヒミコも食べると思っているから、その計算で大量に持って来てくれたのだが、タケルだけだと食材を悪くしてしまうので、先に冷蔵庫に保管しに行くことにした。

 自衛隊の施設なので、厨房は広く食堂に併設されている。

 食材を入れている間に、アルラハーシアは鎧を脱いでいた。

 冷蔵庫に食材を入れ終わると、アルラハーシアからの質問タイムだった。

 好奇心と感動で目を輝かせているアルラハーシアにとっては、厨房の使い方を説明していくだけでも楽しい時間だった。

 彼女自身、朝食がまだということなので、タケルは一緒に軽く食べることにした。早朝の食事は軽めだったし運動もした。何より彼女が作って来てくれたという朝食を、無駄にしてはいけないと思ったのだ。エルフ美女が作ってくれた食事なんて、人によっては同量の黄金並の価値があるものだろうから。


 食堂で食事を取ろうと二人で席に着くと、ヒミコが入って来た。

 さすがにナース服では作業の汚れが目立つので、ヒミコは今は作業用のツナギを着ている。

 恐縮したように挨拶するアルラハーシアに軽く挨拶すると、タケルにホルスターごと拳銃を渡してきた。

「念のために持っておいて。試射は終わってるわ。弾も個人なら問題ない位はあるし、後で練習しておいてね。それと、いちいち解除するのも手間だろうからこれを彼女に付けさせてね」

 と、首から下げるパスカードを渡した。

「じゃあ私は作業に戻るわ。ゆっくりしていってね」

 ヒミコはそう言うと去り際に、タケルの皿のモノを全部一口ずつ食べて行った。

「やっぱり、ヒミコの分も用意した方がよかったんじゃ……」

 アルラハーシアがちょっと怯えている。

 だが、彼女にヒミコの分が必要ないと言ったのはタケルだ。責任を持って安心してもらわないといけない。でも本当のこと言うのもなぁ。

 ヒミコは食べる必要はない。今のはタケルの食事の毒味をしていったのだ。だがそれを作った当人に言うのも憚られる。アルラハーシアは拳銃を知らないから武器と思ってない。知らないから自分が信用されてないなんて考えてもいないだろう。ヒミコはアルラを警戒してるから食べたんだよ、なんて言えるわけがない。

 でもなぁ、女性が食べない理由なんてこれしか浮かばないんだが。

「ヒミコは今はダイエットしててね。体重やスタイルが気になるらしい。美味しそうな食事を見せるのは逆効果なんだ」

「そうなの? あんなにスタイルいいのに?」

「いやいや、だからこそだよ。まず人前では食事を取らないからね。さあ食べようか」

 強引に会話を打ち切って食事に入った。


 メニューはパンに焼いた肉、オニオンスープだった。

 簡単だが、朝食としては充分なものだった。肉はいい塩加減だったし、スープはオニオンの甘味が出てしっかり煮込んであった。

 ヒミコの歯型がついたパンと肉を齧る姿を見ながらアルラハーシアは聞いた。

「タケルとヒミコは夫婦なの?」

 むせた。気管に入って地獄を見た。

 吹き出す一歩手前だった。よく我慢したものだ。

 水で無理矢理流し込んで、咳込みながら聞く。

「なんで、そう思った?」

「だって、ヒミコはタケルの事を常に気にかけてるし、愛に溢れてるじゃない。昨日の戦闘の時も会話も行動も息ピッタリだったし、タケルは命懸けでヒミコを庇ってたでしょ。普通の魔術師と護衛って感じじゃないのよね。きっと二人で冒険者とかやってると愛が芽生えたりするのよね」

「…………」

 凄い、なにもかも違いすぎてて訂正する気にもなれない。

 ヒミコが気にかける理由は患者だからだし、息がピッタリなのは電脳リンクのおかげだ。会話がピッタリなのは、ヒミコが学習型なのと、会話プログラムの方が合わせてきているからだろうし、魔術師と護衛ではなく、患者と看護師であって、冒険もまだ始まったばかりなんですが……。

