2 異世界へようこそ



目を開けば、緑が辺り一帯に広がっていた。遠目に、壁が見える辺り、あそこが人間族の国なのだろうと思う。服装が丁寧に変わっていたが。学校の制服ではなく、なんというか、身体を護る事に重点を置いたような服装をしていた。説明し辛い。


「はぁ……『ステータス』」


ステータスは他人から見られることはないらしい。それでも「今こいつはステータスを見ているな」と言う事はわかる。動作で察せるしね。


そして目の前に並べられた文字に目を向ける。




 ***


名前:カミカワ マナト

年齢:17

オルズ:50500

レベル:1

属性:無【剣術魔法ソードマジック

体力:15000/15000

魔力:8000/8000

状態:正常

魔法:“スラッシュ”

スキル:“鑑定”“言語理解”“アイテムボックス”“神の加護”


 ***




あの場で見た時は溜め息が手で数えられないほどに零れた。何が死なない程度なのか。あの時はこの体力や魔力の数値はどうなんだ、この世界の平均値はどの程度なのかと問い詰めた。


この世界の体力の平均値は1500程度、魔力は800程度と言われた。10倍も多く付けられた俺はなんなんだ、危険視されたらどうするんだと加えて問い詰めると、あはは~と笑われた。溜め息しか出てこなかった。


仕方ない、とあの時はそれで片付けてしまったが、いい機会だ。しっかり見ておこう。


名前、年齢、オルズはいい。オルズは現在の所持金を示してくれている。


項目をタッチすると詳細が出てくる。




***


レベル


その人の経験状態の段階を示したもの。モンスターを倒す事によって上昇する。また、レベルによってステータスが成長する。能力値はレベルに依存する。


 ***




すごい簡単な説明だがむしろこれくらいがわかりやすい。長々と説明されたらむしろ混乱しちゃうしな。


また、ステータスの能力値はレベル依存、つまりレベルを上げていく事でステータスが上昇していく。新任神様曰く、こうすると熱心にレベルを上げていってくれるかな~って思ってね、なんて言われた。人の競争心を煽るとな。


次に魔法。




 ***


剣術魔法ソードマジック


剣に能力を付与する魔法。個人魔法であり他人には使えない。



“スラッシュ”


消費MP:5

装備制限:なし


 ***




どうやら、他人には使えない魔法だそうだ。ソロでやっていけって言っているのか、あの新任神様は。


また、最初から覚えていた“スラッシュ”は使用MPと装備制限しか書かれていない。どんな技か説明くらい暮れてもいいとは思うけど、使ってからのお楽しみってことなのだろうか。


次に体力。




 ***


体力


攻撃を受けると減少する。0になると行動不可能へと陥り、回復魔法でしか回復できなくなる。ポーションや回復魔法で回復可能。


 ***




0になったら即死、ということではなかったのが良かった。いくらこんなに体力があったって油断してれば0になる。気をつけなければならないことだ。


次に魔力。




 ***


魔力


魔法を使用するために必要な数値。魔法を使うことで消費される。0になると魔法が使用不可能となり、体力が少量ずつ消費される。



 ***




剣術魔法ソードマジックが使える、ということは魔法が使用できるということだ。が、注意すべきなのは0になってからだ。体力が消費されていく。一気に削られるのではなく、10秒に1という頻度らしい。新任神様が言ってた。




次に状態。




 ***


状態


現在の身体の状態を示すもの。変動していない場合“正常”となり、“麻痺”“毒”“麻痺毒”“行動不可”“魔力枯渇”などがある。


“麻痺”

“行動不可”とはことなり、身体の動きが鈍くなる。ポーション、回復魔法で回復可。


“毒”

時間毎に一定数の体力が消費される。ポーション、回復魔法で回復可。


“麻痺毒”

“麻痺”に加え、“毒”の状態。行動が鈍くなり、時間毎に一定数の体力が消費される。ポーション、回復魔法で回復可。


“行動不可”

体力が0となった状態。一切の行動が不可能となる。回復魔法で回復可。


“魔力枯渇”

魔力が0となった状態。一切の魔法が使用不可能となり、時間毎に一定数の体力が消費される。ポーションで回復可。


 ***




“麻痺”“毒”“麻痺毒”の脅威が理解できた。“毒”“麻痺毒”は“魔力枯渇”よりも消費される体力が大きく、早期の回復が重要だということがわかった。


次に魔法。




 ***


魔法


その人個人が所有する魔法の一覧。派生魔法もここへ表示される。

また、発動には魔法名を宣言する必要がある。


 ***




まだ俺は派生魔法というものがないが、どうやらここへ追加されていくらしい。ステータスは魔法の一部のようだが、魔法が使えないものでもステータスは使えるので曖昧なものだ。


次にスキル。




***


スキル


その人個人が所有するスキル一覧。派生スキルもここへ表示される。


“鑑定”


物質、相手の状態をステータスとは別に表示するスキル。ただし、一部表示ができないものも存在する。


“言語理解”


言語を、既知の中の言語へと変換するスキル。


“アイテムボックス”


内容量無制限のアイテムを収納するスキル。収納したアイテムはその状態を維持される。


“神の加護”

世界神からの加護。受けるダメージを大きく抑える。また、身体能力上昇効果も付与される。


 ***




なんというものをつけてくれたのか。アイテムボックスやら、神の加護やら。アイテムボックスはまあ、ありがたく頂く。が、神の加護はオーバーだと思う。あの新任神様は何を考えて俺にこんなスキルを付与したのか。


「はぁ……もういいや」


溜め息を一つ吐き、思考をシャットアウトする。満喫していくんだ、会う機会だって何度かあるだろう。暇だとか言ってたし。


「あ、なんかそういえば剣貰ってたんだった。『鑑定』」




 ***


ショートソード[片手剣]


“体力追加付与+5000”“魔力追加付与+2000”“行動速度大幅上昇”“状態変動耐性”


 ***




「はは……なんだこりゃ」


驚きを通り越して、もう苦笑が零れてくる。嗚呼、あの新任神様は俺を過保護したいのか。いいや。死ぬ確率がぐっと、大きく、かなり低くなったんだと思おう。


「とりあえず街に向かいますか……」


街へ向かう足取りはどこか、重いものだった。






 ***






「えへへー、気に入ってくれたかなぁ?」


目の前に移る、異世界の少年。どうやら、僕は彼にかなりの興味を持ったらしい。そうじゃなければあそこまでサービスなんてするわけがない。


「感想、楽しみにしてるよ。マナト君」


その顔には、心の底から楽しむような笑みが浮かんでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る