■解決編
第16章 ウィッチ・ハントで、何があったのか
■第十六章 坂下千智の真実 ウィッチ・ハントで、何があったのか―
宮沢ビルの4階。その部屋は広かった。ここで塾でも開こうものなら、広く使っても200人ほどは一気に教えることができるだろうなと千智は思った。
そんな広い部屋の隅っこの方で、柱に縛りつけられて、口には猿ぐつわをはめられ、さらには目隠しもされている男がいた。名前は会対なんとか、だっただろうか。
坂下千智は、深い思索に身を埋めていた。このゲームにはなんとしても勝たなくてはならない。天から舞い降りた、千載一遇の、最後のチャンスなのだ。魔法の存在をも千智は信じていた。魔法は〝ある〟のだと。なんの疑いもなく、ただただ、純粋に心の底から信じていた。
あのメールを、ウィッチ・ハント開催のお知らせのメールを受け取ったとき、当然坂下千智は訝しんだ。そしてさらにその数秒後、携帯が異様なバイブレ―ション音を発した。緊急地震速報のような、よくわからないが不吉な何かを感じずにはいられない、あの音だ。液晶ディスプレイには、淡々と、真っ白な背景に、真っ黒な文字が浮かんでいた。まるで、携帯が制作者の予想もしないような壊れ方をしてしまったかのような。
『付近に、魔女がいます』
すぐさま周りを見渡した。しかし、ここは田舎で、ただでさえ人通りが少ない小さな橋だ。前も見ても、後ろを見ても人なんかいない。車も通っていない。
しかし、それでも携帯のバイブレ―ションは響き続ける。早く見つけろと言わんばかりの勢いで、今もまだ、響き続ける。
額に、脇に嫌な汗がじっとりと滲むのがわかる。今、自分の周りには得体の知れない魔女がいる。どういう魔法を使うのかわかればまだここまで混乱もしないが、相手は一体どんな魔法を使うのかわからないのだ。もしかしたら、早ければ1秒後にでも、自分は得体の知れない攻撃を喰らって、死んでしまうかもしれない。
――それでも、それでもだ。落ちつけ俺。
千智は自分自身に言い聞かせる。
――ここで慌ててはいけない。
そうだ、とパニックの一歩手前から正常な、冷静な自分に立ちかえることができた。ここでパニックになるような人間であったら、自分はもうとっくの昔に死んでいた。こんなときだからこそ、自分は冷静にならなくてはならない。
そうだ。
ひとつ、閃いた。というかそもそも、どうして気がつかなかったのだろうか。橋の下を覗いてみる。橋の下の河川敷には、テントのようなものが4,5ほど並んでいた。河川敷に住まうホ―ムレスの住居だ。
たしか、この魔女襲来警報は、半径200m付近にいなければ鳴らないはずだ。鳴らないはずだ、というか携帯電話のメールで送られてきたルールにはそう明記してあった。この辺一帯は殺風景だ。街が見えないこともない。しかし街に到着するにはあと500mほどは歩かなければならないだろう。橋の下には川が流れている。360度、今の自分の周りは幸運にも、見事に開かれている。釣りをしている男もいなければ、車もまったく通らない。ダイビングしている人がいればまた話は別だが、それはよほどのレアケ―スであるはずだ。万が一、ということがあるかもしれないが、その可能性は一旦候補から外す。
