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「……心が揺れて、惹かれて、キスした?……何だよ、それ……」
春馬は、私の頬を人差し指で撫でて、視線を合わせると唇を触りながら、表情から笑顔を消し、真剣な眼差しでただ見下ろした。
「美雪は分かってないよ。どれだけ俺に愛されてるかを」
春馬の眉間に皺が寄り、
表情が硬くなるのがわかる。
「抱きたいよ。今すぐ。だけど許せない」
「……ごめんなさい」
思わず、視線を反らすけど
「見て。こっち」
躊躇いながら、また正面を向いた。
「1つ、聞きたいんだけど」
「……うん」
「イチとセックスした?」
あんまり、そういうストレートな言葉を言う人じゃないから驚きながらも焦って首を横にブンブン振った。
「してないよ!そんな、正式に付き合ってもない人とその……する行為じゃないでしょ?段階とか、色々」
「……そっか……。ふーん」
「……春馬?」
「いや、なんでもない。ただ、そういう事か、って思っただけだから」
「……ん?」
「美雪には分からないよ」
「え?」
「知らなくていいって事」
春馬は、触っていた私の唇から指を離すと、代わりに自分の唇をかさねて……
「結局美雪には甘いんだよな。惚れた弱みがあるからね。だけど、これからはある程度の束縛はするよ?……そうしないと、みんな……本気で美雪が欲しいんだから」
台詞の間と違和感を質問しようとしたのに、春馬はその気配に気付いて、それを塞ぐみたいにまたキスをして、温かい舌を絡めると、どんどんと深くなり立ち眩みする程、濃厚な愛撫の始まりのサインが、私の服を脱がしていく。
流される。
また、流されるみたいに
春馬に抱かれる予感が的中する。
でも……それは、私も認め望んだんだ。
和じゃなくて……春馬を選んたんだから。
この流れが心地よいのは確かで……
気持ちよくて、頭が真っ白になって……決して欲望を満たすためだけじゃないのに。
凛々しい眉毛に、くっきりとした二重、整った唇……春馬の顔立ちは年より少し幼い。
絵に描いたような育ちの良い青年で、スーツを着こなすアイドル……完璧な人が、私を求めて身体中にキスをする。
「っ、はぁっ……ぁっ、美雪っ」
春馬の汗ばむ素肌が、私に吸い付くように重なり、何度も私の名前を呼ぶ。
でも、
いつもみたいに、感じながら目をつぶれない……出来ない。
思わず目を閉じると、今の現実が薄れ
私の心を占めている、あの人が……
「……春馬、……もっと……もっと、抱いて」
蘇るから。
油絵みたいに、春馬の色で塗り替えてほしい。
どこまでも他力本願な私は、春馬に抱かれて和への想いをしまい込んだ。
だって、やっぱり無理。
春馬には私しかいないし、私には春馬しかいない。
長い恋愛がもたらした共依存には、間違いなく「愛」がある。
だから、受け入れよう。
きっとこれが私達のカタチなんだ。
ソファの上で仰向けになると、
「……着けなくていい?」
「ちょっと、待って。それって」
「ゴム、着けなくて良い?」
「でも……」
「これからは、そういう事も含めて、責任取りたいんだ。美雪の人生も」
春馬は、頷く私の足を開いて体重をかけて、歪ませる表情を見つめながら、声を漏らしてそのまま上体を倒して、ゆっくりとナカに入ってくる。
「……くっ……ぁあ、ヤベェ、美雪んナカ、とろっとろで、熱くて……気持ちいい……」
春馬が私のナカに入って、微かにトクントクンと脈うつのをダイレクトに感じて、おへその下辺りがキュッてした。
「……ちょ、あんま締めんなって、まじで、ヤベェ、美雪……もういい?」
「んっ……え?……なぁに?」
「……動きたい。余裕ねーよ。……ナカが気持ち良すぎて……」
春馬は、そう言いながら緩く腰を動かし始めて、息遣いに比例してスピードが増すと体ごと私に打ち付けた。
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