Episode III「その恋俺が奪ってやるよ」
「はい来ました天使さんのご降臨~」
「またお前か。クソめんどくせーことに巻き込みやがって」
なんだこの天使。
口悪いぞ。
佑茉は葉書を出した後、自宅のドアの前に天使がいないのを確認したのだが。
部屋の中に入られていた。
「…私の家に勝手に…」
「別にいいだろ。どうせ誰にも見えないんだし」
「よくない!さっさと治して出てって!」
「治してって……あぁ、お前が恋したことか」
それを言うなよデリカシーのない奴!
「…治せるんでしょうね?」
「……さぁ?俺は今までこいつのイタズラを幾度となく治して来たが。今回はちょっと厄介なことになってるからな」
「や、厄介って…前にもこういうケースあったんでしょ!?」
「ああ…でも、今回は…相手側が…」
相手側?
あぁ、あいつ相当性格悪いもんな。
それが原因?
「…まあ俺は人間の恋愛には口を出さねー主義だし…」
それとこれとは別でしょう!?
「…分かった。その恋俺が奪ってやるよ」
「さあ、それはどうかな?」
「は…?奪うって何…」
「何って。そのままの意味。お前の初恋俺が奪ってみせるから」
いやちょっと待って天使さん。
「それってさ。私をあんたに恋させるってこと?」
「当たり前じゃん」
「いやいやいや。他に方法あるでしょ。どうせ天使さん帰っちゃうんだから私どっちにしろ損しちゃうじゃん」
「…損とか得とか。人間は贅沢だな。つか、これしか方法ねーんだよ。分かったか、人間」
「いやぜっっったい有り得ないから!!」
こうして私の奇妙な物語は、幕を開けた。
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