8光の通り道
4人は寒さに耐えながら考えを膨らませて
いた。けれど、こんな寒さでは考えるものも
何も浮かばない。4月にも関わらず今日は
寒波がきていた。
「クシュンッ」
月星歌はずっと、くしゃみを連発していた。
元から体温が低いせいか、くしゃみが
止まらなかった。それを気づかい翼斗が
カーディガンを貸してあげたのだが、
それでもさむいらしい。翼斗は少し肌寒い
ぐらい。震えだったり、くしゃみがでるほど
ではない。
「大丈夫か?風邪ひくなよ?」
「らいじょぉぶらお…クシュンッ!」
少し言葉がつまり変な感じになったが
翼斗は苦笑いしか浮かべられなかった。
「けどさー。壊せたりして?笑笑」
「いや、それ痛いし。ましてやさっき
壊れなかったでしょうが。」
すかさず巳紅采が反対した。絆生は「えー」
っと不満の様子だった。それを見てさらに
苦笑いを浮かべた翼斗。そんなバカな様子を
クスッと笑っている月星歌。
「なら…やってやる~っ!!!」
ドンッ!!!
勢いよく絆生はドアに体当たりをした。
けれど、ドアはビクともしない。だが、変化
はあった。
「あれ?ドア…へこんでませんか…?」
「まさか…本当に…破れたりして…?」
そんな言葉を巳紅采が口にした瞬間、さらに
絆生はドアにさらに、強く体当たりをした。
今度は下のへこんだ部分を中心に壊そうと
試みた。
ドンッ!!!バリッ!
「いってぇ〜!!!」
「いや、自業自得だから!? / だよ(汗)」
絆生が痛がっているのをよそに、3人は
同時に、自業自得と言った。
「といってもさぁぁぁあ!!痛いし!!けど
ドア壊せたし!!俺お手柄だろ!?」
「あの…お手柄の前に、傷はありませんか?」
自業自得と言いながら、とても優しい月星歌
だった。確かにあれだけぶつかっていれば、
傷がなかったら幸運だ。
「あ、意外と傷ねーわ。赤くなっただけか。」
「う、運動神経いいんですね…?」
「筋肉バカか。」
「翼斗。それいいな。」
4人は口々に口走った。
それに絆生はむっとした顔を浮かべ、3人は
それを見て爆笑していた。
「うっせー!ほら!帰るぞ!!」
「あ、あの!ま、待ってください…」
3人が?をたくさん浮かべた。
もうドアはあいたというのに。だが、それは
とてもすごい悩みだった。
「私…帰る場所が……ないんです」
8 光の通り道 End
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