第3話

第3章:北村武


俺は今日も動物園に来ている。

なぜ動物園が好きかって?

動物園で見たいものがあるんだ。


僕はずっと毎日なけなしのお金を払って見に来る。

今年で40歳だけど

子供の頃から欠かさず見に来てるが

ずっと見ていても飽きないし

朝一番に来て

夕方の閉館ギリギリまで

それをずっと見ている。








さて、何を見てるのが一番好きかと言うと





【猿の右耳のちょい上らへん】が好きなのだ。



なので開館したら

すぐに猿山にダッシュで行き

背中を見せてる猿をすぐさま探し

望遠鏡で

【猿の右耳のちょい上らへん】

を見ている。


昔【自分の大好きなもの】と言う作文を小学生の時に書いた時



タイトルを

『僕と【猿の右耳のちょい上らへん】』

と書いて先生や親を困らせたことがある。

その後すぐさまカウンセラーの先生に診察をされたのを今でも覚えてる。




とある日のことだが

あまりにも僕が

「【猿の右耳のちょい上らへん】を見たい!!」と叫ぶので

母も収めようと

「【猿の右耳のちょい上らへん】見に行くのはもうやめなさい!!」

父も困った顔で

「また【猿の右耳のちょい上らへん】の話か、もういいだろ【猿の右耳のちょい上らへん】の話は」


そして分からず屋の父と母を置き

「僕は【猿の右耳のちょい上らへん】見に行くんだ!!」

と家を飛び出した。


母は泣き崩れていたらしく

「なんで【猿の右耳のちょい上らへん】が好きなの?わけわかんない!!」

と声を震わせながら言ったらしい。


父は「まてー!武!!!

【猿の右耳のちょい上らへん】は今度見に連れていくから

今回は【猿の右耳のちょい上らへん】

を見に行くのはやめなさい!」

と後ろから声が届いた。


そんな父の声も無視して

(【猿の右耳のちょい上らへん】が足りない。もっと見たい)と思いながら

道路を車が来ているのを

ギリギリで交わしつつ横断した。



僕は(あぶねぇ〜死んだら

【猿の右耳のちょい上らへん】見れなくなる)と思った

冷や汗をかきながら道路の向こう側にいる

『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行くのを邪魔しようとするやつ』(父)を見た。

『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行くのを邪魔しようとするやつ』(父)は


そんな『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行こうとするやつ』(僕)をみて

「【猿の右耳のちょい上らへん】を見る為にそんな危ない橋を渡るような真似はやめなさい!!」

と叫んだ。



『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行くのを邪魔しようとするやつ』(父)は


その後

大きなバナナを僕に見せてきた。

「ほーら武!バナナだよ」と見せてきた。

それもそのはず

『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行こうとしてるやつ』(僕)は

バナナは何よりも好きなのだ。


故に大きなバナナを見ながらの

『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行くのをバナナで釣って邪魔しようとするやつ』(父)の方にフラフラ〜と向かって

道路を横断した。


『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行くのをバナナで釣って止めれたヤツ』(父)はそんな

『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行こうとするのをバナナで釣られたせいで見れなかったヤツ』(僕)を赤ちゃんを抱っこするように抱き抱えて

家に向かった。



『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行こうとするのをバナナで釣られたせいで見れなかったヤツ』(僕)は

だんだん離れていく交差点を見ながら

ふと左を見ると

【父の右耳のちょい上らへん】

を見た。

なので

自分の想像力で


【父の右耳のちょい上らへん】

【猿の右耳のちょい上らへん】

と思うように頑張った。


『【猿の右耳のちょい上らへん】と自分の右耳を想像されてるヤツ』(父)は

もうすぐ

「クリスマスだけど武何が欲しい?」と

ごまかすように聞いた。






『【猿の右耳のちょい上らへん】見に行けなかったので自分の父親の右耳のちょい上らへんを【猿の右耳のちょい上らへん】と思って見てるヤツ』(僕)は

「【猿の右耳のちょい上らへん】」

ともちろん言った。


これからも

「【猿の右耳のちょい上らへん】は大好きだけど

大きめのバナナも

『昔【猿の右耳のちょい上らへん】見に行けなかったので自分の父親の右耳のちょい上らへんを【猿の右耳のちょい上らへん】と思って見てるヤツ』(僕)は好きだ。


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