Episode Ⅷ 「好きだからって言ったらどうする?」


『…お前何叫んでんの?』


「あ、悪魔!これどうなって…」

「佑茉?どうかしたか?」


「ギャッ!近づかないで!悪魔!悪魔なんだから治してよ!」

『仕方ねーな…手のかかるヤツ』


なんだこの悪魔は!

本当に悪魔でしかないんだが!


「…いたっ…い、たい痛い痛い痛いああぁっ!!」


再び激痛。

嗚呼、元に戻るんだ…。




「佑茉せんせー、起きてぇ~」


「…ん…?ま、また子供ォ!?」

「ぶー。ママが保育園ごっこするって言ったのにぃ」


…悪魔め。

また別の世界に飛ばしやがった。


「パパー!ママ起きたよー?」

「ん、起きた?佑茉は寝るのが好きだからなぁ」


「て、天使イィ!?なな、なんであんたっ…!」

「何馬鹿なこと言ってんの、佑茉。俺は彼方だよ?」


そうだ彼方だそれは合ってる

がちっがーーーうっ!!


「なんで子供がいるの!?元に戻してよ!」

「このままでもいいんじゃない?ねぇ花奏~」


「……?かなではこのままがいい」


「だってよ?ママ」


ニコニコと笑う天使(自称彼方)。


冗談じゃない。


「…なんでこんなことするのよ」


「…好きだからって言ったら。どうする?」


「なっ…な、からかわないでよ!」


不覚にもときめいてしまった。


「…っ、痛いっ!や、ばっ…痛い痛いああぁぁっ!!」


「あーらら。悪魔さんのお出ましか」


彼のそんな呟きは佑茉には聞こえなかった。




「ママぁ~起きてぇ~」

「ん……また来た子供。もうあいつしかありえねー」


「やっと起きた。佑茉はお寝坊さんだなー」


「ふざけんなっ!元の世界に戻してよ!」


もうこんなのこりごり!


「…何のためにこんなことするか、わかる?」


「そんなのこっちが聞きたいわ」


「お前が。佑茉が、好きだから」


「……っ!」


悪魔という名の泥棒は見事に私の心を盗んでいった。




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初恋FANTASY~“悪魔”に初恋奪われました~ 青南 @aomina

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