機動鎧装RR 蒼海のニーア

紅葉紅葉

序章:世界―Huma―

 西暦2432年。十年前の全世界規模の戦争が終結し、資源問題や政治的理由で停滞していた宇宙進出の再開が宣言されてからおよそ七年。世界は確かに変わりつつあった。

 だが、人間そのものは変わらなかった。いや、むしろ退化してしまったのかもしれない。

 世界規模の戦争によって人間は外敵を唯一の敵とし、その敵を倒すために皆の意志は一つになったはずだった。なのに、外敵が消え、人間は再び他者を外敵と見なすようになった。

 戦争はまだ続いている。世界規模ではなくても、至る所で人々は戦争をしているのだ。それが、人間という生物の本能であるかの如く。


「争いは、終わらない。なんで人は、人は……殺し合うんだ」


 永遠を生きる者は、世界の矛盾を嘆く。変わる事はない。人は人である限りお互いを攻撃し続ける。

 変わらない。何も変わらない。人は変わらない。

 それでも、彼は信じる。人を、人類を、生命を。

 西暦2432年。後の世の人間はこの時代を地球混迷期と呼ぶ。歩兵標準兵装であり、機動鎧装とも呼ばれるギアスーツ、その発展期であり、宇宙進出期とも呼ばれるこの時代。永遠を生きる者は、蒼海を見つめる虚ろな少年に出会う――――

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