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舞「みんな〜〜〜♪今日もあたし達のダンスを見てね〜♪」
いつもの様に観客を煽る舞。しかしここでかかるはずの曲がかからない。おかしいと思い、雀の方を見る。すると雀が涙を浮かべて焦りながらラジカセをいじり回している。
雀「あれ?あれ?おかしいな?ぐすっ…どうしよう…(泣)」
舞「どうしたの?雀ぇ?」雀「うええぇっ舞ちゃぁぁん、ラジカセ壊れちゃったみたい(泣)」舞「えぇっ!?」
舞「どうしよう…音が無いと……」
雀「うん……」
二人はうつ向いたまましばらくその場に立ち尽くした。
観客達もざわざわしはじめ、「なんだよ踊らねえのかよ」等、小声で言い出し、その場を去る者もでてきた。
コルチナ達[
コルチナ(あれ?あの娘達まだ踊り始めないのかな…?)コルチナは二人が気になって仕方がない。
コルチナ(ん?……えぇっ?やだあの娘達泣いてる‼)
コルチナ「ちょっとみんなごめんなさい、一旦休憩ね、みんなこっちに来て!」
コルチナはライブを中断して二人の元へ向かった。
コルチナ「どうしたの?二人共?」
突然話しかけられて、少しびっくりする二人
雀「あなただぁれ?」舞「わぁ‼金髪だぁ♪すごく可愛い〜〜〜♪」
コルチナ「なんで泣いてるの?いつもの元気なダンスは?今日は踊らないの?」
雀「……………うん、実は…」
コルチナ「なぁんだ♪そうだったの♪それならさ、うちらの音で舞っちゃいなよ♪」
二人は顔を見合せた。
ワン、ツー、 ワンツースリーフォーの声と共にドカンッとライブが始まる。コルチナ達は完全にバックバンドに徹しメインは舞と雀の二人である。一曲目二曲目とかなりテンポの早いスラッシュメタルの曲に、遅れる事なく華麗に舞踊る二人に観客達のボルテージも最高潮。三曲四曲と激しいタテノリの曲が続く。不思議な事に二人は汗だくにはなるものの、少しも疲労を感じさせないのだ。
観客達の中に神谷の姿もあった。
神谷「(うんうん♪やっぱり素晴らしい‼見事だ!あの二人)」
ライブが終了してコルチナは舞と雀と握手を交わし、強めに抱きしめあった。
いつも以上に大盛況で観客の数も過去最多なので、駅前で聞き込み捜査をしている伊達と最上もその人だかりが気になった。
際どい格好の二人をまじまじと見る伊達。
伊達「うわぁ、スゲーな、なんて格好だよ」
手元の手配書の二人と見比べる。
伊達「……………んん?あの二人、………似ている………か?どう思う?」最上「成長してたらあんな感じかもしれませんね。どことなく12年前の写真に面影があるような……」伊達「よし、行くか。」伊達と最上はその他二名の警察官と共に舞達の元へ向かった。
コルチナは舞達と手を振りあい、また明日ねと約束をしてその場を去った。
舞と雀はバケツの中のおひねりの量にご満悦だ。舞「わぉ〜♪お金いっぱいだぁ♪きっと雀ちゃんが可愛いからだね?」雀「(*ノ▽ノ)いやん♪」舞「ホントだよ〜♪ちょ〜可愛いぃ♪」雀「帰ろう♪おなかペコペコだよ♪」
伊達「君達、ちょっといいかな。」
突然話しかけられて、びっくりする二人。
伊達の後ろから最上と他の警察官がやってくる。その警察官を見や否や
雀「あぁ!!!いつものいじめっこ!!!」
舞「行こう!」ダッシュで逃げ出した。
伊達「ちょ、ちょっと待ってくれよ!おじさんショックよ?」
神谷は一部始終を見ていた。神谷の後ろにハイエースが止まっていて、そのドライバーに話しかける。
神谷「あの二人でしょ?」
ドライバー「うん。公園に住んでる。」
神谷「へぇ、なんでまた………よし、追いかけよう!」
下笹目駅の隣の駅[美女木駅]のビルの谷間。
舞「…………はぁっはぁっ……よし、ここまでくれば大丈夫かな…?」
雀「………うん……」舞「どうしたの?雀ちゃん」雀「……………お金落としちゃった…」
舞「ありゃ…まぁしょうがないよね」
神谷「君達…」
ビクンッ!とする二人。
神谷「ちょっといいかな…怖がらなくていいよ」ニヤリと笑う神谷。二人は泣き出しそうだ。ハイエースの運転席から男が降りてくる。大林「おいおい、それじゃ余計に怯えちゃうよ(笑)」
神谷「失礼な!!」
その男を見たとたんに舞と雀は笑顔になった。
二人「掃除のおじさん♪」
大林「こんにちは♪舞ちゃん雀ちゃん♪いや、もうこんばんはかな(笑)」
大林「こいつの事なら心配ないよ♪友達だから」そう言って二人にウインクした。
舞「そうなの?」雀「ちょっと怖かった(笑)」
大林「(笑)だよね、今日は二人にいい話があってね♪」舞「いい話?」
大林「うん♪さぁ、神谷」
神谷「おう!実は俺の店…大人の夜のお店
[ショーパブ]なんだけど」雀「ショーパブ?」
神谷「うん♪その店で今踊り子を2名ほど募集しててね♪君達どうかな?」
大林「二人共、18歳だからまだ深夜は無理だけど。風営法ってどうだっけ?ハタチ未満は駄目だっけ?」神谷「そんなものはどーにでもなる。」神谷「三食部屋付きでうちの店に来ないか?」舞「!!」雀「舞ちゃん♪」
二人は顔を見合せてうなずいた。
神谷「実際にこの目で見て思った‼ダンスのセンスが素晴らしい‼」大林「世界一の踊り子になるんでしょ?こいつの店の従業員の踊りも参考になるよ?」
二人「やる!!!!」神谷「よし♪早速店に行こう!」大林「良かった!」
大林と神谷、舞と雀を乗せて高速道路を走る車。二人の踊り子は後部座席で疲れはてて眠っている。
大林「……いいかい神谷、くれぐれも家族の事とかNGだよ?」
神谷「……なんだよ訳ありかよ(笑)」
神谷「まぁいいや♪誰も損しねーし。」
大林「ハハハッ損って言うか、お前は得だろう?(笑)」
四人を乗せた車は高層ビルが立ち並ぶ夜の歓楽街へ向かっていた。
〜第一話 完〜
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