 訂正するにも、本当のことを言っても理解してくれないだろうしな。

「いや、そんなことない。ヒミコは私を危なくて放っておけないから、ついて来てくれてるだけだし、感謝はしてるけど。それに私は魔術師なんかじゃないよ。魔法なんか使えないし」

 アルラハーシアは「なるほど、まだその段階なのね。これは英雄譚的には美味しいタイミングか……」と小さく聴こえないように呟いていたが、キョトンとした顔でタケルを見返した。

「いやいや、昨日あれだけ派手に魔法使ってたじゃない。今更隠さなくてもいいじゃないの。それに、古代文明の遺跡を使いこなせる人が何言ってるの? 入口からここまで魔法だらけじゃない。まさか厨房だけであんなに驚かされるとは思ってなかったわよ」

「あれは全部その、アルラが言う古代文明の遺跡の力で、私の力じゃないんだよ」

 アルラハーシアは少し考えて、その顔にやがて理解の色が浮かぶ。

「ああ、そう言うこと。タケルが言ってるのは魔術師ウィザードじゃなくて錬金術師アルケミストだってことね! ごめんなさい。私、魔法は学校でやった基礎の分しかしてないから、上位の魔術師の分類は気にしてなかったの。許してね」


 ダメだった。全然理解していない。

 ウインクしながら小首を傾げ小さく舌を出している。この世界にもテヘペロが存続していた事は理解した。カワイイから許す。


「いや、許すけど、えっと、そうじゃなくて、これは魔法じゃなくて科学といって、世界の法則と電気を利用した物で」

「タケル、その言葉、基礎魔法の教科書に書いてあった言葉とほとんど同じよ?」

 そうなのか? だが魔法が学べるということは科学と同じということか。似た言葉になるよな。タケルはうーんと唸った。

「私にとっては、タケルが魔法を使ってなくても、それが遺跡の力でも、道具によるものでも、タケルが火球ファイアーボール死光線デスレイでダイアウルフを倒して、私を守ってくれた事実は変わらないわ。私から見れば、あなたは大魔法使いなのよ」

 いいのか? まぁいいか。翻訳の意訳みたいなものだろう。

「大体、冷めてたスープやお肉がアツアツになるなんて魔法じゃない! お皿だってコップだってこんなに軽いし、落としても割れないし、水はすぐ出るし、氷室が厨房の中にあって、食器は勝手に洗ってくれるのに魔法じゃないとか信じられないわよ! こんなに楽だったら、いくらだってお手伝いするわよ。今すぐウチの厨房をこうして欲しいものだわ」

 アルラハーシアは料理をするときの面倒さを思い出して段々興奮していった。火の管理、水を運ぶ辛さ、かかる時間、そういったものが、この厨房にはない!

 彼女は水を飲み干すと、ウォーターサーバーから水を注いだ。ガシャっと氷が適量出ると水が注がれる。それをタケルに見せながら言う。

「これよ、氷が簡単に出てくる。冷たい水は美味しいわね。でも、こんなに簡単に氷を出せるなんて王侯貴族くらいの贅沢なのよ。ただゴハンを食べるだけで驚きの連続でお腹いっぱいよ」