橋の上からじっとそのテント群を見つめる。携帯はもちろん、今でもずっと鳴り続けている。どういう仕掛けを事務局とやらが施したかは知らないが、バッテリ―の持ちは大丈夫なんだろうか。それだけが心配だった。
しばらくして、ひとつのテントから男が出てくるのが見えた。身なりがそれなりに整っているのに千智は驚いた。千智の中のホ―ムレス男性というのは、最後に風呂に入ったんだかわからないような毛むくじゃらな格好をしているもんだと考えていたからだ。その男性は、髭は生えているものの、適度に整っていた。ちょっと剛毛な人だな、と思う程度で、一般社会に出ても充分にやっていけそうな身なりだった。
その男性は、土手に上がり、町の方向へ歩き出した。土手を上り、町の方向へ、向かっている。千智はそれを見ながら、男を見失わないギリギリの距離を保ちながら尾行を始めた。
街といっても、寂れた商店街に、大型ショッピング・センターがあるぐらいのしょうもない規模の町だ。それでも、この辺にはこれ以上の場所がないから、街とも呼んでいる。男は街の表通りを歩かず、裏通りへと向かった。千智もあまり行ったことのない道だったため、尾行には苦労した。できるだけ気がつかれないように、素人ながら慎重に慎重を重ねようと努力した。
やがて、男は路地裏のやや細めの道の真ん中で歩みを止めた。千智はそれを物陰から見る立ち位置となった。携帯のバイブレ―ションは、『魔女が半径200m付近にいないと鳴らないバイブレ―ション』は、今もなお、鳴り続けている。バイブレ―ションは続いているが、音は鳴らない。尾行している最中に気付いたのだが、どうやら警報の音は調整可能らしい。まぁ、当然と言えば当然の措置か。
それでも、まったく不安がないわけでもなかった。この空気の振動が、ポケットの中の携帯の振動が空いてに伝わってしまったらどうしよう。できるだけ考えないようにはしているが、湧き出る不安は抑えることができない。
しかし、そんな不安を吹き飛ばすような出来事が目の前で起きた。
「うわっ」
というのは、誰の声か。千智の声なのか。いや、違う。
千智が監視していた、ホ―ムレス男性の声だった。
千智も「うわっ」という声を出したかった。そもそも一瞬、自分が声を上げたのではないかと思った。それほどまでに、目の前の光景は、驚嘆に値した。
ホ―ムレスの男は、右手の手のひらを地面に向けて、炎の玉を出した。
ライタ―の炎とか、そういった可愛いものではない。バスケットボ―ルほどの大きさを誇る、立派な紅蓮色の、炎の玉だった。その炎の玉は2秒ほど宙に浮かび、そして消えた。まるでそこに、何もなかったかのように。
「す、すげぇ……! 本当だ、本当に……魔法だ…………!」
その言葉を聞いた、千智も同じことを思った。あんなホ―ムレスの野郎にあんな芸があるとは思えない。こんなところで仕込んだ手品の練習をするという仮説もないことはないが、どう見てもそれは不自然であると言わざるを得ない。
今ここで、炎の玉を手から出したこと、そして、あのホ―ムレス野郎の一言。そして、携帯電話のメールに、普通ではあり得ないような、『付近に、魔女がいます』のお知らせ。
間違いない……! あいつこそが、〝魔女〟だ……!
