調査資料―01
【悪質ないたずら被害! 校内をお騒がせ中!】
校内では、だいぶ前から悪質ないたずら被害がいくつも報告されています。
最初に報告されたのは、今から半年ほど前の五月二十三日。二年B組が体育の授業を受けている間に発生したと思われるものです。
女子生徒Aさんは、体操着に着替えた際、制服をたたんで鞄の中にしまっていました。
そして授業が終わった後、再び制服に着替えるため戻ってくると、鞄が盗まれていることに気が付きました。そして放課後、校舎裏に投げ捨てられていた鞄の中から、ズタズタに切り裂かれた制服を発見。すぐに先生へ報告をしました。
最初は、学校内に不審者が入り込んだのではという疑いもありましたが、白昼堂々の出来事であることや、用務員さんの証言などから、校内の誰かによる仕業ではないか、という可能性も否定できない状況となりました。
翌日には緊急の全校朝礼が開かれて、校長先生も「もし、この中にいたずらをした人がいるのなら、自分の心に打ち負けないよう勇気を出して、自分自身の足で、私のところに来てほしい」とおっしゃいました。
しかし、全校朝礼による校長先生の呼びかけも空しく、二件目はその三日後に発生しました。
三年生で、水泳部に所属する女子生徒Bさんの部活用の水着が、やはり鋏のようなもので切り裂かれてしまいました。
水泳部の部室には鍵が掛けられていたのですが、実はその鍵は調子が悪くて、うまく動かすと鍵が開いてしまうということが後になって発覚しました。
それを知っていたのは水泳部員の二年生と三年生ですが、水泳部員以外の生徒達にも知っている人が不特定多数いると分かりました。しかも、長いこと鍵の不調は放置されていたため、開け方を知っている人ならいつでも入れる状態でした。
しかし、外部からの不審者がこの鍵のことを知っているとは考えにくく、校内にいる誰かがやったことであるという可能性はますます強まります。
そして三件目は、夏休みが明けた九月。四件目と五件目は十月。六件目と七件目は、十一月に起こりました。全てが女子生徒の私物を狙ったもので、上履きや辞書などが同じ手口でボロボロにされてしまいました。
九月の事件が起きた時点で、校長先生は警察への通報を行いましたが、未だに犯人は捕まっていないそうです。
もうここまでくると、いたずらとは呼べません。立派な犯罪です!
私達、
即刻名乗り出てほしいです。そしていたずら被害を止めてほしいです。
私達が安心して学校生活を送るために、一刻も早い事件解決を望みます。
(県立瀬名中学校新聞部発行、校内新聞『瀬名中新聞』の一部より抜粋)
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