 タケルは彼女の剣幕に気圧されていた。

「じ、じゃあ、ここの見学はまた後日でも……」

「冗談! 今すぐよ! ワクワクが止まらないわ!」

 アルラハーシアはコップの水を飲み干すとテーブルにダンと勢いよく置いた。



 三時間、基地の中を歩き回った。

 一番説明に困って、一番驚かれたのはトイレだった。

 その場で使う必要に駆られたからだが、考えてみれば、何で日本人はこんな説明に手間のかかるテクノロジーを普及させてしまったんだろう。確かに便利だけどさ。

 初めて使ってる女の子に説明しづらいんだよ。パンツ下ろしてるのに入っていくわけにもいかないし。

 使ったら案の定「ヒャゥ!」って悲鳴が聴こえたし。

 出てきたら耳まで真っ赤だった。そりゃ恥ずかしいだろう。


 しかし、初めて女子トイレに入ってしまった……。


 とにかく、アルラハーシアにとって、楽しい時間であったのは間違いないようで、終始目を輝かせて質問を絶やさなかった。 

 タケルは気付いていなかったが、この時既に、アルラハーシアの中では、ある決意が固まっていた。

 アルラは狩人としての心得を反芻していた。

 静かに待ち、警戒させず、急所に放つ。

 静かに待ち、警戒させず、急所に放つ。

 静かに待ち、警戒させず、急所に放つ。 


 食堂に戻ると、アルラハーシアは腕まくりをして言った。

「厨房を使わせて貰うわ。お昼作ってあげる」

「え? いいの?」

「ええ、さっきので使い方はある程度分かったし、あの『デンシレンジ』っていうのは分からないけど、使わなくても出来るし大丈夫よ」

「じゃあお言葉に甘えるとするよ。分からないことがあれば聞いてくれ」


 どうやら下準備は昨日のうちにしてきたらしく、そこまで時間はかからなかった。

 だが、途中から漂い出したこの匂いは……まさか……

 そして、アルラハーシアがタケルの前に出した皿は、食欲をそそる香ばしい匂いを発し、湯気を立ち上らせていた。

「さあ、召し上がれ。大森林ハイエルフ名物のヤキソバよ」

 それは紛れも無い、ヤキソバだった。

 タケルは食べた。食の細いタケルだが、それでもガツガツと食べた。

 濃厚なソースと絡んで肉と野菜と麺が味のハーモニーを奏でている。焼き加減も最高だ。過去に食べたヤキソバとは同じだが、こちらの方が数段美味い。タケルはまだ食べたことはなかったが、これは噂に聞いた富士宮ヤキソバなのでは?

 タケルはあっという間に食べきっていた。

「ごちそうさま! 美味しかった! ありがとうアルラ!」


 ……静かに待つ


 アルラは自分の分を食べてから、嬉しそうに微笑んだ。

「お粗末様。そんなに喜んでくれるなんて嬉しいわ。こんなに調理設備が整っているなんて思ってもみなかったから、最悪、たき火でもあれば作れる料理にしたんだけど、もっと凝ったものでもよかったわね。このヤキソバは人気だから、これが食べたくてハイエルフをパーティに加える冒険者もいるくらいよ」

 確かに、野外調理が基本の冒険者なんかには重宝される料理だな、とタケルは納得した。

 まさか、ここで富士宮ヤキソバを食べられるなんて、感動だ。

「どう? 私の料理を二回食べた感想は?」

「感動だね。料理が上手くて美人で弓の名手、非の打ち所のない女性だね。アルラの将来の伴侶が羨ましいよ」


 ……警戒させず


「そう、お世辞でも嬉しいわ」

「お世辞じゃないさ。アルラは本もたくさん読んでるんだろ。魔法も使えるし。そうだ、お願いがあったんだけど、いいかな?」

「何かしら?」

「この辺、というか、この世界自体、あまり知識がなくてさ、良かったら、色々と教えてくれないかな?」

 タケルの目には純粋な光。自分と同じ知識への光を認めて嬉しくなる。今までにそういったことをアルラハーシアに言ってきた男は、全て違う目的だった。

 そんなタケルを獲物として仕留めようとしている自分にちょっと嫌悪を感じる。しかし慈悲はない。あなたは持つ者、私は持たざる者、立場が違うのだ。卑怯と言われようが、全力を以って狩るしかない。急所は分かっている。一矢で仕留められなければ間髪入れずに連続で撃ち込むのだ。

「うーん、どーしよっかなー」

 そう言いながらテーブルを回り込んで横に座る。

 タケルの太股にある左手の上に手を置き、さりげなく距離を詰める。

「じゃあ、こうしましょ。私のお願いも聞いてね。そしたらタケルのお願いはなんでも聞いてあげる」

「な、なんでも!?」

 ちょっと声が裏返ってる。

「タケルは嘘をつかないでしょ」

「も、も、もちろん」

「じゃあ、それを証明してね」

 アルラハーシアは更に距離を詰める。タケルは手を押さえられているから逃げられない。


 ……急所に放つ。


「さっき羨ましいって言ったでしょ。じゃあ私と結婚して」


「……は?」

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