7.5 寒さ+暖かい=鍵 2

「携帯…あー!」

己紅采が思いついたのは、携帯で誰かに

助けを求める方法。確かにそれならいける。

「いいアイデアだな。」

「あの…ちょっと待ってください。」

月星歌が突然、3人にストップをかけた。

それは深刻な問題だった。

「もし、連絡が繋がっても、学校に来る人

なんて…そうそういないんじゃ…ないん

ですか…?」

「…月星歌ちゃんに一理あるな…。」

「え?なんで?俺なら行くけど?」

絆生はそう言っているが、みんな聞き耳を

もたない。そりゃそうだ。なぜなら、

今はもう真っ暗になっていた。もう夜だ。

こんな夜に、学校の…ましてや屋上に来る人

など、来ることなんてまずありえない。

ましてや、この学校には、ある噂があった。

「神也くん…この学校にはね…夜幸の涙天使

(よこうのなみだエンジェル)がいるっていう

噂があるんだよ…?」

「は?夜幸の涙天使?」

━━━━確かにその噂。聞いたことあんな…

この学校には、『夜幸の涙天使』がいる

っていう噂が耐えなかった。それは、

【夜の学校。どこかにたたずむ少女あり。

それは幸福が訪れる天使なり。最後、涙を

流すことありけり。】

この噂がたちまちあとを立たなかった。

そして、噂は今の1年生にも広まっていた。

1分、1秒も立たずに。

「だから、こんなところには誰も来ないな。」

さすがの絆生も何も口を出すことが

できなかった。そんな噂があれば

みんな呼んで、助けを言っても来ないだろう。

絆生が思いっきりドアにぶつかっていた時も

壊れはしなかった。とてつもなく冷たい風が

4人を襲い、寒さに耐えながら

考えるしかなかった。




7.5 寒さ+暖かい=鍵2 End

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