その瞬間、今までにないほど千智の頭は目まぐるしく回った。あのメールが本当だとしたら、今、俺がすべき最善の行動はひとつ。〝確定魔女〟、〝仮定魔女〟、ウィッチ・ハントのルール……。先ほど送られてきたメールの文書を思い出す。そして、ひとつの行動を思いつく。それは、今ここだけで思いついたものではなく、あのホ―ムレスを尾行していたときからすでに考えていたものではあった。『もし、あのメールの本当のもので、魔法というものが実在するとしたら、俺はどういう行動を採るのが最善なのか』と。そしてそれは、覚悟を決めてしまえば、ほんの一握りの勇気さえ持つことができれば、簡単に行動に移せるものだった。どんなに勝利を呼び込む奇抜な戦略も、はじめは机上の空論のようなものに過ぎない。それは、実行されてこそ立派な戦略となる。勇気を形に。その勇気とは、人の道を、外れることだった。
ここは表通りから外れた裏通り。左右の壁は廃ビルのコンクリ―トのようなものだ。極限まで集中力を高め、気配を探る。もちろん、気配を探るとは言っても大仰な何か、魔術みたいなものを使っているわけではない。幼い頃より我流で鍛え上げた〝生きるための智恵〟のようなものだ。耳だけではなく、それこそまさに全身を使って、周りに他の人間がいないかを探る。耳を使い、音を探り、耳で拾うことのできない微妙な空気の振動はその他の身体の部位で察知しようと努力する。そして、改めて確認する。大丈夫だ、少なくとも、これから自分が行おうとしていることを察知できる範囲に人はいない。もう一度、顔を少し覗かせて、ホ―ムレスの男を確認する。炎の玉を手のひらから出した。ということはつまり、あの男は〝確定魔女〟になった際、炎使い、英語で言うとどうなるんだ、フレイム・マスタ―とかなんとかにでもなるのだろうか。しかし、なぜあの男は炎使いになんてなったのだろう? ふと、そんなことを思った。たしかに炎と言えば魔法の定番、といったイメ―ジがないこともない。手を前にかざして「フレイム・アタック―!」なんて、たしかに男の子が一度は夢を見そうな光景だ。しかし、今ここは、この場所は、そんな甘い夢の世界では決してない。ここは、現実の世界だ。そして今、僕たちが行っていることは、殺し合いだ。夢で命は買えないし、勝利も買えない。なにかしらの考えがあの男にはあるのだろうか?
……そんなことはどうでもいい、か。頭を切り替える。
あいつがどのような意図で炎の魔法を手に入れたのか、よく考えたらそんなのまったく関係ないと思い直す。あいつがどのような魔法を持っていようが持っていまいが、自分がすべき次の行動になんの支障もきたさない。もしヤツが『後ろに目を持つ能力』などという魔法を得ていたらまた少し考えることがあるだろう。しかし、ヤツはそういう魔法を手に入れなかった。『炎の能力』という直線的な能力だった。トリッキ―な能力ではなかったのがなおプラスだ。自分が魔女になったことがないのでそこら辺のことはまだよくわからないが、トリッキ―な能力だと外側からどういう魔法を手に入れたのか、すぐにわからない。その分直線的な能力は随分と楽だ。見ればわかるのだから。
ひとりに与えられる魔法は1つ。それと引き換えに、能力に見合ったリスクを背負う。今の時点では、あのホ―ムレスが炎の魔法を手に入れた代わりに負ったリスクが何か、わからない。しかし、炎の能力を手に入れたということは、逆に言えば、他の能力を手に入れなかった、ということになる。つまり、例えばその他簡単に知覚できない他の能力をあのホ―ムレス男は持っていないということになる。
息を整える。条件は揃った。考えも、まとまった。
ホ―ムレスの男が動いた。ホ―ムレスの男のことを直接観測したわけではないが、足音でわかる。こっちに来るか? 目を閉じて神経を集中させる。もしあのホ―ムレスがこちら側に来てしまったら、足音が向こうに聞こえてしまうのを覚悟でここから立ち去らねばならない。ここは入り組んだ道とは言え、第三者の視線がない場所だ。ここで発見されたら戦闘を仕掛けられることを覚悟しなくてはならない。たしか、魔女からウィッチ・ハント参加者は知覚できるという決まりになっているはずだ。どのように知覚できるのかは知らないが、そんなことは考えても仕方ないだろう。知覚できるのだから、〝知覚できるのだろう〟。そんなのは今考えるべきことではない。
