第3話 謁見
その城下町はまるで中世のファンタジーのような町だった。
「ここが異世界の町か。まるで中世のファンタジーのような町だな」
「ええ、ここは中世のファンタジーの町ですのよ」
「なるほどな。合点が行ったぜ」
馬車の中で姫と話をしながら町を抜け、公太郎は城にたどり着いた。大きな立派な中世風の城だった。
「これが我が国の誇る城です」
「なるほどな。立派な城だぜ。では、早速お邪魔させてもらうぜ」
城の大広間へと進んだ公太郎はそこで王と謁見した。
「よう、王様。俺が会いに来てやったぜ」
「なんだ、その態度は。王の御前であるぞ!」
国王に対してなめた口を聞く公太郎に大臣は怒るんだけど、
「まあよい。これもゆとりと言うものなのだろう」
国王はまあよいと大臣を嗜めてくれた。そして、真剣な目をして話を始めた。
「実は姫を救ったお前の腕を見込んで頼みたいことがあるのだ。この国は魔王に滅ぼされようとしている。奴の城へ行って魔王を倒してきてくれ」
「そんな面倒なことやってられっか。他の奴に頼んだらどうだい?」
「頼む。お前の腕を見込んで頼んでいるのだ。やってくれ」
「仕方ねえな。俺に任せときな」
公太郎がそう請け負った時だった。一人の兵士が謁見の間に駆け込んできた。
「王様! 大変です!」
「今は謁見中だぞ! 後にしろ!」
大臣はどなるんだけど、
「よい。話せ」
賢王として知られる知性に優れた国王は慈愛に満ちた瞳をして先を促した。
「はい! 魔王配下の四天王の一人が姫を奪いに来たんです!」
「えー!」
姫が悲鳴を上げる。
「何ということだ! 四天王の一人め、母親ゆずりの可愛さだけが取り柄の我が娘のいったい何が気に入って奪いに来たというのだ!」
国王も困惑している。そこに、話のネタになっていた当の四天王の一人が現れた。
「俺は四天王の一人! 俺の部下の魔物達が世話になったようだな。仕方ないから俺がじきじきに姫を奪いに来てやったぞ!」
「どうしてわたしなんかを狙うのです!?」
怯える姫に、四天王の一人はにやりと不敵な笑みを浮かべた。
「お前が美しいからさ。俺は美しいものには目がないんだ!」
「まあ、ありがとう。わたし達気が合うかも」
ほっこりと微笑む姫。国王は公太郎に命令した。
「勇者よ、奴を倒して姫を正気に戻してくれ!」
「任せろ」
そして、戦いにもならない戦いの末に公太郎は四天王の一人を倒した。
「さすがは勇者様! お見事です!」
正気に戻った姫がにっこりと笑って拍手をしてくれる。
「お前になら任せられる。魔王を倒してくるのだ!」
国王が威厳に満ちた声で号令を下す。
そして、公太郎は旅立った。
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