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「アイって誕生日いつ?」
「みなとみらいに行った日」
「お前、言えよな。じゃあ一月遅れで今日祝ってやるよ」
「誕生日はめちゃくちゃ嬉しかったよ。何回も喜ばせてくれなくてもいいよ。ケイくんはいつなの?」
「俺はもう終わった」
「まだ何回も来るじゃん」
「六月四日。祝うのは好きだけど祝われるのは嫌い」
「何それ」
慧くんの言ったセリフに対しての言葉だったけれど、慧くんはさっき宅配便で受け取った小箱を拡げた。右手のリングは元カノとのペアでは、と訊いてしまった日。あれから慧くんはリングを外してくれていた。そして今日、新しいリングが届いた。私たちはお互いに左手の薬指にリングを嵌め合った。愛を意味するプルメリアが刻まれた、グリーンゴールドのハワイアンジュエリー。リングを眺めていると、何だか少しずつだけれど本当の自分に近付いている気がした。本当の自分って何か分からないけれど、慧くんと家族になった自分かもと思った。
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