〝向こうに行った〟。足音が微妙に遠ざかっていくのを聞き取り、そう判断した。
物陰から顔を覗かせて、ホ―ムレス男の姿を確認する。こちら視点で、背を見せて向こうへ歩いている。距離にして、約15m。今の自分で、約25歩が必要。25歩で相手にまったく気取られず、間を詰めるのはほぼ不可能に近い。少しでも気配を感知されたら炎の魔法を暴走させるかもしれない。実際にどのように暴走させるのか、そんなのはわからないが、リスクはある。全身火傷なんてしたらざっくばらんに言って、かなりヤバイような気がする。そういえば、入院したらどうなるのだろう? 全身火傷で入院しようものなら、それなりの期間、入院しなければならないだろう。魔女になっても、入院して動けなくなれば3日間ルールによって魔女の権限は取り上げられてしまう。つまり、リスクが、大きすぎる。あまり様子見し過ぎてヤツを殺す機会を逃すのが最悪であるが、下手に突っ込んで炎を全身に浴びるのもいただけない。どちらにせよ、今は様子を見なければならない。それには変わらない。
ホ―ムレスの男が視界から消えた。曲がったらしい。足音に最大限気を付けて跡をつける。人一人がギリギリ通れるほどの狭さの路地裏通りを直進すると、道が左右に分かれた。物陰に気を付けて右、左を確認する。左にホ―ムレス男がいた。
左右に伸びる直線は長い。そして、ホ―ムレス男は先ほどより近い位置にいた。距離にして、約8m。今の自分の歩幅で、約10歩。
――いける。心臓の音が一拍、いつもと違う鼓動がした。決して、極度にアガっているわけではない。人を殺したことなんて今まで一度もないが、このような修羅場は以前にも潜ったことがある。前のような、〝場の壊し方〟を知らない自分ではない。今はどうすれば場を壊せるかがわかる。もちろん、毎回毎回場を壊さなければならないというわけではない。〝壊せる〟という意識が大事なんだ。壊せるという選択肢をいつでも頭の中に入れておくことで、見える幅が広がる。視野が、広がる。そして今、実際にその〝壊す〟選択肢を頭の中に入れて思案した結果、ひとつの行動を思いついた。決して悪くない。最善ではないかもしれないが、最悪でもない。ひとつの線を踏み越える覚悟を、――決めた。
覚悟を決めて、一度行動を始めてしまえば終わってしまうのは一瞬だ。正確に頸動脈を締めて、相手の意識を落とすのは決して簡単ではないが、一回コツを掴んでしまえば難しくもない。
――決して殺してはいけない。それは絶対だ。千智は自分自身に言い聞かせる。殺すのは簡単だ。ここで気管を締めて、窒息死させてしまえばいい。しかしそれはダメなのだ。簡単ではあるが、その後が非常に厳しくなる。ここで殺すことが目的じゃない。そのことを頭に刻み込み、常にリスクマネジメントをしながら事を進めなくてはならない。
まず、気絶した男の口を無理矢理開け、自分が服用している睡眠薬を飲ませる。自分がいつも寝る前に飲むのは2錠だが、男には2.5倍の5錠ほど飲ませた。これでしばらくこのホ―ムレスは目を覚まさないだろう。
そして、近くに手ごろな大きさのドラム缶があったのでそこにホ―ムレス男を詰め込んだ。少々臭うドラム缶ではあったが別に自分が入るわけではないので躊躇なく詰め込んだ。
ドラム缶がすぐ近くにあったのは幸運だった。何に使うドラム缶なのかは知らないが別に使わない理由はない。そしてもし、ドラム缶が無かったとしたら、このホ―ムレス男はしばらくここに放置しておくつもりだった。他の人間に発見されてしまうリスクというのはあるにはあるが、別に発見されたからといってどうこうするわけではない。発見されたらそれはそれで、仕方ないで済ませるしかない。完全にリスクを排除するというのはなかなかどうして難しい。
ドラム缶にホ―ムレスの男を詰め込んだ。素早く次の行動を開始する。
まず、素早くか細い裏路地から飛び出し、表の大きい通りに出ようと努力する。2、3ほど右折左折を繰り返し、なんとか表通りに飛びだすことに成功する。
そして次に、ショッピング・センターを探す。別にショッピング・センターでなくても構わなかったが、大きい鞄、できればス―ツケ―スを売っているだろう店であればなんでも良かった。しかし、最初に目についたのは3階立てのショッピング・センターのピンク色の看板だった。400mほど離れた先に、ショッピング・センターがある……!
