第2話
ドスン、ドスン…
「のおぉー!?
なんなんだよ!!」
時計の針は少し進み、
午後11時39分。
少年は夜の校舎で
愉快に鬼ごっこをしていた。
―…………
――少年が特進クラスの校舎になんて好奇心を出してしまい、
校舎を散策し始めたのは数十分前…
特進校舎との渡り廊下の扉はやはり開く事は無く、
『あぁやっぱりね、そうだよね、
さぁ今度こそ帰るか…』
なんて思いトボトボと歩き出したとき、
特進校舎の方から
ズガン!
ドドドド…
なんて音がした。
その音が止む事は無く、
だんだん自分の方に近付いてくる…
―あれ?なんか…ヤバくないかい?
少年がそんな事を思った瞬間、
渡り廊下の扉を蹴破り
得体の知れない何かが姿を現した
!??!?!!
少年は一瞬固まったものの、
【グュロロォァーーー!】
という謎の物体のドロドロとした咆哮で体が反応した。
訳もわからず半泣きで走り出した少年の後ろから意味のわからない物体が追いかけてくる。
少年の身長の二倍強はあるであろうソレは、全身の表面がただれた恐竜のような姿をしていた。
―ちょっ、おっ、意味がわからん!
何あれ!?何!?あれ!何!?
混乱しながらもただただ逃げるしかなく、
渡り廊下のあった三階の階段から二階へと逃げる。
そこで足音は
ドシっ!
という音と揺れと共に止まった。
横幅も3メートル以上はあるあの物体は階段の手すりと壁の間に挟まっているらしい。
―まじで?助かった?
なんて思ったのもつかの間、
今度は
【ドゥルァ゛ーーー!!】
という咆哮と共に壁の破片やら手すりがメリメリと音をたてて落ちてくる
―え!?えー!?
あの物体が今度は階段を崩しながら進んできた
「もう勘弁してくれー!!」
そう少年が叫んでも何も変わるわけがなく、
ズンズンと進んでくるドロドロとした物体に少し吐き気がしながらも少年はまた走り出す。
さっきと同じような状況にまた戻ったが、
少年は気付いてしまった。
―こっち階段ないじゃん…!!
案の定少年は二階の末端の音楽室の前で行き場がなくなり、
あの物体と対峙する形となった。
こうなりゃヤケだとばかりに少年は近くの廊下の掃除用具ロッカーからモップを一本取りだし、
いざ勝負とばかりに構えをとり大きく息を吸い込んだ時、
パァーン
と、
乾いた銃声のような音が耳に響いた。
それと同時にさっきから落ち着きなくこちらの隙を伺っていた物体の動きが止まり
グチャッ、ドスン…
物体はその場に頭から崩れた。
?
??
少し間があった後、
少年の向かい側―
物体の背後から
「おー、さすがよっち」
なんて、この場に似合わない女の子達の声がした。
ポカーンとする少年のもとに、
物体の背後から現れた4人の女の子がそれぞれに心配そうな顔と不思議そうな顔をうかべながら歩みより、
「あの、大丈夫ですかー?」
なんて、少しからかったように赤メガネの子話しかけてきた。
「あ、あぁ大丈夫ですけど…」
少年は精一杯の声を絞り出す。
「てか…なんでここにいるんですか?」
4人軽くハモりながらの問い。
「………………」
―この日、
いたって普通の少年の
いたって普通の日常が、
終わりを告げた。
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