第二話 舞姫 1

神谷の店、ショーパブ[エキサイトピンク]で働く事にした、舞と雀の二人。

19時オープンの深夜3時まで営業の[夜のお店]なので、夕方は染みの下笹目駅前でコルチナ達とストリートで踊った後、そのまま出勤という形なのだ。因みに、舞と雀は昼過ぎまで寝ている。


本日が出勤初日。


しっかりと先輩ダンサーや店の従業員に挨拶をして、初めてのミーティングである。

その店の従業員達全員がフロアーに集まっている。そこでオーナー兼店長の神谷がいつものように挨拶する。


神谷「…え〜、いつも言っている事だが、うちのモットーはお客さんと一緒に楽しむ事!!エンジョイ&エキサイティングプロレスリングノアね♪」

舞「???」雀「???」

先輩ダンサー ミオ(以下ミオ)「店長………今日も絶好調ッスね♪ヽ(´▽`)/」

先輩ダンサー ラン(以下ラン)「店長(///ω///)♪今日はお客さんにパワーボムしないようにします(*ノ▽ノ)」

神谷「いやいや、ランちゃんのパワーボム食らってあのお客さん、満足そうに大金置いて帰っていったよ?今日もヤっちゃえ♪♪」

ラン「キャッホーーッ♪♪やっちゃうやっちゃう〜〜〜(/▽\)♪」

神谷「………まぁ、冗談はこれぐらいにして、今日はみんなに新人の女の子を二人紹介しよう♪今日からこの店で踊り子として一緒に働く[舞]ちゃんと[雀]ちゃんだ♪みんな色々教えてあげて、仲良くしてあげてね♪」

「さ、二人共軽く自己紹介して?」


舞「こ、こんばんは…舞です…よろしくです」

雀「雀です、よろしくです」

ミオ「オォ(*´ω`*)可愛いね二人共、よろしくね私はミオ、ダンサーで、今じゃこの店で一番古いんだ♪」

ラン「きゃーっ!!可愛い可愛い‼あたしはラン、よろしくね♪あたしもダンサーでミオ先輩の次に古いの♪」

神谷「…うん、主にこのミオちゃんとランちゃんが二人の教育係だからね♪何でも聞くといいよ」

神谷「後はみんな順番に自己紹介してね」

ユウヤ「初めまして、バーテンのユウヤです♪よろしく」

そう言ってユウヤはウィンクした。

ミオ「コイツには気を付けてね?マジでカス野郎だから(笑)」

ユウヤ「カスで〜〜〜〜す♪」

そう言ってユウヤは舞の胸に手を伸ばす。舞はされるがまま、胸を触られている。

舞(??……なんか変だぞ?気持ちいいような?)

ラン「駄目よ〜舞ちゃん、ちゃんと嫌がらないと、調子にのるからね?」

ランがユウヤの後ろに回り、ガッチリとヘッドロックした。

ラン「このまま落とすね♪店長〜今日バーテンやって?」

神谷「………まだ開店まで時間あるから、水ぶっかけて起こせばいいよ(笑)」


ユウヤは泡吹いて轟沈した。


トシオ「ホール係のトシオです♪よろしくね、舞ちゃん雀ちゃん♪俺はユウヤみたいな奴、大嫌いなんで(笑)」


ユウヤは誰が見ても、チャラいカス野郎だが、トシオは硬派一辺倒で、見た目も誤解されやすい恐い感じである。


一通り、他のキャスト達が自己紹介を終え、いよいよ[エキサイトピンク]開店である。



が、開店と同時に客が来るわけもなく、何名かのキャストが呼び込みにでていく。

入店初日の舞と雀も、まずは呼び込みに行くことになった。先輩からの指示は取り敢えず際どいカッコで立ってるだけでいいとのこと。


夜の歓楽街はこれからが本番、あちこちの店の呼び込み達が活気よく声を上げる。

[エキサイトピンク]のライバル店といえる、向かいの店[越後屋ソチも悪よのう]の呼び込み達がでてくる。


越後屋の古西「可愛くて綺麗な女の子いますよ〜〜〜〜♪因みに女性の方もどうですか〜〜?俺のビックマグナムで楽しみませんか〜〜〜〜?」

どこかで見たような呼び込みである。


トシオ「始まったな♪うちも負けてらんないぜ〜〜♪」


トシオもライバル店に負けじと声を上げる。

すると、向かいの呼び込みは1オクターブ高い声で呼び込む、それを聞いたトシオも1オクターブ声を上げる……相手もさらに1オクターブ上げてくる!トシオも応戦してさらに1オクターブ上げる、お互い一歩も譲らない!

二人共限界すれすれまで声を高める!

トシオ「イィ〜〜コォイマスヨォ〜〜ォォォ!」

古西「ホン〜〜〜ジツゥノォウアクダイカーーンハアナタサマディ〜〜〜〜〜ス♪♪」


その場はまさにオペラだった。


トシオと古西のかん高い悲鳴のような声に、道行く人びとは足を止める。結果オーライである。トシオは、古西との呼び込み合戦では埒があかないと、舞と雀に指示をだす。

トシオ「舞ちゃん、雀ちゃん今、そこのスピーカーから流れてる曲で踊れる?できるなら頼む!」


歓楽街の街灯スピーカーからは最近のヒット曲、アイドルグループNST48(ぬすっと48人衆)が歌う[恋のサムターン廻し]が軽快に鳴り響いている。


舞「うん♪踊ろう雀ちゃん♪♪」

雀「OK!!じゃ、ダンスナンバー8でいこう!」

トシオと古西がハイトーンボイスで呼び込みを続ける横で、これまた色んなところが丸出しな際どい衣装で、ダンススタートである。


この歓楽街に舞姫が降臨した瞬間だった。


初めて聞く曲だが、二人共みごとに舞ってみせる!トシオも二人のダンスを見るのは初めてだが、かなりの美しさに目を奪われつつ声を出し続ける!

トシオからすれば、女性の色っぽいダンスなど店でさんざん見慣れてるはずなのだが、それでも二人のダンスは魅力的だった。


徐々に[エキサイトピンク]にお客さんが入り始め、トシオの携帯電話に着信が入り、店の中へ呼ばれる。

トシオ(二人共凄いな♪素晴らしい逸材だ♪さすが神谷オーナーだぜ)


向かいの呼び込みは、トシオがいなくなっても、ひとりミュージカルを続ける……が、人びとは舞と雀に夢中で、誰ひとり[越後屋ソチも悪よのう]に入っていかない。


舞と雀のダンスショーに人だかりができはじめ、騒ぎが大きくなる前に、神谷がでてきて二人を店内に入れる。

神谷「どうですかみなさん?続きは店内で御覧ください!お一人様込み込みで二時間5000円ですよ〜〜♪」


続々とスケベなオジサン達が店内に入っていく。

神谷「♪♪♪いいねぇ♪今日はダンサー達に特別ボーナスだな♪」


舞と雀のお仕事初日は大成功だった。

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