――大丈夫、きっと、どこかに売っているはず…………。
一瞬、千智の頭に不安が過ぎった。ス―ツケ―スが売っていないショッピング・センターというのは、全国を探せばいくらかはあるだろう。もしかしたらその中のひとつが、この美山のショッピング・センターなのかもしれない。もしス―ツケ―スがここに無ければ、ウィッチ・ハントのゲームを有利に進めることができなくなってしまう。それだけはなんとしても避けたかった。こんなランダム性の強いゲームで、こんな序盤に主導権を握るチャンスが訪れたのだ。絶対にモノにしておきたかった。そんなことを思いながらショッピング・センターへと入っていった。
世間一般のショッピング・センターがどうであるが、千智の預かり知るところではないが、ここ、美山ショッピング・センターの1階は食品売り場だった。少し大きめのス―パ―・マ―ケットがドンと1階にある。しかし、残念ながら千智は今、食品売り場に用はなかった。コカ・コ―ラのペットボトル500ml入り88円に興味も無ければ、鶏もも肉100g当たり92円にもまったく興味は無い。安いけど。
階層マップを探す。美山ショッピング・センターはひとつひとつの階が結構広い。端から端まで歩いて15分強ほどかかるのではないかと思うほどの広さだ。たがか3階立ての建物なんだから虱潰しで探せばいいじゃないかという論はあまりにも危険だ。
そして、見つけ出す。鞄は2階の端っこに売っている。現在位置と鞄コ―ナ―の位置を頭に叩き込み、エスカレ―タ―を駆け上がる。そして駆け足で鞄屋になだれこみ、4380円の黒いス―ツケ―スを購入した。そして1階に戻り、ガムテープも購入した。
ショッピング・センターから出て、先ほどのホ―ムレスを閉じ込めたドラム缶のもとへと戻った。
念のため、足音を立てず、慎重に慎重を期して戻ったが、最悪の展開は回避できたようだ。ドラム缶の周りには誰もいない。集中して周辺の気配を探ってみたが、周りにも人はいなさそうだった。素早くドラム缶からホ―ムレス男を出して、スーツケースに男を詰める。眠薬を通常より多く飲ませたため、よっぽどのことがない限り目覚めることはないだろうが万が一に備えて口と目にガムテープをつけた。
ここまでの作業をなんとか終えることができた。大丈夫、大丈夫、と自分の中で言葉を反芻させる。そうすることで、自分の心の中の暴れたい部分を無理矢理押さえつける。いつもこうだ。どこかで、すべてを放り出して逃げだしたいという気持ちが自分の心のどこかにあった。それを無理矢理押さえつけて、ここまで来た。同じことだ。吐き出したい気持ちをいつだってなだめてここまで来た。それらの行動はもはや9基本的反復作業(ルーティン・ワーク)だった。大丈夫、大丈夫だと、ただひたすらに自分を落ち着かせながら、千智は自らがすべき作業に没頭した。
宮沢ビルにホ―ムレスの一人を監禁し終えた後、千智は美山大橋から川沿いのテントを見下ろしていた。注意深く、堂々と。アフリカに棲息するヒョウが狩りをするときのように。現在の時刻は午後5時で、陽はそろそろ落ちそうな時間帯だ。
テントは6つある。すべて味気ない黒色で統一されていた。
そこから、一人の男がテントから降りてきた。千智は素早く望遠鏡を取り出し、男を見た。男はどこからか拾ったのか、あちらこちらが破れている厚くて黒いコ―トを羽織っている。男の手元を覗いてみると、紙を持っていた。千智がテントに投げ込んだ紙だ。ニヤリと、唇の端だけで笑い、千智はすぐさま橋を降り、土手の斜面を下り、男のあとを追った。そして、男を背後から素早く襲い、意識を奪った。もう一度行ってしまえば躊躇うことはない。実に流れるような作業だった。
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